はじめに:広告表現のリスクが増える時代に何を守るべきか
運用型広告やSNSプロモーションの加速により、企業は短期間で訴求効果を得られるようになりました。
同時に、薬機法や景品表示法、著作権法などの規制に抵触するリスクも増え、ブランドと売上を同時に守る体制が不可欠です。
本記事では、広告リーガルチェックAIツールの仕組みと導入メリット、運用のコツ、活用事例までを網羅します。
広告リーガルチェックAIツールとは
法律知識を格納したナレッジデータベースと自然言語処理を組み合わせ、広告やブログのテキストが各種法令に抵触する可能性を自動判定する仕組みです。
判定レポートの構成
- チェック対象
- 違反の可能性のある法律・条項
- 違反の可能性
- 理由・根拠
- 改善提案
- 補足情報
- リスクレベル
対応フォーマット
- 広告文、LP、バナー文言
- SNS投稿、メルマガ件名
- 商品説明、Q&A、ブログ本文
- スクリプトや台本などのテキスト全般
薬機法チェックのポイント
薬機法では、効能効果の断定、未承認領域の暗示、医師の推奨を誤認させる表現などが問題になります。
AIは高リスクワードや断定・比較のパターンを抽出し、該当条項と根拠を提示します。
リスク例 | 検出観点 | 代替表現の例 |
---|---|---|
絶対に治る | 断定的効能の主張 | 個人差があり効果を保証するものではないという注記と、根拠の範囲内での表現に差し替え |
医師も認める | 権威の不適切利用 | 第三者評価がある場合は評価指標と範囲を明示し、誤認を招かない記載に調整 |
最短で完治 | 時間保証の断定 | 一般的な目安と条件を開示し、保証表現は避ける |
科学的根拠の有無や試験条件の明示は、改善提案とセットで提示されます。
景品表示法・消費者契約法・著作権法への拡張
プロンプトとナレッジDBを切り替えることで、ほかの法域にも対応できます。
- 景品表示法では優良誤認、有利誤認、過大な景品付与の検出を実施。
- 消費者契約法では不当条項や誤解を招く表現をチェック。
- 著作権法では引用条件の不備、出典表記の欠落、無断転載の可能性を示唆。
導入メリット
- 法務リスクの早期発見と削減。
- 制作スピードの向上と差し戻しの減少。
- ナレッジ化による担当者の教育効果。
- レビューコストの見える化と再発防止サイクルの構築。
活用事例
化粧品メーカーのLP改善
薬機法チェックで断定表現を抽出し、根拠範囲内の効果表現に改稿。
行政指導リスクを抑えつつ、コンバージョン率を維持しました。
健康食品のSNS広告運用
出稿前に一括チェックを実施し、景品表示法違反の恐れがある比較表現を修正しました。
差し止めやアカウント停止のリスクを回避しました。
ECモールの出店者ガバナンス
商品説明文を自動スクリーニングし、著作権侵害と誇大広告の疑義を早期検知しました。
モール全体の信頼性向上に寄与しました。
導入ステップと運用フロー
- 対象法域の選定とナレッジDB整備。
- 出力様式の設計とワークフロー定義。
- 制作フローへの組み込みと担当割り当て。
- 運用データの蓄積とモデルの継続チューニング。
下書き の段階で一次チェックを行い、最終公開前に再チェックする二段階運用が推奨です。
品質とガバナンスの設計指針
- AI判定は一次スクリーニングとして活用し、最終判断は人が行う体制にする。
- 根拠資料のリンクや試験条件を社内で保管し、必要に応じて提示可能にする。
- 版管理を実施し、いつ誰がどの修正を行ったかを追跡できるようにする。
費用対効果の考え方
差し戻し回数の削減、法務レビュー時間の短縮、出稿停止リスクの回避を定量化します。
制作本数が多いほど自動チェックの効果は大きくなります。
実際の画面
チャット形式で進む
このAIツールはチャット形式で進みます。
チェックしたいテキストを入力する
チャットにチェックしたいテキストを入力します。
AIがリーガルチェックをし診断結果を表示する
チャットに入力したテキストを元にAIがリーガルチェックを行います。
違反の可能性がある場合、以下を表示します。
・違反の可能性のある法律・条項
・違反の可能性
・違反の理由・根拠
・改善提案
・補足情報
・リスクレベル
投稿者プロフィール
- サンクユーのEC-CUBE先生。
EC-CUBEのカスタマイズをし出して早15年。
難易度の高いカスタマイズもお任せ。
2系、3系、4系すべて対応可能。
実はjavaでの業務システム開発がエンジニア人生のスタート。
PHP、Perl、フロントエンド開発、Movable Type、Wordpressも得意という万能エンジニア。