BtoB-EC導入後にうまくいかない5つの理由とその改善策|運用定着・顧客活用・ROIを最大化するには?
はじめに:BtoB-ECを導入したのに、なぜ思ったような効果が出ないのか?
「せっかく費用をかけてBtoB-ECを導入したのに、顧客が使ってくれない」
「FAX注文も残っていて、結局手作業が減っていない」
「社内でも活用しきれていない」
こうした悩みは、実際にBtoB-ECを導入した企業から非常によく聞かれます。
BtoB-ECは、導入すれば自動的に業務効率化やコスト削減が進む“魔法のツール”ではありません。
本当の成果を出すには、導入後の運用定着、顧客への利用促進、業務フローの最適化、そして継続的な改善が欠かせません。
この記事では、BtoB-EC導入後に「うまくいかない」と感じられる典型的な5つの理由と、それぞれに対応する具体的な改善策を解説します。
さらに、運用を軌道に乗せ、ROI(投資対効果)を最大化するための視点もあわせて紹介します。
理由1:顧客が使ってくれない(利用率が低い)
よくある課題
- ログイン方法や操作手順が分かりにくい
- スマホから見づらく、UIが直感的でない
- 「FAXや電話の方が慣れていて早い」と言われる
- 再注文や検索機能が不便で、結局アナログに戻る
改善策
- 簡潔な操作マニュアルや動画マニュアルを整備し、顧客が迷わず使える環境を作る
- 再注文・お気に入り登録など、日常的な使い方に直結する機能を強化する
- 営業担当が訪問時やオンライン面談で直接操作をレクチャーする
- 顧客ごとに専用の商品一覧や注文画面を用意し、必要な情報にすぐアクセスできるようにする
顧客の習慣を変えるには、便利さをすぐに実感できる仕組みと、移行初期の手厚いサポートが不可欠です。
理由2:社内業務が変わっておらず、効率化されていない
よくある課題
- BtoB-ECで受けた注文を、社内で再入力している
- 出荷・在庫・請求業務が別システムで管理され、二重作業が発生
- 旧来のFAXやメール注文と混在し、処理が煩雑化
改善策
- As-Is(現状)とTo-Be(理想)の業務フローを明文化し、不要な作業を排除する
- BtoB-ECから基幹システムへのデータ連携をCSVやAPIで自動化する
- 旧ルートの注文は段階的に廃止し、受注方法を統一する
導入目的の多くは社内業務の効率化です。
システムがあるだけではなく、業務の流れ自体を見直すことが重要です。
理由3:運用ルールが曖昧で現場が混乱している
よくある課題
- 誰が注文を確認し、承認し、対応するのかが不明確
- 顧客対応の仕方が担当者ごとにバラバラ
- 部門ごとに異なる注文処理フローが存在する
改善策
- BtoB-EC経由の注文フローを全社的に統一して共有する
- 注文受付から出荷、請求までのマニュアルを作成し、全員が参照できる状態にする
- 問い合わせ対応窓口や処理手順を明確にして属人化を防ぐ
BtoB-ECは組織全体で使いこなすことが前提です。
運用ルールの統一は、定着のための必須条件です。
理由4:効果が見えず、経営層の納得感が低い
よくある課題
- 導入費用に対して成果が測れない
- KPI(利用率、作業時間削減など)が設定されていない
- 顧客からの評価はあるが数値化できていない
改善策
- Web経由注文率や再注文率、平均処理時間などのKPIを設定する
- ログイン履歴や注文履歴を定期的に分析し、レポート化する
- 定性的な効果(顧客満足度、ミス削減事例など)も含めて運用報告書を作成する
効果が可視化されれば、経営層の理解が進み、さらなる改善や投資への判断もスムーズになります。
理由5:最初の設計が「自社に合っていなかった」
よくある課題
- 汎用的なSaaS型サービスが業界特有の要件に対応できなかった
- 顧客別価格や取引条件の反映が困難だった
- 現場が求める機能や操作性が不足していた
改善策
- 柔軟にカスタマイズ可能なEC-CUBEなどのBtoB-EC基盤への移行を検討する
- 業務フローに合わせた機能追加やUI改善を行う
- ベンダーと連携し、段階的に再構築を進める計画を立てる
システムの見直しは失敗ではなく、成長のプロセスです。
現場と顧客の双方が使いやすい仕組みに進化させることが、長期的な成果につながります。
事例紹介:改善によって成果を出した企業の取り組み
製造業A社の事例
FAX注文が9割を占めていたA社は、BtoB-EC導入後も利用率が伸び悩んでいました。
そこで営業担当が訪問時に顧客へ直接操作をレクチャーし、専用商品ページを用意。
さらに、再注文が容易になる機能を追加した結果、半年でWeb経由注文率が30%から75%に向上しました。
卸売業B社の事例
社内業務の二重入力が課題だったB社は、基幹システムとのAPI連携を実装。
旧ルートを廃止し、BtoB-EC一本化を進めました。
結果、受注処理時間は50%削減され、ミス発生率も大幅に低下しました。
印刷業C社の事例
SaaS型BtoB-ECで柔軟性に限界を感じていたC社は、EC-CUBEに再構築。
顧客別価格設定や注文履歴管理など、業界特有の要件に合わせた機能を搭載し、顧客満足度が向上。
リピート率は20%増加し、営業活動の効率化にもつながりました。
改善施策チェックリスト:導入後の見直しポイント
- 顧客向けマニュアル・FAQ・動画は整備されているか
- 再注文やお気に入りなど利便性を高める機能があるか
- 社内業務フローがBtoB-EC前提に再設計されているか
- 基幹システムとのデータ連携が自動化されているか
- 運用ルールや問い合わせ対応フローが明確か
- KPIを設定し、定期的に効果測定を行っているか
- 現場・顧客のフィードバックを反映した改善を続けているか
まとめ:BtoB-ECは「導入して終わり」ではなく「育てて使う仕組み」
BtoB-ECで成果を出すには、導入後の運用設計、利用促進、そして継続的な改善が欠かせません。
顧客にとって使いやすく、社内にとって負担軽減となり、経営層にとって投資価値の高い状態を作り出すことがゴールです。
- 顧客が「使いやすい」と感じるか
- 現場が「工数が減った」と実感できるか
- 経営層が「投資してよかった」と納得できるか
これらを実現するためには、データ分析と現場の声をもとにした改善が不可欠です。
再改善・活用支援のご案内
- 利用率改善ワークショップで顧客活用を促進
- EC再設計・機能追加のコンサルティング
- 顧客向けFAQや利用促進資料のテンプレート提供
BtoB-ECを“使われる仕組み”に成長させ、業務効率化と顧客満足度の最大化を同時に実現しませんか。
お気軽にご相談ください。
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投稿者プロフィール
- CEO
- 関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。
システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。
その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)
2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。
クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
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