Difyとは?ノーコードでAIアプリ開発ができる生成AIプラットフォームを徹底解説【2025年最新】

Difyとは?ノーコードでAIアプリ開発ができる生成AIプラットフォームを徹底解説AI
Difyとは?ノーコードでAIアプリ開発ができる生成AIプラットフォームを徹底解説
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1. Difyの概要と重要性

Dify(ディファイ)は、プログラミングの知識がなくても誰でも簡単に高度なAIアプリケーションを開発できるオープンソースのLLM(大規模言語モデル)アプリ開発プラットフォームです。RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)エンジンを活用し、単純なチャットボットから複雑なAIワークフローまで、様々な生成型AIアプリケーションの設計・構築を可能にします。

近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの発展により、企業や個人がAI技術を活用したいというニーズが急速に高まっています。しかし、従来はプログラミングスキルや専門知識がなければAIアプリの開発は難しいものでした。Difyはこの障壁を取り除き、誰もが簡単にAI技術を活用できる環境を提供することで、AIの民主化に大きく貢献しています。

2. Difyの基本概念と主な特徴

基本概念

Dify(Dify.AI)は、AI開発の敷居を下げ、誰もが手軽に高度なAIアプリケーションを構築できるプラットフォームです。基本的にはノーコードツールであり、コーディングではなく、処理の機能を持つブロックを視覚的につなげていくことでプログラムを組み立てます。

ノーコードでブロックを視覚的に組み立てるUIの例

主な特徴

1. 直感的なオールインワンワークスペース

視覚的なインターフェースを通じて、ドラッグ&ドロップでAIアプリを作成できます。

2. ノーコード開発

プログラミングの知識がなくても、ブロックを組み合わせることで複雑なAIアプリケーションを構築できます。

3. 多様なAIモデルとの連携

OpenAI、Anthropic、Azure OpenAI、Llama2、Hugging Face、Replicateなど、様々なAIモデルプロバイダーをサポートしています。

4. RAGエンジン搭載

外部情報や知識ベースを活用し、より正確で関連性の高い回答を生成できます。

5. 柔軟な拡張性

プラグインシステムとマーケットプレイスにより、様々な機能拡張が可能です。各プラグインは独立して動作するため、開発やアップデートが容易です。

6. 豊富なテンプレートとコンポーネント

様々なユースケースに対応したテンプレートが用意されており、すぐに利用を開始できます。

7. 日本語対応

インターフェースが日本語化されているため、日本国内のユーザーにとって扱いやすいです。

3. Difyの具体的な使い方(ステップバイステップ)

Difyの使用方法には、ブラウザでの利用とローカルでの利用の2つの方法があります。

ブラウザでの使用方法

  1. アカウント作成・ログイン:Difyの公式サイト(https://cloud.dify.ai/signin)にアクセスし、GitHubまたはGoogleアカウントでログインします。
  2. プロジェクト作成:「最初から作成」または「テンプレートから作成」を選択し、画面上の指示に従ってアプリ作成を開始します。
  3. 基本情報の設定:アプリの名称、説明、アイコンなどを入力します。
  4. AIモデルのセットアップ:画面右上の設定からモデルプロバイダーを選択し、各種APIキーを入力します。初期設定では「gpt-4o-mini」が選択されています。
  5. プロンプトの作成とテスト:作成したプロンプト(指示文)に基づき「デバッグとプレビュー」でチャットボットのテストを実施します。
  6. 公開:動作確認後、「公開する」ボタンを押して完成させます。

「Difyの始め方」ログイン画面

ローカルでの使用方法

  1. 環境準備:Dockerをインストールします。
  2. リポジトリのダウンロード:DifyのGitリポジトリ(https://github.com/langgenius/dify)をローカルにダウンロードします。
  3. Dockerの起動:ダウンロードしたディレクトリ内のdockerフォルダに移動し、「docker compose up -d」コマンドでDockerコンテナを起動します。
  4. ログイン:ブラウザで起動したローカルDifyのログイン画面にアクセスし、ユーザー情報を設定します。
  5. APIキーの設定:ブラウザモードと同じ手順でAPIキーを登録し、アプリ作成を進めます。

Dockerの公式サイトからWindows用をダウンロードする画面

4. Difyで開発できるAIアプリケーションの種類と事例

Difyでは、以下のような様々なタイプのAIアプリケーションを開発することができます:

チャットボット・AIアシスタント

ユーザーとの対話を通じて質問に答えたり、タスクをサポートするアプリケーションです。例えば、オンラインショップでの注文状況確認や、24時間対応可能なカスタマーサポートなどに活用できます。

テキストジェネレーター

SQLジェネレーター、コードコンバーターなど、各種テキスト生成アプリが作成可能です。ブログ記事、製品説明、ニュースレターなど、様々なコンテンツの自動生成により、制作コストと時間を削減できます。

要約・分析ツール

長文ドキュメントの内容を要約し、テキストデータの分析を行うアプリを作成できます。大量のデータや文章の要約を自動生成し、情報収集や意思決定を効率化します。

画像生成アプリ

DALL·EやStable Diffusionなどと連携し、テキストプロンプトから画像を生成するツールを作成できます。広告バナーやSNS投稿用のビジュアルコンテンツを自動生成し、デザインの専門知識がなくてもプロフェッショナルな画像が作成可能です。

計算・問題解決ツール

WolframAlphaなどの計算エンジンを統合した、数学や物理学などの分野で問題の計算やシミュレーションを行うツールとして活用できます。

文書処理ワークフロー

Zoomの文字起こしデータから議事録を作成するなど、複雑なドキュメント処理ワークフローを構築できます。

Zoom文字起こしから議事録作成ワークフローの概略図

5. Difyの料金体系と商用利用について

料金体系

Difyの料金プランは4種類に分かれています:

プラン料金対象主な特徴
SANDBOX(無料)無料初心者向け200回のメッセージクレジット
最大10個のアプリ開発
5MBのベクトルストレージ
PROFESSIONAL$49(年契約時)
$59(月契約時)
ビジネス利用向け
(最大3人利用)
月5,000回のメッセージクレジット
最大50個のアプリ開発
200MBのベクトルストレージ
一括ドキュメントアップロード
メールサポート
TEAM$133(年契約時)
$159(月契約時)
大規模な開発向け
(利用人数無制限)
10,000回のメッセージクレジット
無制限のアプリ開発
1GBまでのベクトルストレージ
優先メール・チャットサポート
ENTERPRISE要問合せ企業全体での導入向けメッセージクレジット無制限
アプリ開発無制限
ベクトルストレージ無制限
企業向けの高度な機能
Slack、電話、メールによるサポート

Difyの料金体系表(月額プラン)の画像

商用利用について

Difyは基本的に商用利用が可能なオープンソースソフトウェアですが、以下の条件に注意が必要です:

商用利用が制限されるケース

  • Difyのソースコードを用いて複数の企業・組織が共用するマルチテナントSaaSサービス(例: 複数企業向けチャットボットプラットフォーム)を運営する場合。
  • Difyのコンソールに表示されるロゴや著作権情報を削除または変更する場合。

このような場合は、Difyのビジネスチーム(business@dify.ai)に問い合わせ、商用ライセンスを取得する必要があります。

商用利用が許可されるケース

  • 社内システムやアプリケーションへの組み込み
  • Difyを使用して開発したアプリケーションの販売
  • カスタマイズして特定の顧客向けにサービスを提供する場合(Difyロゴや著作権情報は適切に表示する必要があります)

6. DifyとLangChainなど他のツールとの比較

DifyとLangChainの違い

  1. 開発アプローチ: Difyは直感的なビジュアルワークフローインターフェースを備えており、非技術者でも迅速にアプリケーションを構築できます。一方、LangChainは主にPythonライブラリとして提供され、コードの記述やデバッグが必要で、学習コストが高いです。
  2. 複雑さの管理: LangChainは多数の抽象化層を持っており複雑になりがちですが、Difyは必要な場合にのみ複雑さを追加し、シンプルで生産性に優れる設計となっています。
  3. 信頼性: Difyは専任のエキスパートチームと自社クラウドサービスによって継続的に改善され、実績のあるパフォーマンスが保証されています。対して、LangChainは第三者のコード貢献に依存しているため、場合によっては信頼性に不安があります。

Feature Comparison Visual 1

他のツールとの比較

Difyの特徴は、他の類似ツールと比べて以下の点で際立っています:

  1. ユーザビリティ: ノーコードで直感的に操作できるインターフェースを採用しており、専門的なプログラミング知識が不要です。
  2. 多様なAIモデル対応: 豊富なAIモデル(例:OpenAI、Claude 3など)との簡単な統合が可能で、業務に適したAIモデルを自由に選択できます。
  3. 日本語サポート: 日本語対応をしているため、国内ユーザーにとって使いやすいです。
  4. 無料プラン提供: 初期投資を抑えながら試すことができ、利用開始が容易です。

7. Difyの強みと限界

Difyの強み

  • 直感的なノーコード開発環境: プログラミングの知識がなくても、誰でも簡単にAIアプリを開発できます。
  • 豊富なテンプレートとサポート: 様々なユースケースに対応したテンプレートが用意されており、すぐに利用を開始できます。
  • RAGエンジン: 外部情報を参照し、より正確で関連性の高い回答を生成できます。
  • Backend-as-a-Service (BaaS)アーキテクチャ: 迅速な展開と運用が可能です。
  • APIとの連携: 他システムとのシームレスな連携やカスタマイズが容易です。
  • オープンソース: 自分たちの環境にホスティングしたり、オープンソースのLLMを利用してデータの外部送信の懸念を払拭できる点が特徴です。

Difyの限界

  • 完全なカスタマイズの制約: 専門的なプログラミング知識がない場合、完全に自由なカスタマイズには限界があります。
  • ユースケースの理解: 初心者にとっては具体的なユースケースが見えにくく、導入の際に利用イメージを掴むのが難しい場合があります。
  • 商用利用の制限: 特定のケース(マルチテナントSaaSなど)では、商用ライセンスの取得が必要です。

8. 実際の活用事例・企業導入例

Difyは様々な企業や組織で活用されています:

食べログ

Dify Community(JP) の立ち上げに参加しており、積極的にAIアプリ開発に取り組んでいます。

出典: 食べログ テックブログ

令和トラベル

複雑なワークフローやAI機能を活用したシステム構築にDifyを採用しています。

出典: Dify Meetup Tokyo

東京都

2024年12月に開催されたAI戦略会議の発表資料にDifyが記載されており、機密性の高い情報の処理のためにローカルLLM(例:Llama3.1)を利用するシナリオが想定されています。

出典: Dify関連コミュニティ情報

これらの事例から、Difyが商業利用だけでなく公共領域においても安全かつ効果的なAIアプリケーション開発に役立つプラットフォームであることがわかります。

Difyの概要を示すイメージ

9. まとめ:Difyが選ばれる理由と今後の展望

Difyはノーコードで誰でも簡単にAIアプリケーションを開発できる革新的なプラットフォームとして、多くの個人や企業に選ばれています。その理由は以下の通りです:

  1. 敷居の低さ: プログラミングの知識がなくても、直感的なインターフェースを通じて複雑なAIアプリケーションを構築できます。
  2. 多様な機能: RAGエンジン、様々なAIモデルとの連携、プラグインシステムなど、高度な機能が揃っています。
  3. 柔軟な利用形態: クラウドサービスとしての利用だけでなく、ローカル環境へのインストールも可能で、セキュリティやコンプライアンスの懸念に対応できます。
  4. コスト効率: 無料プランの提供により、低コストでAI技術の導入が可能です。

今後、Difyはさらに機能が拡充され、より多くの業界や用途での活用が期待されます。AIの民主化を促進し、誰もが先進的なAIアプリケーションを開発できる環境を提供することで、ビジネスや社会の様々な課題解決に貢献していくでしょう。

あなたも今すぐDifyを試して、自分だけのAIアプリケーションを作ってみませんか?

©2024 Dify解説記事

※この記事は2024年5月現在の情報に基づいています。最新情報は公式サイトでご確認ください。

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


■趣味・好きなもの
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