BtoB-ECに必要な機能とは?見積・価格表示・CSV出力を徹底解説【2025年最新版】

BtoB-ECに必要な機能とは?見積・価格表示・CSV出力を徹底解説【2025年最新版】B2B-EC
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はじめに:BtoB-ECの成否は機能選定で決まる

BtoB-EC(企業間電子商取引)は、FAXや電話、メールによるアナログ受発注を効率化し、正確性とスピードを高めるための強力な手段である。
近年はDX推進や人手不足の影響を受け、製造業、卸売業、印刷業、建材業界など幅広い業種で導入が加速している。
しかし「BtoCのECと何が違うのか」「どの機能を優先すべきか」が明確でないまま導入すると、運用が定着せず失敗に終わるケースも少なくない。
本記事では、特に重要度の高い「見積機能」「価格表示制御」「CSV出力・基幹連携」に焦点を当て、それぞれの具体的な活用方法と導入効果を徹底解説する。

なぜBtoB-ECに特別な機能が必要なのか

BtoB取引は、顧客ごとに価格・取引条件・支払方法・納期が異なるのが特徴である。
さらに、発注前の見積や社内承認フロー、掛売、月締め請求といったプロセスが存在し、BtoC向けの汎用ECでは対応が難しい。
そのため、単なるオンライン注文フォームではなく、取引の一連の流れを最適化できる機能設計が求められる。

機能①:見積書の自動発行と注文連携

見積機能の重要性

BtoB取引では、多くの場合、発注前に見積が必須である。
従来の紙やExcelによる見積作成は、担当者の負担が大きく、回答までに時間がかかることが多い。
見積自動発行機能を導入すれば、顧客が商品・数量を入力した瞬間にPDF見積書を生成できる。
これにより、営業担当の工数を大幅に削減でき、顧客満足度の向上にもつながる。

承認フローと注文連携

見積から発注へのスムーズな連携も重要である。
見積番号を指定して注文へ変換できれば、見積→承認→発注の履歴を一元管理できる。
社内承認や稟議が必要な顧客には、承認者アサインや期限通知を組み込むことで対応可能となる。
実際に、建材メーカーではこの仕組みにより見積から受注までのリードタイムが70%短縮された事例もある。

機能②:顧客別価格と商品表示制御

顧客別価格表示

BtoB取引では、同じ商品でも取引先によって単価が異なる。
顧客別の価格表や数量別価格設定ができる機能は必須である。
掛率設定や期間限定の特別価格、キャンペーン価格の適用なども可能にすれば、見積や価格調整の手間を削減できる。
価格改定履歴を保持しておくと、過去の取引条件の確認や監査にも対応できる。

商品表示制御

特定顧客だけに商品を表示する、地域や代理店ごとに商品を出し分けるなどの機能は、販路戦略に直結する。
新商品を先行販売する際や限定販売を行う場合にも有効である。
実際に、卸売業ではこの機能により価格表送付や個別調整の手間が削減され、クレーム件数が減少した事例がある。

機能③:注文データのCSV出力と基幹システム連携

CSV出力の利便性

受注一覧、顧客データ、商品別集計をCSV形式で出力できる機能は、基幹システムや会計ソフトとの連携に欠かせない。
出力項目や文字コード、区切り文字をカスタマイズできれば、既存システムとの親和性が高まる。
また、定期的なエクスポートを夜間バッチで自動化することで、日々の作業負担を大幅に軽減できる。

API連携との使い分け

在庫や価格などリアルタイム性が求められるデータはAPIで連携し、日次で十分なデータはCSVで同期するのが現実的である。
APIが利用できない古いシステムにはRPAを組み合わせることも可能である。
製造業では、CSV連携により販売管理システムへの手入力が不要となり、1日3時間の作業が数分に短縮された事例がある。

その他の必須・便利機能

  • 注文履歴からの再注文機能。
  • 月締め請求書や納品書の自動発行。
  • 社内承認ワークフロー(段階承認・差し戻し対応)。
  • 入稿ファイルのアップロード機能(印刷・制作業向け)。
  • IPアドレス制限やSAML認証によるセキュリティ強化。

業界別の活用事例

製造業

顧客別価格と再注文機能を活用し、定期発注の工数を削減。
図面添付や検査成績書の必須化で品質トラブルも減少した。

卸売業

商品表示制御と顧客別価格の組み合わせで販路管理を効率化。
請求書の自動発行で経理業務も軽減された。

印刷業

入稿ファイルアップロードと仕様入力フォームの導入で校了までの時間を短縮。
再注文機能によりリピート率も向上した。

導入前に確認すべきポイント

  1. 必須機能と将来拡張機能を切り分けているか。
  2. 現状の業務フローを可視化しているか。
  3. 顧客教育やマニュアルの準備があるか。
  4. 基幹システムとの連携方法を決めているか。

まとめ:機能要件の明確化が成功の鍵

BtoB-ECで成果を出すためには、業務フローに合った機能を実装することが不可欠である。
特に「見積自動化」「顧客別価格表示」「CSV出力・基幹連携」は多くの企業で高い効果を発揮する。
導入を検討する際は、まず必要な機能要件を明確にし、段階的な導入計画を立てることから始めよう。
そうすることで、業務効率化だけでなく、顧客満足度の向上や競争力強化にもつながる。

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投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


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