発注担当者が喜ぶBtoB-ECとは?注文側の視点から考える導入効果

発注担当者が喜ぶBtoB-ECとは?注文側の視点から考える導入効果B2B-EC
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はじめに:BtoB-ECの本当の評価者は「発注者」

BtoB-EC(企業間取引ECサイト)の導入目的には、業務効率化、属人化の解消、営業・事務負担の軽減など、社内視点での理由が多く挙げられます。
しかし、導入後にシステムが実際に活用されるかどうかを最終的に決めるのは「発注担当者」です。
つまり、日々注文業務を担う人がどれだけ使いやすいと感じるかが、利用率や定着率を左右します。

もし注文側の使い勝手が悪ければ、「結局FAXや電話で注文した方が早い」という結論になり、せっかくの投資が無駄になってしまいます。
本記事では、発注担当者の立場から見たBtoB-ECの価値、使われ続けるための設計、そして導入効果を最大化する方法について解説します。

発注担当者の本音とは?BtoB取引の裏側にある悩み

典型的な“注文側”の困りごと

  • FAXで注文するたびに記入ミスや読み取りミスが心配
  • 注文履歴を紙ファイルやExcelで探すのに時間がかかる
  • 納期がいつになるのか、確認するまで分からない
  • 自社専用価格が反映されておらず、毎回営業に確認が必要
  • 画面構成が複雑で、マニュアルを見ても操作方法が理解しにくい

発注担当者は、多くの場合「ミスなく・早く・確実に」発注業務を終えることを最優先に考えています。
そのため、システム導入の目的が企業側の効率化だけに偏ると、発注者にとっては負担が増える場合があります。

発注担当者が「このECは使いやすい」と感じる5つの要素

1. 再注文が簡単にできる

過去の注文履歴からワンクリックで再注文できる機能は、発注担当者の大きな負担軽減になります。
数量や納期なども自動反映され、確認だけで完了できる仕様が理想です。

2. 自社専用の情報が表示される

取引条件、単価、納期などが顧客ごとに自動反映されるマイページは、誤発注の防止や確認作業の削減につながります。
発注担当者は「価格が正しいか」「納期が想定通りか」を確認するストレスから解放されます。

3. 在庫・納期がわかる

発注前に在庫数と納期がリアルタイムで表示されることで、社内の承認やスケジュール調整がスムーズになります。
納期未定や在庫不明の状態での発注は、後工程に影響しやすく、発注担当者の不安要因となります。

4. 履歴・進捗が見える

誰が・いつ・何を発注したのかが一覧で見える機能は、二重発注や確認漏れを防ぎます。
また、社内共有が容易になり、担当者が休暇中でも他のメンバーが状況を把握できます。

5. UIがシンプルでわかりやすい

直感的に操作できる画面設計は、デジタルツールに慣れていない担当者にも安心感を与えます。
スマホやタブレット対応も重要で、外出先や現場からでも迷わず発注できる環境が望まれます。

「注文しやすい設計」がもたらす導入効果

  • 顧客満足度の向上:使いやすさは継続利用やリピート受注を促進
  • 注文ミスや問い合わせの減少:営業・CSの対応負担が軽減
  • 顧客社内の業務効率化:取引先からの信頼度向上につながる
  • システム定着率の向上:ROI(投資対効果)の最大化

注文側から考える「使われるEC設計」のチェックポイント

設計項目顧客にとってのメリット
再注文ボタン/履歴機能操作時間の短縮と発注の手軽さ
マイページ・価格別表示誤発注防止と安心感の向上
納期・在庫の見える化社内調整や承認プロセスの迅速化
発注履歴の共有属人化の解消とチーム内情報共有の効率化
UI/UXの設計初心者でもストレスなく操作可能

発注者目線を反映させた改善施策の事例

ある製造業A社では、BtoB-EC導入後に利用率が伸び悩んでいました。
そこで顧客ヒアリングを実施し、再注文機能の簡略化と在庫表示のリアルタイム化を行ったところ、利用率が半年で40%から75%へ向上しました。

卸売業B社では、発注担当者が求める「納期予測表示機能」を追加。
その結果、納期問い合わせが大幅に減少し、CS部門の対応時間を月間40時間以上削減できました。

「業務効率」ではなく「発注体験」の改善を

BtoB-ECは発注者にとって便利なツールであることが前提です。
企業側の業務効率だけを優先すると、顧客の利便性が犠牲になり、結果的に利用されないシステムとなります。

  • 発注者の声を設計段階から取り入れる
  • 安心・時短・快適をキーワードに機能を選定
  • 営業・CSが顧客体験を支える運用体制を作る

まとめ:発注者が“喜ぶ設計”が継続的な取引につながる

  • BtoB-ECは「ミスを防ぎ業務をラクにする仕組み」になっているか
  • 顧客の業務改善につながるUI・機能が備わっているか
  • 顧客から「便利で助かる」と言われる仕組みになっているか

発注者が喜び、社内でも「使って当たり前」となるBtoB-ECは、長期的な取引関係と企業の成長を支える強力な武器となります。

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投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


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