FAX注文に限界を感じたら?受注業務を効率化する方法とツール比較

FAX注文に限界を感じたら?受注業務を効率化する方法とツール比較B2B-EC
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はじめに:FAX注文処理、こんな悩みはありませんか?

  • FAXで届いた注文書を、間違えずに入力するのがプレッシャーになっている
  • 毎朝、受信されたFAXを確認・印刷・転記するだけで1時間以上かかる
  • 急ぎの注文を見落として納期遅延やクレームにつながったことがある
  • 過去の注文書を探すのに時間がかかりすぎる

多くの企業の営業・受注担当者が、このような課題を抱えています。
FAXによる注文は依然として多くの業界で利用されていますが、その背景には「慣習」や「取引先の事情」があります。
しかし、FAX注文は**人手依存・属人化・ミス発生率の高さ**といった非効率性を避けられず、企業の成長を阻害する要因にもなります。

この記事では、FAX注文のどこに問題があるのかを整理し、現場で導入しやすい業務効率化手段(OCR、RPA、BtoB-EC)を詳細に比較。
さらに、導入プロセスや成功事例、費用対効果まで徹底解説します。

FAX注文が非効率な3つの理由

① 入力・転記ミスが発生しやすい

FAXで届く注文書は、手書き文字や略語、独自フォーマットが混在します。
読み間違いや入力ミスが起きやすく、出荷ミスや返品、顧客満足度の低下につながります。
特にBtoB取引では、数量や品番の間違いが大きな損失を生むこともあります。

② 作業の属人化と時間の浪費

得意先ごとの独特な注文書式や記載ルールは、長年担当してきた社員しか理解できないことが多く、業務が属人化します。
その結果、引き継ぎが困難になり、新人教育にも時間がかかります。
加えて、FAX確認→印刷→転記→照合→ファイリングという流れは膨大な時間を消費します。

③ 情報共有と検索性の低さ

FAX注文は紙ベースのため、受注情報が社内で共有されるまでタイムラグが発生します。
営業・生産・倉庫などの部門間でリアルタイムに情報を共有できず、急な在庫変動や納期変更への対応が遅れがちです。
過去の注文履歴を探す際にも、紙の山から探し出す非効率さが残ります。

受注業務を効率化する3つのアプローチ

① OCR(光学文字認識)

OCRはFAXや紙の注文書をスキャンし、文字をデジタルデータに変換します。
定型フォーマットに強く、低コストで導入できるため、初期段階の効率化に向いています。

  • メリット:低コスト/既存業務フローに組み込みやすい/紙からデータ化できる
  • 注意点:読み取り精度に限界/非定型注文書は誤認識が増える

② RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

RPAは人間が行っているPC操作を自動化します。
OCRで読み取ったデータを基幹システムに自動登録するなど、組み合わせで効果を発揮します。

  • メリット:大量処理が可能/業務フローを大きく変えずに自動化
  • 注意点:操作画面変更に弱い/シナリオ保守が必要

③ BtoB-EC(Web注文システム)

顧客が直接Web画面に注文を入力する方式です。
入力ミスを根本的に減らし、顧客別価格表示、在庫確認、履歴参照など高度な機能を実装できます。

  • メリット:転記不要/注文処理の自動化/顧客利便性の向上
  • 注意点:初期構築と顧客教育が必要

手法別比較表

方法特徴おすすめケース注意点
OCR紙の注文書を読み取りテキスト化定型フォーマット多数非定型には弱い/精度確認必須
RPAPC操作を自動化システム間の手入力が多いUI変更で停止の恐れ
BtoB-EC顧客がWeb上で直接入力定期取引/顧客のITリテラシー高構築・教育コスト

業種別活用事例

印刷業

名入れ印刷注文をFAXで受けていたが、Web注文フォームを導入し、顧客自身が仕様入力。
誤入力ゼロを達成し、営業担当の負担が軽減。

部品商社

OCR+RPAを組み合わせ、FAX+メール注文を基幹システムへ自動登録。
月60時間の入力作業を10時間以下に短縮。

卸売業

BtoB-ECを導入し、再注文機能で定期発注を簡略化。
FAX注文割合を80%から20%以下に削減。

導入の進め方と成功ポイント

  1. 現状の業務フローを可視化し、時間・コストを定量化
  2. 課題に合った手法を選択(短期改善ならOCR、中期的ならBtoB-EC)
  3. スモールスタートで試験導入
  4. 効果を数値化して社内共有
  5. 段階的に範囲拡大

費用対効果の試算例

例えば、月300件のFAX注文を1件8分で入力している場合、総工数は月40時間。
時給2,000円換算で月8万円の人件費が発生します。
これをBtoB-ECに置き換えれば、入力作業はほぼゼロになり、年間96万円のコスト削減が可能です。

よくある失敗と回避策

  • 顧客教育不足 → 導入前に説明会やマニュアル提供を行う
  • システムの過剰機能 → 必要最小限から始める
  • 社内抵抗 → スモールスタートと効果測定で説得

FAQ

Q. 顧客が高齢でPCが苦手な場合は?
A. 並行運用や代理入力で移行期間を設けるとスムーズです。
Q. 小規模企業でもBtoB-ECは導入可能?
A. クラウド型サービスを活用すれば初期費用を抑えられます。
Q. OCRの精度が低い場合は?
A. フォーマット統一や補助入力ツールの併用で精度向上が可能です。

まとめ

FAX注文は長年の慣習ですが、非効率さとリスクを抱えています。
OCR、RPA、BtoB-ECなどのツールを活用すれば、受注業務の効率化とミス削減が実現します。
重要なのは、自社の現状に合わせた最適な方法を選び、段階的に導入していくことです。
2025年は、FAX依存から脱却し、業務改革を加速させるチャンスです。

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投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


■趣味・好きなもの
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