EC-CUBE3公開から1年で何が変わった?3系の現状と4系の登場。

EC-CUBE3が公開されて1年が経過するので、EC-CUBE3の現状についてまとめてみようと思う EC-CUBE
この記事は約20分で読めます。
  1. EC-CUBE3公開から1年2ヶ月が経過した
  2. EC-CUBE3とは
  3. EC-CUBE2とEC-CUBE3はどう違うのか?
    1. システムのアップデート、データの移行が簡単に行えることで、よりセキュアな環境を維持できる
    2. EC-CUBE3でが新しいフレームワークSilexが採用された
    3. EC-CUBE3は自由度が高くなり、プラグインでどんどん拡張できる
    4. EC-CUBE3標準のデザインは、レスポンシブWebデザインで洗練された
  4. EC-CUBE3公開から現在までの動き
  5. EC-CUBE3に対応したプラグインはどのようなものがある?
    1. 決済系プラグイン
    2. デザインテンプレート系プラグイン
    3. 機能拡張系プラグイン
    4. EC-CUBE3対応のプラグインはEC-CUBE2対応のものより少ないけど、とりあえず十分?
  6. EC-CUBE3のサイト制作実績
  7. EC-CUBE3.0.10までに実施された不具合対応と機能強化
  8. EC-CUBE3にデメリットはないのか?
    1. EC-CUBE3の導入実績(ECサイト制作実績)が少ない。
    2. 決済モジュールの導入実績も少ない
    3. EC-CUBE3.0.11以降では、正常動作しなプラグインが出てくる?
    4. EC-CUB3に対応している決済代行会社が少ない
  9. 結局のところ、EC-CUBE3を使っていいのか?
  10. 2018/8/9追記 EC-CUBE3の開発は終了し互換性のない新バージョン4が登場予定
    1. EC-CUBE3系と4系とでは互換性がない
    2. EC-CUBE3系で構築したECサイトは今後をよく考える必要があるのでは?
    3. 3系公開後もサンクユーはひたすらを推薦して来た
    4. 4系公開後も暫くは2.13系を提案する
    5. ECシステムを新旧だけで判断するのは危険

EC-CUBE3公開から1年2ヶ月が経過した

EC-CUBE3.0.0が2015年7月1日に発表されてから、1年2ヶ月が経過しました。
最近では、弊社にもEC-CUBE3のカスタマイズの問い合わせを頂くようになり、一般的にもEC-CUBE3は普及してきたのかなともいます。(知名度の面で)

そこで、EC-CUBE3のこの1年について纏めてみようと思います。

EC-CUBE3とは

EC-CUBE3とは、2015年7月1日にが発表されたEC-CUBEの最新バージョンです。

EC-CUBEは2006年に発表され、今では日本で一番利用されているECオープンソースシステムとなりました。
EC-CUBE誕生から9年経過した2015年にEC-CUB3は発表されました。
(今年2016年で10年です。おめでとうございます!)

EC-CUBEが誕生してからEC業界は拡大・多様化が進んでおり、次の段階へ進もうとしています。

次の段階とは、O2Oやオムニチャネル、スマートフォンの急激な普及、EC物流の進化、様々なSNSの台頭など、EC周辺の環境が大きく変わろうとしている状況を指します。

そういったEC業界の環境の変化にいち早く対応できるプラットフォームを目指す為に、EC-CUBEはメジャーバージョンアップされました。
簡単に言ってしまえば「ECシステムからECプラットフォームへ進化した。」と私は解釈しています。

ちなみに、2以降の過去のバージョンは以下のように公開されています。
(1系は弊社では扱っていませんでしたので、1系の公開時期に関しては不明です。)
・2.4系(2008年初公開)
・2.12系(2012年初公開)
・2.13系(2014年初公開)
・3系(2015年初公開)

EC-CUBE2とEC-CUBE3はどう違うのか?

EC-CUB3はそれまでのEC-CUBE2とはどう異なるのでしょうか?

2→3というメジャーバージョンアップなので大幅に変わっていることは確かです。
でも、どこがどう変わったか?変わらないものはあるのか?

それでは、細かく見ていきましょう。

システムのアップデート、データの移行が簡単に行えることで、よりセキュアな環境を維持できる

EC-CUBE3では、システムのアップデートや移行機能(マイグレーション)の機能が実装されています。

それ以前のバージョンだと、脆弱性が発見された場合、手動でパッチを当てなくてはいけませんでした。
しかも、カスタマイズしている場合、差分を洗い出しながら対応する必要があり、脆弱性対応は大変面倒な作業でした。

しかし、EC-CUB3は簡単に脆弱性対応ができる仕組みになっています。
脆弱性対応だけでなく、システムやプラグインのバージョンアップ、そしてデータ移行も簡単です。

脆弱性の対応がEC-CUBE2と比べて容易に行うことができるという点で、よりセキュアな環境を維持し易くなっています。

EC-CUBE3でが新しいフレームワークSilexが採用された

EC-CUBE3は、EC-CUBE本体のソースコードだけでなく、外部ライブラリも含めて再度検討されています。
そして、マイクロフレームワークには、Silexが採用されています。
Silexは、多くのシステムで採用されいてるPHPフレームワークのSymfony2がベースになっています。
また、Laravelなどのフレームワークでも採用され、またYahoo!のプロジェクトでも利用されるなど多数の実績と事例があります。
開発も活発でリリースサイクルも安定しています。

Silexを選択した理由は以下を読めば、ある程度理解できるはず。
参考:なぜ、EC-CUBEはSilexを採用したのか|Qiita

で、上記のQiitaをよく読むと、Silexを選択したご担当者さんは既にロックオン社を退職されているようでした。
そのことをtweetすると、なんとご本人から返信がありました。
Silex採用は、2名で決定されたようですね。
大人数で検討すると纏まらないので、少人数で決定するのはいいかもしれません。

ちなみに、Silex採用に応じて、テンプレートエンジンがSmartyからTwigに変更されており、コードの再利用性やデザインとの融合効率が向上しています。

EC-CUBE3は自由度が高くなり、プラグインでどんどん拡張できる

EC-CUBE2はプラグイン機能を前提とした設計ではありませんでした。

EC-CUBE2.12系よりプラグイン機能を実装したのですが、ベースがプラグイン機能を想定していなかった為、プラグインの開発工数が膨れたり、プラグイン同士で干渉するなどの問題も起こっていました。

EC-CUBE2の教訓を活かす意味で、EC-CUBE3ではプラグイン機能を前提として構築されています。
ECの主要機能である「商品管理」「顧客管理」「受注管理」をコア機能として独立させ、その他の機能はプラグインで実装する仕組みとなっています。
プラグインによる機能追加・機能拡張が容易になりました。

ただし、プラグインの仕様をよく理解して利用頂く必要があります。
貴社の要望とプラグインの仕様にズレがある場合、要望はがまんしてプラグインの仕様のまま利用するか、もしくは貴社の要望に合わせてプラグインをカスタマイズしなければいけません。

また、SFA、CRM、EDIなどの外部サービスとの連携APIも今後提供される予定です。

ECに関することならなんでも取り込んで行こうという姿勢が伺えます。
冒頭に「ECシステムからECプラットフォームへ進化した」と述べた理由でもあります。

EC-CUBE3標準のデザインは、レスポンシブWebデザインで洗練された

EC-CUBE2の標準デザインは少し野暮ったい感じがしていて、なかなか標準のままサイトをオープンするのは困難でした。
(個人で運営しているECサイト様の中には、あの野暮ったいデザインで精一杯頑張っていらっしゃいますね。)

しかし、EC-CUBE3からはレスポンシブWebデザインになり、かなり洗練されたデザインになっています。
個人運営のECサイトであれば、標準のままでも十分サイトをオープンできる品質ではないかと思います。

ちなみに、フロントサイトだけでなく、管理画面もレスポンシブWebデザインです。
タブレットやスマートフォンで管理機能が利用できるのはとても便利です。
さすがに、商品登録はPCの方が便利でしょうが。

PCサイト

eccube3_06new-compressor

スマートフォンサイト

eccube3_07new-compressor

管理画面(PCで閲覧した場合)

eccube3_08new

管理画面(スマートフォンで閲覧した場合)

eccube3_09new

EC-CUBE3公開から現在までの動き

2015年7月1日のEC-CUBE3.0.0公開から現在(2016年9月12日)までの本体のリリース状況は以下のようになっています。

リリース日 バージョン 対応内容
2015年07月01日 EC-CUBE3.0.0  
2015年07月08日 EC-CUBE3.0.1 プラグインをより柔軟に拡張できる機構を追加しました。
いくつかの不具合を修正しました。
2015年07月29日 EC-CUBE3.0.2 CSVダウンロード機能を追加しました。
CSVアップロード機能を追加しました。
いくつかの不具合を修正しました。
2015年08月19日 EC-CUBE3.0.3 プラグインのオーナーズストアインストールに対応しました。
いくつかの不具合を修正しました。
2015年10月09日 EC-CUBE3.0.4 いくつかの不具合を修正しました。
いくつかの脆弱性を修正しました。
2015年10月28日 EC-CUBE3.0.5 複数配送機能に対応しました。
いくつかの不具合を修正しました。
2015年11月18日 EC-CUBE3.0.6 お気に入り商品機能に対応しました。
再注文機能に対応しました。
いくつかの不具合を修正しました。
2015年12月09日 EC-CUBE3.0.7 権限機能に対応しました。
ログ管理機能に対応しました。
マスターデータ管理機能
いくつかの不具合を修正しました。
2015年12月25日 EC-CUBE3.0.8 キャッシュの削除機能を追加しました。
いくつかの不具合を修正しました。
2016年02月17日 EC-CUBE3.0.9 プラグイン機能の改善を行いました。
開発・デモ用としてSQLiteに対応しました。
いくつかの不具合を修正しました。
2016年04月25日 EC-CUBE3.0.10 商品にタグ機能を追加しました。
未対応バージョンのプラグインもオーナーズストアからインストールできるようになりました。
プラグイン機能の改善を行いました。
いくつかの不具合を修正しました。

EC-CUBE3に対応したプラグインはどのようなものがある?

上述の通り、EC-CUBE3はプラグインによる拡張性・カスタマイズ性がグッと上がりました。
プラグインでどんどん機能を追加できる訳ですが、現時点(2016年9月9日調査)では以下のようなプラグインが公開されています。

決済系プラグイン

計9件
EC-CUBEペイメント決済プラグイン(3.0系)
EC-CUBEペイメント 定期購入プラグイン(3.0系)
ペイパル エクスプレス チェックアウト 決済プラグイン(3.0系)
ペイジェント決済プラグイン(3.0系)
SBPS決済サービス向け決済プラグイン(3.0系)
イプシロン決済モジュール(3.0系)
ルミーズ決済プラグイン(3.0系)
ルミーズカード決済拡張セットプラグイン
ゼウス決済プラグイン(3.0系)

デザインテンプレート系プラグイン

計6件
EC-CUBEレスポンシブWebデザインテンプレート No.L3001(3.0.10)
EC-CUBEレスポンシブWebデザインテンプレート No.L3002(3.0.10)
EC-CUBEレスポンシブWebデザインテンプレート No.L3003(3.0.10)
EC-CUBEデザインテンプレート No.P3001(3.0.10)
EC-CUBEデザインテンプレート No.P3002(3.0.10)
EC-CUBEデザインテンプレート No.P3003(3.0.10)

機能拡張系プラグイン

計120件
帳票出力プラグイン
メルマガ管理プラグイン
売上集計プラグイン
関連商品プラグイン
メーカー管理プラグイン
zaiko Robot連携プラグイン(3.0系)
Robot-in連携プラグイン(3.0系)
item Robot連携プラグイン(3.0系)
注文完了画面でも会員登録
特定商取引法追加・並び替え(3.0系)
定休日カレンダープラグイン(EC-CUBE3系)
新商品表示ブロック追加(3.0系)
EC-CUBE 3 対応 ログ表示プラグイン
配送伝票番号プラグイン(3.0系)
商品在庫量表示プラグイン
最近購入された商品ブロック追加(3.0系)
規格一覧ラジオボタンプラグイン(3.0系)
配送伝票番号csv一括登録プラグイン(3.0系)
商品編集用CSVダウンロード(3.0系)
チェックした商品表示ブロック追加(3.0系)
メールテンプレート機能拡張プラグイン
商品情報項目追加プラグイン(ver.3対応)
Instagramギャラリーブロック追加(3.0系)
運送会社連携プラグイン for EC-CUBE3
こちらのサイトでもお買い求め頂けます。プラグイン
プラグインジェネレータ
お友達紹介プラグイン
接客チャットツール「チャモ」導入プラグイン
割引表示機能拡張プラグイン
非公開商品リダイレクト for EC-CUBE3
InfoTownLinkWp (EC-CUBE3版)
広告効果測定プラグイン
Appiaries プッシュ配信プラグイン
受注ステータス一括変更プラグイン
サイトマップ生成プラグイン
Googleショッピングフィード生成プラグイン for EC-CUBE3
売り上げランキングプラグイン
商品問い合わせプラグイン
最近チェックした商品プラグイン
メンテナンス管理(EC-CUBE 3系)
InfoTownMedia (EC-CUBE3版)
PUSH配信プラグイン【D-POST】
ニコニコ動画風リアルタイムプラグイン
SendGrid プラグイン Light
クラウド会計 freee プラグイン Light
BrowseHistory
インスタ連携(マイギャラリー)プラグイン
最近見た商品プラグイン
顧客トラッカー
住所自動入力の拡張版(3.0系)
Google Analytics 簡単設置プラグイン
営業日管理プラグイン
イメージクラウド
外部サイト埋込みプラグイン
商品レビュー管理プラグイン
おすすめ商品管理プラグイン
クーポンプラグイン
カテゴリコンテンツプラグイン
concrete5 記事一覧表示
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EC-CUBE3対応のプラグインはEC-CUBE2対応のものより少ないけど、とりあえず十分?

上記の通り、EC-CUBE3系のプラグインは全136件となります。

ちなみに、EC-CUBE2.13系のプラグインは全355件。
2.12系のプラグインは全407件。
2.11系のプラグインは全88件
(すべて執筆時の件数)

2系と比べると、数ではまだまだ劣りますが、公開から1年経過しているだけあってかなり揃っています。
また、ECサイトをオープンするためには十分なプラグインが揃っているのではないでしょうか。

EC-CUBE3のサイト制作実績

次に、EC-CUBE3のサイト構築実績を見てみましょう。

  • 3.0系:全16件(公開10件 / 非公開6件)
  • 2.13系:全225件(公開175件 / 非公開50件)
  • 2.12系:全323件(公開250件 / 非公開73件)
  • 2.11系:全100件(公開74件 / 非公開26件)

(すべて執筆時の件数)

2016年9月現在、EC-CUBE3は実績が圧倒的に少ないです。
公開から1年以上経過していることを考えると、少な過ぎると思います。

理由としては、プラグインが揃うのに時間が掛かった、開発手法が変わったことによって制作会社さんが開発体制を整えるのに時間が掛かったことが挙げられます。

EC-CUBE3.0.10までに実施された不具合対応と機能強化

現在のバージョンは3.0.10です。
3.0.0が発表されてから、10回のバージョンアップがありました。
そのバージョンアップで実施された不具合対応と機能強化は先日ブログにまとめました。
参考:EC-CUBE3の過去10回のアップデートの対応内容をまとめてみた

上記記事を見る限り、今まで対応した不具合の数はかなりのものです。
しっかり対応して頂いている。とも言えますし、多くの不具合がある状態で公開された。とも言えます。

EC-CUBE3にデメリットはないのか?

EC-CUBE3にデメリットを考えてみましょう。

上述の通り、EC-CUBE2で培ったノウハウや教訓を活かした上で、再設計されていますし、プラグインによる機能拡張性・カスタマイズ性も上がっています。
一見、EC-CUBE3に悪いところはなさそうです。

以下は私が思うデメリットですので、一般的なデメリットでない可能性があります。
あしからず、ご了承ください。

EC-CUBE3の導入実績(ECサイト制作実績)が少ない。

EC-CUBE3公開前に入念なテストを実施頂いていると思いますが、実運用でどれだけ利用されているかを私は重視しています。
EC-CUBEはオープンソースで無償で利用できるシステムです。
ボランティア精神溢れるエンジニアがEC-CUBE3の開発に携わっています。
しかし、運用に耐えられるほどのテストが実施されているか?という点では、個人的には疑問を持ちます。

事実、上記のように公開後に不具合が多数発見されています。
また、同様にプラグインの導入実績も気になるところです。

「実運用での利用が多い=不具合が洗い出された安心したシステム。実用性があるシステム。」という判断を私はしています。
ですので、今の制作実績数だと正直なところ不安が残ります。

決済モジュールの導入実績も少ない

EC-CUBE3の導入実績が少ないとうことは、決済モジュールはEC-CUBE本体以上に導入実績は少ないです。

決済代行会社が決済プラグイン公開前に入念に検証しています。
しかし、EC-CUB2系でも決済モジュールの不具合はありましたので、EC-CUBE3で絶対にないとは言えません。

また、EC-CUBEの決済モジュールは決済代行会社が開発していない場合があります。
決済代行会社が外部の制作会社に決済モジュールの開発を委託していることがあります。
可能であれば、決済代行会社との契約前に決済モジュールの開発を自社で行っているのか?検証はしっかり行ったのか?くらいは確認しておいた方がいいかもしれません。

EC-CUBE3.0.11以降では、正常動作しなプラグインが出てくる?

9月中旬公開予定のEC-CUBE3.0.11では、トランザクション管理が変更されます。
その為、現在公開中のプラグインの中には、EC-CUBE3.0.11以降で正常に動作しない可能性があります。
参考:EC-CUBE 3.0.11 変更内容に伴うプラグインへの影響内容|EC-CUBE 3 開発ドキュメント

今後、EC-CUBE3.0.11を元にECサイトを構築する場合、公開中のブラプグインが使えない可能性があります。
また、現在運営中のECサイトをEC-CUBE3.0.11へアップデートすると、利用中のプラグインが動作しない可能性があります。
プラグイン開発元が早く対応して頂ければ問題ありませんが、対応が遅れると上記の問題が発生します。

今回の変更は、基礎となる部分の変更です。
開発当初に考慮しておくべき基本的なシステム設計がされていなかったと言えます。
今後も頻繁にこのような改訂が起こるようでは、安心してEC-CUBE3を利用できません。

とは言え、初めから完璧な設計の元にシステムを開発することは困難です。
上記事象は想定の範疇としてEC-CUBE3を利用する方がよいかもしれません。

EC-CUB3に対応している決済代行会社が少ない

現在、EC-CUBE3に対応している決済代行会社は以下の7社です。

  • EC-CUBEペイメント
  • ペイパル
  • ソフトバンク・ペイメント・サービス
  • ペイジェント
  • ルミーズ
  • ゼウス
  • イプシロン

EC-CUBE2系に対応した決済代行会社は28社ありますので、随分と選択肢が少ないです。

取り扱い商品によっては決済代行会社が限定されてしまいます。
上記会社で対応できない場合、EC-CUBE3は諦めなくてはいけません。

また、現在ECサイトを運営していて、EC-CUBE3への移行を検討している場合も、取引中の決済代行会社がEC-CUBE3に対応していなければ、EC-CUBE3への移行を断念せざるを得ません。

新規でECサイトを構築するにしても、上記会社だけでは物足りませんね。

以上が、私が考えるデメリットです。

結局のところ、EC-CUBE3を使っていいのか?

現時点では、弊社からクライアントにEC-CUBE3を勧めることはありません。

ECサイトは決済情報や顧客情報という極めて重要な情報を取り扱います。
その為、導入実績が少ない現状は不安が残ります。
私自身が不安を抱えているシステムをお客様に胸を張って勧めることはできません。
EC-CUBE3をクライアントに提案するのは、もう少し様子をみたいと思います。

しかし、EC-CUBE3は素晴らしい思想の元に開発されたシステムには間違いありません。
EC-CUBE2と比べて、プラグインでどんどん機能拡張ができます。
(ただし、プラグインの仕様をよく理解した上で利用頂く必要があります。)
デメリットを差し引いても導入したい方は、自己責任で是非導入頂ければと存じます。

また、弊社もEC-CUBE3を(暫く)推薦することはありませんが、EC-CUBE3をベースにECサイトを構築したいとうご要望にはしっかりお応えします。
EC-CUBE3カスタマイズのご要望がある際は、是非弊社までご相談下さい。

最後に、本記事を執筆するに際して、下記ページを参考にしました。
EC-CUBE 3.0 2015.07.01 誕生!すべてがECにつながる世界を|EC-CUBE
なぜ、EC-CUBEはSilexを採用したのか|Qiita
7年半ぶりの超大型アップデートEC-CUBEは何が変わったのか|技術評論社
EC-CUBE|GitHub
EC-CUBE 3.0.11 変更内容に伴うプラグインへの影響内容|EC-CUBE 3 開発ドキュメント

2018/8/9追記 EC-CUBE3の開発は終了し互換性のない新バージョン4が登場予定

2018/8/6ロックオン社より以下のリリースがありました。
「EC-CUBE」最新版に関するお知らせ(2018/08/06)

EC-CUBE3系と4系とでは互換性がない

フレームワークをSilexからSymfony変更するので、3系と4系は互換性はありません。
「プラグインで簡単に機能が追加できる」「バージョンアップも楽」が3系の売りだったはずなのですが、4系が登場することによって3系のプラグインはこれ以上出てこないでしょうし、3系から4系にアップデートするのも容易ではありません。

EC-CUBE3系で構築したECサイトは今後をよく考える必要があるのでは?

3系が対応できる制作会社は少ないですし、に比べて圧倒的にノウハウが蓄積できていないと思われます。

また、4系が発表されることで、3系を扱う制作会社はほとんどなくなります。
EC-CUBEを扱える制作会社はまだまだ圧倒的に多いです。
ですから、で構築したECサイトは今後も改修を重ねてECサイトを成長させることが可能です。
しかし、3系で構築したECサイトは?
そもそも3系を扱える制作会社が少ない上に、3系から撤退していきます。
3系で構築したECサイトは緊急課題として至急検討すべきかと存じます。

3系公開後もサンクユーはひたすらを推薦して来た

これは結果論に過ぎませんが、弊社がずっとEC-CUBE3系を拒絶しでのECサイト構築を推薦し続けて来たことは誤りでなかったと思います。

とは言っても、弊社に関わらずEC-CUBEで多くの実績を作って来たスキルの高い制作会社さんは3系を避けていましたから、実直で正常な判断ができる制作会社であれば当然のことだったんだと思います。

4系公開後も暫くは2.13系を提案する

4系が公開されてもすぐに実運用に耐えうるのは困難と予想されます。
その為、弊社はあと数年は2.13系を推すことになります。
正直、他の制作会社さんがなぜ2.13系を避けるのか不明です。
あくまで個人的見解ですが、EC-CUBE2.13系は本当にいいECシステムだと思います。

ECシステムを新旧だけで判断するのは危険

ECサイトはWEBサイトと異なる訳ですから、システムの新旧だけで採用判断するのは極めて安直過ぎます。
古くてもいいシステムはありますから、弊社はしっかり見極めてクライアントに提案して行きたいと思います。
どこかの口だけ営業マンに騙されないようにして下さい。

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


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