EC-CUBEでBtoB-ECを段階的に作るには?スコープ設計とMVPの考え方

EC-CUBEでBtoB-ECを段階的に作るには?スコープ設計とMVPの考え方EC-CUBE
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この記事でわかること
「EC-CUBEは自由に作れると聞いて、あれもこれも入れたくなる」——BtoB-ECを検討すると、こうなることがあります。ただ、機能をすべて盛り込むと、構築にも運用にも、負担が増えることがあります。大切なのは、今、本当に必要かどうかで、作る範囲を決めることです。この記事では、最小の構成から始めて、段階的に広げていく、スコープ設計の考え方を解説します。

この記事を読むと分かること

  • 機能を盛り込みすぎると、何が起きるか
  • MVP(最小実用構成)から始める考え方
  • コアと拡張を分けて、段階的に作る設計

BtoB-ECのプラットフォーム選び全体については、なぜBtoB-ECにEC-CUBEが向いているのかもあわせてご覧ください。

なぜ、機能を盛り込みすぎてしまうのか

EC-CUBEは、顧客別価格、承認フロー、掛売・与信、基幹連携など、さまざまな機能を設計できます。「できる」と聞くと、最初から全部入れたくなるのは、自然なことです。ただ、ここで大切なのは、それが今、本当に必要かどうかです。将来使うかもしれない機能、まだ確定していない価格体系、未定義の承認フローまで、最初から作り込もうとすると、要件の変更や、設計のやり直しが起きやすくなります。

機能を盛り込みすぎると、どうなるか

必要以上に機能を盛り込むと、次のような影響が出ることがあります。

  • 構造が複雑になり、後からの変更がしにくくなる
  • 保守の対象が増え、運用の負担が増える
  • プラグインを積み上げると、競合や、パフォーマンスへの影響が出ることがある

ECサイトは、公開がゴールではなく、公開してからの運用が続きます。作った機能は、その後ずっと、保守の対象になります。だからこそ、最初にどこまで作るかを決めることが、後の運用のしやすさにも関わります。プラグインの設計については、プラグイン設計で確認したい9つのポイントで解説しています。

考え方:コアと拡張を分けて、段階的に作る

大切なのは、「全部作る」ことではなく、今、必要な部分(コア)と、将来の拡張を、分けて考えることです。初期導入の目的を満たすために必要な機能を、まず整理する。将来の拡張は、拡張できる構造にしておいたうえで、実装は段階的に行う。この分け方が、スコープ設計の出発点になります。

ここで大切なのは、将来変更の可能性を設計時に確認することと、将来必要になるかもしれない機能を先に実装することは、別だということです。変更の可能性が高い領域は、データや責務の分け方を検討しておきます。一方で、必要性がまだ確定していない機能まで、初期フェーズに含めるとは限りません。将来を見据えて設計はするけれど、将来の機能まで先に作るわけではない、という考え方です。

作る範囲を絞るための、4つの考え方

① MVP(最小実用構成)を定義する

MVPとは、最小限で実用になる構成のことです。まず、「これがないと、業務が回らない」という中核の部分を決めます。例えば、受注業務の効率化が初期目的であれば、その目的に必要な部分から始めます。すべてを一度に作るのではなく、まず動く最小の構成を決めることが出発点です。

ここでいうMVPは、品質や安全性、業務上必要な要件を削ることではありません。初期導入の目的を満たすために必要な機能範囲を整理し、将来追加できる機能と分けて考える、という意味です。セキュリティや、受注・決済の整合性といった、運用に必要な部分は、最小構成であっても確保します。

② 将来拡張の「余白」を設計しておく

段階的に作るといっても、後から拡張しにくい作り方をすると、次のフェーズで作り直しになることがあります。そこで、今は実装しなくても、将来の拡張を見据えた構造にしておきます。たとえば、価格を管理するテーブルを分けておく、顧客の属性を追加できる余地を持たせておく、基幹連携を見据えた設計にしておく、といったことです。データ構造の考え方は、DB構造・Entity設計の解説もご覧ください。

③ フェーズを分ける

機能を、フェーズに分けて導入する方法があります。たとえば、次のような分け方です。

  • フェーズ1:受注の効率化(まず、注文を受けられるようにする)
  • フェーズ2:基幹システムとの連携
  • フェーズ3:承認フロー・与信管理の統合

どのフェーズで、何を入れるかは、業務の優先順位によって変わります。段階的に導入することで、一度に大きく作るより、リスクを分けやすくなります。

④ 何のための機能かを、はっきりさせる

機能を追加するとき、「これは、何を改善するための機能か」を、はっきりさせておくことが役立ちます。目的が説明できない機能は、優先度を下げて、後のフェーズで検討する、という判断もできます。要望をすべて盛り込むのではなく、目的から優先順位をつけることが、スコープ設計では大切です。

EC-CUBEのスコープ設計を、ご相談ください。

「どこまでを最初に作るべきか整理したい」「段階的な導入の進め方を相談したい」といった段階からご相談いただけます。現在の構想や受注業務を伺ったうえで、まず何から作るか、どう段階的に広げるかをご提案します。

スコープ設計を相談する

よくある質問

最初から、必要な機能を全部作ったほうがよいのではないですか?

必ずしもそうとは限りません。将来使うかもしれない機能や、まだ確定していない要件まで最初から作り込むと、要件の変更や設計のやり直しが起きやすくなります。また、作った機能は、その後の保守の対象になります。まず、初期導入の目的を満たすために必要な部分から作り、将来の拡張は、拡張できる構造にしておいたうえで段階的に実装する、という進め方もあります。

MVP(最小実用構成)とは、どういう意味ですか?

最小限で実用になる構成のことです。「これがないと業務が回らない」という中核の部分を指します。ここでいうMVPは、品質や安全性、業務上必要な要件を削ることではありません。初期導入の目的に必要な機能範囲を整理し、将来追加できる機能と分けて考えるという意味です。セキュリティや、受注・決済の整合性といった運用に必要な部分は、最小構成でも確保します。

段階的に作ると、後から作り直しになりませんか?

後からの拡張を見据えずに作ると、次のフェーズで作り直しが必要になることがあります。そのため、今は実装しない部分も、将来の拡張を見据えた構造(価格テーブルの分離、顧客属性の拡張余地、基幹連携を見据えた設計など)にしておくことが役立ちます。コアと拡張を分けて設計しておくことで、段階的な拡張がしやすくなります。

どの機能を最初に入れるか、どう決めればよいですか?

「その機能が、何を改善するためのものか」を基準に考えることをおすすめします。目的がはっきりしている機能を優先し、目的が説明できない機能は、後のフェーズで検討する、という判断ができます。部門ごとの要望をすべて盛り込むのではなく、業務の優先順位から、まず何を作るかを決めることが大切です。

まとめ

EC-CUBEは自由に設計できるため、機能を盛り込みたくなることがありますが、大切なのは、今、本当に必要かどうかで、作る範囲を決めることです。MVP(最小実用構成)から始め、コアと拡張を分けて、フェーズごとに段階的に作る。そして、それぞれの機能が何のためのものかを、はっきりさせておく。こうしたスコープ設計は、構築後の変更や保守の範囲を考えるうえでも重要です。自由度は、要件に合わせて作れる強みですが、そのぶん、どこまで作るかを整理することが大切です。

私たちサンクユーは、BtoB-ECの構築や、段階的な導入の設計に対応しています。「どこまでを最初に作るべきか整理したい」といった段階から、ご相談いただけます。まずは、現在の構想や受注業務をお聞かせください。

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
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