EC-CUBEとは?人気の理由と基本情報
EC-CUBEは、日本発のオープンソース型ECプラットフォームで、多くの企業に選ばれている国産ECサイト構築システムです。株式会社イーシーキューブが開発・提供しており、ネットショップの構築から運営まで幅広く対応しています。
EC-CUBEが選ばれる理由
EC-CUBEは以下の理由で多くの企業に選ばれています:
- 日本語対応に優れている:国産システムのため、日本の商習慣やビジネスモデルに対応しやすく、日本語サポートが充実しています。
- カスタマイズ性の高さ:オープンソースのため、自社のニーズに合わせて自由にカスタマイズできます。
- 豊富なプラグイン:決済連携や配送管理など、様々な機能を追加できるプラグインが豊富に用意されています。
- コストパフォーマンス:ダウンロード版は無料で利用でき、初期コストを抑えられます(クラウド版は有料)。
- コミュニティの活発さ:情報共有や問題解決のためのコミュニティが活発であり、サポート体制が整っています。
EC-CUBEはバージョンによって仕様が大きく異なり、現在は4系が最新ですが、2系や3系も運用されています。選定時には、制作会社の得意とするバージョンも確認することが重要です。
EC-CUBE制作会社を選ぶ重要性
EC-CUBEでECサイトを構築する際、適切な制作会社を選ぶことはプロジェクトの成功を左右する重要な要素です。以下に、適切な制作会社選びの重要性をいくつか挙げます。
失敗事例から学ぶ制作会社選びの重要性
EC-CUBE導入で多くの企業が直面する失敗事例には以下のようなものがあります:
- 「ECサイトは完成したが、集客ができずに売れない」
- 「高額な費用をかけたのに、運用がしにくいシステムになってしまった」
これらの失敗は、適切な制作会社を選ばなかったことが原因であることが多いのです。Web幹事によると、ECサイト開発会社選びでは以下の2点が特に重要です:
- 自社の販売状況やオペレーションに合わせたECサイトを提案してくれるか
- 開発だけでなく、その後の集客や運営も支援してくれるか
特に初めてEC-CUBEを導入する場合、これらのポイントを押さえた制作会社選びが非常に重要になります。
専門知識を持った制作会社を選ぶ意義
EC-CUBEは高度なカスタマイズが可能ですが、その分専門知識が必要です。株式会社カジヤによると、「通販サイト制作会社」で検索しても「EC-CUBEは対応できない」と断られるケースや、無理な開発により使いづらいサイトになってしまうリスクがあります。
EC-CUBEに精通した制作会社は:
- 最新のEC-CUBE情報に詳しい
- 過去の開発実績を活かした効率的な提案ができる
- トラブル発生時に迅速な対応が可能
これらの理由から、EC-CUBE専門の制作会社を選ぶことで、初期投資を最適化し、長期的な運用コストも抑えることができるのです。
EC-CUBE制作会社の選び方10のポイント
EC-CUBE制作会社を選ぶ際は、以下の10のポイントを重視して選定すると失敗を防げます。
1. EC-CUBEの構築実績と経験
制作会社選びで最も重要なのは、EC-CUBEの構築実績です。単なるホームページ制作ではなく、EC-CUBE専門の構築実績が豊富かどうかをチェックしましょう。
- 確認ポイント:会社のウェブサイトで公開されているポートフォリオや実績を確認する
- 質問例:「EC-CUBEでの構築実績は何件ありますか?」「特にどのような業種・業態の実績が多いですか?」
2. インテグレートパートナーかどうか
EC-CUBEの公式パートナー制度である「インテグレートパートナー」の認定を受けているかどうかも重要なポイントです。株式会社Refineによると、インテグレートパートナーはEC-CUBEの構築・カスタマイズに関する専門知識と実績を持つ企業として認定されています。
- 確認方法:EC-CUBE公式サイトのパートナー一覧で確認可能
- 参考情報:パートナーランク(プラチナ、ゴールド、シルバー等)も参考になります
3. 対応可能なEC-CUBEのバージョン
EC-CUBEは2系、3系、4系と大きくバージョンが異なり、それぞれ仕様も異なります。制作会社がどのバージョンに強いかを確認することも重要です。
- 確認ポイント:最新の4系に対応しているか、レガシーシステムの2系・3系の保守にも対応可能か
- 質問例:「EC-CUBE4へのバージョンアップ対応は可能ですか?」
4. デザイン力と機能カスタマイズ力
ECサイトのデザインはユーザー体験に直結するため、見た目の良さだけでなく使いやすさも重要です。また、独自機能のカスタマイズにも対応できる技術力があるかを確認しましょう。
- 確認ポイント:過去の制作事例のデザイン性と機能面をチェック
- 質問例:「自社に特化した機能開発の実績はありますか?」
5. サポート体制と保守対応
ECサイト構築後も定期的なメンテナンスやトラブル対応が必要です。長期的なサポート体制が整っているかも重要なポイントです。
- 確認ポイント:保守契約の内容、サポート時間、緊急時の対応体制
- 質問例:「障害発生時の対応時間はどのくらいですか?」
6. SEOやマーケティングへの知見
素晴らしいECサイトを作っても、集客ができなければ売上は上がりません。SEO対策やデジタルマーケティングのノウハウを持っているかも重要です。
- 確認ポイント:SEO対策の実績、マーケティング支援の有無
- 質問例:「過去の案件でSEO対策によってどのような成果が出たか教えていただけますか?」
7. コミュニケーション力と提案力
プロジェクトを進める上で、要望をしっかり理解し、最適な提案をしてくれる会社かどうかも重要です。
- 確認ポイント:初回ヒアリングの質、提案内容の具体性
- 質問例:「自社の課題に対してどのような解決策を提案していただけますか?」
8. 費用対効果と予算の透明性
構築費用は会社によって大きく異なります。予算と期待する効果のバランスを考え、費用の内訳が透明かどうかを確認しましょう。
- 確認ポイント:見積もりの詳細、追加費用の発生条件
- 質問例:「基本機能以外にオプション費用が発生する可能性はありますか?」
9. プロジェクト管理能力
納期を守り、計画通りにプロジェクトを進行できる能力も重要です。
- 確認ポイント:過去のプロジェクト完遂率、進行管理手法
- 質問例:「プロジェクトの進捗はどのように共有されますか?」
10. セキュリティ対策の知識
EC-CUBEのセキュリティ対策は特に重要です。最新のセキュリティ知識を持っているかを確認しましょう。
- 確認ポイント:セキュリティ証明書、対策実績
- 質問例:「EC-CUBEのセキュリティアップデートにはどのように対応していますか?」
これらのポイントを総合的に評価し、複数の会社に相談した上で最適なパートナーを選びましょう。
EC-CUBEインテグレートパートナー制度とは
EC-CUBEインテグレートパートナー制度は、EC-CUBEの開発元である株式会社イーシーキューブが認定する公式パートナー制度です。この制度は、EC-CUBEの構築・カスタマイズのプロフェッショナルを見分けるための重要な指標となっています。
インテグレートパートナー制度の概要
EC-CUBEインテグレートパートナーとは、EC-CUBEの開発元と制作会社の間で結ばれるパートナー契約です。株式会社カジヤによると、この制度は「ランクシステムや開発事例の公開により、EC-CUBEの開発における各会社の強みをわかりやすくし、開発を希望される会社様との様々な齟齬を減らし、よりよい関係性を作るための取組み」です。
2023年3月時点で約160社が登録しており、それぞれの実績や専門性に応じてランク分けされています。
パートナーランクの種類と認定基準
インテグレートパートナーのランク制度は、EC-CUBEの本体開発やコミュニティ活動などにより獲得できる「コンピテンシーバッジ」の取得数に応じて決定されます。以下の6種類のランクが存在します:
ランク | ランクアップ条件 |
---|---|
プラチナ | 5つのコンピテンシーバッジの取得(コミュニティ活動と構築事例は必須) |
ゴールド | 3つのコンピテンシーバッジの取得(コミュニティ活動のバッジ必須) |
シルバー | 2つのコンピテンシーバッジの取得 |
ブロンズ | 1つのコンピテンシーバッジの取得 |
ノーマル | 構築事例の登録、プラグインの登録、本体開発参加のいずれかの活動を行う |
プレ | インテグレートパートナー登録のみ |
株式会社Refineによると、コンピテンシーバッジには「構築事例、デザインカスタマイズ、機能カスタマイズ、プラグインカスタマイズ、コミュニティ活動、本体開発」の6種類があります。
インテグレートパートナーを選ぶメリット
EC-CUBEインテグレートパートナーを選ぶことで、以下のようなメリットがあります:
- 最新情報への精通:パートナー企業はEC-CUBEの最新情報にアクセスでき、常に最新の知見を持っています。
- 実績の確認が容易:EC-CUBE公式サイトで構築事例が確認でき、各パートナーの得意分野や実績が透明化されています。
- コミュニティーとの連携:パートナー企業はEC-CUBEコミュニティと密接に連携しており、困難な問題にも対応できる可能性が高いです。
- 技術力の担保:特に上位ランク(プラチナ、ゴールド)のパートナーは、EC-CUBEの開発に積極的に貢献しており、高い技術力を持っていると考えられます。
EC-CUBEでの開発を検討する場合、インテグレートパートナーの中から自社のニーズに合った会社を選ぶことで、より確実に要望を実現できる可能性が高まります。
EC-CUBE制作の費用相場
EC-CUBE制作の費用は、規模や必要な機能によって大きく異なりますが、相場を把握しておくことで予算計画の参考になります。
規模別の費用相場
Web幹事の調査によると、EC-CUBE構築の平均費用は262.3万円、中央値は214.0万円となっています。具体的な価格帯の分布は以下の通りです:
- 10万〜100万円: 全体の18%
- 100万〜500万円: 全体の73%
- 500万円以上: 全体の9%
また、サイトの規模別に見ると、以下のような費用相場が見られます:
サイト規模 | 初期費用 | 月額費用 |
---|---|---|
小規模(商品数10個程度) | 10万〜35万円 | 1万円以下 |
中規模(商品数50個程度) | 50万円前後 | 1万〜1.5万円 |
大規模(商品数100個以上) | 60万〜100万円以上 | 2万円前後 |
これらの費用は目安であり、実際の見積もりは各社の技術力やサービス内容によって変動します。
費用に影響する主な要素
EC-CUBE構築の費用に影響する主な要素は以下の通りです:
- デザインの複雑さ:
- テンプレート利用:10〜50万円
- オリジナルデザイン:50〜200万円以上
- カスタマイズの程度:
- 基本機能のみ:10〜30万円
- 独自機能追加:30〜100万円以上
- 他システム連携:50〜200万円以上
- 商品数と管理機能:
- 少量(〜50商品):基本料金内
- 大量(100商品以上):追加費用が発生する場合あり
- 追加機能の有無:
- 会員管理機能の拡張:20〜50万円
- ポイントシステム:15〜40万円
- 独自決済システム連携:20〜60万円
- 保守・運用サポート:
- 基本保守:月額0.5〜2万円
- フルサポート:月額3〜10万円
プラン別の料金例
参考までに、一部の制作会社が提供するプラン別の料金例を紹介します:
株式会社ナックウェブの例:
- エコノミープラン:初期費用20万円、月額0.6万円
- スタンダードプラン:初期費用40万円、月額1.2万円
- プレミアムプラン:初期費用60万円、月額1.8万円
有限会社スプレッドワークスの例:
- モールプラン(Yahoo!ショッピング等):30万円〜
- ASPプラン(カラーミーショップ等):30万円〜
- パッケージソフトプラン(EC-CUBE):50万円〜
- フルカスタマイズプラン:150万円〜
見積もりを取る際の注意点
複数の制作会社から見積もりを取る際は、以下の点に注意しましょう:
- 見積もりの内訳を確認する:どの作業にどれだけの費用がかかるのか明確にしてもらう
- 追加費用の発生条件を把握する:後から予想外の費用が発生するケースを防ぐ
- 保守費用も含めたトータルコストで比較する:初期費用だけでなく、運用コストも考慮する
- 最低でも2〜3社から見積もりを取る:費用感と提案内容を比較検討する
費用は重要な要素ですが、最終的には自社のニーズに合った提案ができる制作会社を選ぶことが成功への鍵となります。
おすすめのEC-CUBE制作会社5選
EC-CUBEの制作会社は多数ありますが、その中でもインテグレートパートナーとして認められ、実績も豊富な会社を5社ご紹介します。
1. アイピーロジック株式会社(プラチナパートナー)
強み: EC-CUBEの構築・運用実績豊富、システム開発力に強み
アイピーロジック株式会社は、EC-CUBEを利用した実績が豊富な東京都文京区の会社です。ECサイト構築実績は80サイト以上あり、会員数30万人以上の大規模サイトの保守・運用実績も持っています。
注目ポイント:
- システム開発に強く、他システムとの連携やデータベース最適化が得意
- タイムセール機能や決済システムなど、独自機能の開発実績豊富
- 日本初のEC-CUBE用Amazon決済プラグインなど、自社サービスも展開
2. ボクブロック株式会社(プラチナパートナー)
強み: BtoB向けのECサイト構築実績が豊富、EC-CUBEのカスタマイズに強み
ボクブロック株式会社は東京都千代田区を拠点とし、EC-CUBEを利用したECサイトの新規構築・リニューアルに特化しています。500サイト以上の対応実績があり、特にBtoB向けの構築実績が豊富です。
注目ポイント:
- EC-CUBEのパートナー制度で最高位のプラチナパートナー認定
- 見積書発行機能や領収書発行機能など、BtoB向け機能のカスタマイズが得意
- 集客・運用支援サービスも充実
3. 株式会社シード(シルバーパートナー)
強み: ECサイトの集客に強み、集客ノウハウを活用したECサイト構築
株式会社シードはECサイトの集客に強みがある東京都千代田区の会社です。ランディングページ制作やネット広告の運用支援、バナー制作など多岐にわたる集客支援を提供しています。
注目ポイント:
- Yahoo!、Googleから認定を受けた広告代理店
- 集客ノウハウを活かしたECサイト構築が特徴
- CVアップのための施策にも強み
4. 株式会社ナックウェブ(ブロンズパートナー)
強み: ECサイト・各種販促物のデザイン制作に強み
株式会社ナックウェブはデザイン制作に強みがある滋賀県彦根市の会社です。10年以上のECサイト構築実績を持ち、EC-CUBEをメインに様々なシステムを使い分けた制作を行っています。
注目ポイント:
- ECサイトだけでなく、企業サイト、ランディングページなど幅広い制作実績
- ロゴやパンフレットなどの紙媒体にも対応
- 700社以上のクライアントのホームページ制作実績
5. 有限会社スプレッドワークス
強み: 事業規模・目的に応じたECサイトの構築プランを提供
有限会社スプレッドワークスは東京都豊島区に本社がある会社で、事業規模・目的に応じた様々なECサイト構築プランを提供しています。20年以上の実績で蓄積したノウハウを使って、発注者の要望や課題に合わせたECサイトを制作しています。
注目ポイント:
- 様々なプラン(モール出店、ASP利用、EC-CUBE、フルカスタマイズ)から選択可能
- 分析・改善、キャンペーン企画、広告運用支援など幅広いサポート
- 企業サイトやシステム開発にも対応
6. 株式会社サンクユー
強み: 機能カスタマイズが得意で幅広い業種のECサイトを構築可能
当社(株式会社サンクユー)は東京都品川区区に本社がある会社です。2008年からEC-CUBE公式パートナーに認定されており、EC-CUBEの豊富な実績がございます。EC-CUBE Day 2014では当社がEC-CUBEで構築したB2B-ECサイト(卸売サイト)が表彰された実績もございます。
注目ポイント:
- B2C-ECサイトだけでなく、卸売サイト・受注サイトのようなB2B-ECサイトも構築可能
- 100サイト以上のEC-CUBEの実績あり
- 企業サイトやシステム開発にも対応
制作会社選びのアドバイス
EC-CUBE制作会社を選ぶ際には、以下のことを心がけましょう:
- 複数社に相談する: 最低でも2〜3社に相談し、提案内容や費用感を比較する
- 自社の要件を明確にする: 何を重視するか(デザイン、機能、運用性など)を明確にしておく
- 実績を重視する: 特に自社と似た業種や規模の実績がある会社を優先的に検討する
- コミュニケーションの相性をチェック: 長期的な関係になるため、相性も重要な要素
制作会社によって得意分野が異なるため、自社のニーズに最も合った会社を選ぶことが成功への近道です。
EC-CUBEのメリット・デメリット
EC-CUBE導入を検討する際は、そのメリットとデメリットを理解し、自社に適しているかを判断することが重要です。
EC-CUBEの主なメリット
- 開発・運用コストを抑えられるEC-CUBEはオープンソースのため、ダウンロード版は無料で利用できます。カスタマイズ性も高いため、必要な機能だけを実装することでコストを最適化できます。株式会社カジヤによると、他のECシステムと比べても運用コストを抑えられる点が大きなメリットです。
- 日本語での対応が可能国産のECプラットフォームであるため、日本の商慣習に適した機能が充実しています。管理画面もすべて日本語で表示されるため、操作がしやすく、日本のビジネスモデルに適応しやすいのが特徴です。
- カスタマイズの自由度が高いオープンソースの特性を活かし、自社のニーズに合わせた独自機能の追加やデザイン変更が可能です。基本機能だけでなく、プラグインを活用することで様々な機能拡張も容易に行えます。
- コミュニティで情報共有可能BOLTによると、「問題や不具合が発生したり、マニュアルだけではわかりにくいときに、コミュニティ内で質問ができる」とあり、開発者コミュニティが活発なため、情報共有や問題解決がスムーズに行えます。
- 様々な決済サービスに対応クレジットカード決済、コンビニ決済、後払い決済など、多様な決済サービスと連携可能です。日本市場で一般的に使われている決済方法にも対応しています。
EC-CUBEの主なデメリット
- クラウド版は利用料金がかかるダウンロード版は無料ですが、クラウド版「ec-cube.co」は月額料金が発生します。EC-カンジによると、「クラウド型はサーバーやアップデート費用などのコストが不要なだけでなく、ダウンロード型の無料版と比較して機能も充実している分」コストがかかるとしています。
- サイト制作と管理のスキルが必要株式会社カジヤは「外注せずにEC-CUBEで通販サイトを作る場合、最低限のドメイン・Webサーバーの知識が必要」と指摘しています。特にダウンロード版を使用する場合、ある程度の技術知識が必要となります。
- 集客力がないEC-CUBEはECサイト構築システムであり、それ自体に集客機能はありません。モール型ECと違い、自前でSEOやマーケティング施策を行う必要があるため、集客は別途対策が必要です。
- ダウンロード版ではセキュリティ対策が必要ダウンロード版を利用する場合、セキュリティ対策は自社の責任で行う必要があります。セキュリティアップデートの適用やSSL対応などを自ら管理しなければなりません。
- バージョンアップ対応が必要EC-CUBEは定期的にバージョンアップされるため、カスタマイズしている場合は対応作業が必要になることがあります。特に大幅なバージョンアップ時には互換性の問題が生じる可能性もあります。
EC-CUBE制作会社に依頼する際の注意点
EC-CUBEの導入を外部の制作会社に依頼する際には、以下の点に注意しましょう:
- カスタマイズの範囲と費用の明確化どこまでカスタマイズするのか、またそれにかかる費用を事前に明確にしておくことが重要です。要件が曖昧だと、追加費用が発生したり、期待と異なる結果になる可能性があります。
- 保守・運用体制の確認サイト構築後の保守・運用サポート体制を確認しておきましょう。緊急時の対応やバージョンアップ対応など、どのようなサポートが受けられるのかを事前に把握しておくことが大切です。
- 担当者のEC-CUBEに関する知識と経験担当者がEC-CUBEについてどの程度の知識と経験を持っているかを確認しましょう。インテグレートパートナーの中でも、実際に担当するエンジニアやディレクターの経験値が重要です。
- SEOや集客面でのサポートサイト構築だけでなく、その後の集客や売上向上のためのサポートも提供してくれるかを確認しましょう。技術面だけでなく、マーケティング面でのサポートも重要です。
EC-CUBEは優れたECプラットフォームですが、自社の状況やニーズに合わせて、そのメリットとデメリットを総合的に判断することが重要です。特に、制作会社に依頼する場合は、技術力だけでなく総合的なサポート力を持った会社を選ぶことをおすすめします。
EC-CUBE制作の流れと期間
EC-CUBE制作のプロジェクトは、一般的に以下のような流れで進行します。各段階でやるべきことを理解し、適切なスケジュールを立てることが重要です。
EC-CUBE制作の基本的な流れ
1. 要件定義・企画(1〜2週間)
目的:ECサイトの目的や要件を明確にする
主な作業:
- ターゲットユーザーの設定
- 販売商品の整理
- 必要な機能の洗い出し
- 競合サイトのリサーチ
- 予算・スケジュールの確認
成果物:要件定義書、プロジェクト計画書
2. 設計・デザイン(2〜4週間)
目的:サイトの構造とデザインを決定する
主な作業:
- サイトマップの作成
- ワイヤーフレームの作成
- デザインカンプの制作
- UI/UXの検討
成果物:サイトマップ、ワイヤーフレーム、デザインカンプ
3. 開発・実装(4〜8週間)
目的:EC-CUBEを導入し、デザインや機能を実装する
主な作業:
- サーバー・ドメインの設定
- EC-CUBEのインストール
- デザインの実装
- 必要な機能のカスタマイズ
- プラグインの導入・設定
成果物:開発環境上の動作サイト
4. テスト・検証(1〜2週間)
目的:品質を担保し、問題点を修正する
主な作業:
- 動作テスト
- クロスブラウザテスト
- セキュリティチェック
- 表示速度の確認
- 修正対応
成果物:テスト結果報告書、修正対応完了サイト
5. リリース準備・公開(1〜2週間)
目的:本番環境への移行とサイト公開
主な作業:
- 商品データ登録
- 決済サービス連携の最終確認
- 各種設定の確認
- サイト公開作業
成果物:公開済みECサイト
6. 運用・改善(継続的)
目的:サイトの運用と継続的な改善
主な作業:
- アクセス解析
- コンバージョン率の改善
- SEO対策
- コンテンツ更新
- セキュリティアップデート
成果物:運用レポート、改善提案書
EC-CUBE制作の平均期間
EC-CUBE制作にかかる期間は、サイトの規模や複雑さによって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです:
- 小規模サイト(商品数〜50点程度、基本機能のみ):1〜2ヶ月
- 中規模サイト(商品数〜200点程度、一部カスタマイズあり):2〜3ヶ月
- 大規模サイト(商品数多数、大規模カスタマイズあり):3〜6ヶ月以上
特に注意すべき点として、他システムとの連携やERP、基幹システムとのデータ連携を行う場合は、テストや調整に時間がかかるため、余裕を持ったスケジュール設定が必要です。
円滑なプロジェクト進行のためのポイント
- 明確な目標設定:サイトのゴールやKPIを明確にし、関係者間で共有しておく
- 段階的なリリース計画:全ての機能を一度に実装するのではなく、コアとなる機能から段階的にリリースする方法も検討
- 定期的な進捗報告:週次や隔週でのミーティングを設け、進捗や課題を共有する
- テスト期間の確保:特に決済機能やユーザー登録など重要機能のテストには十分な時間を確保
- 運用体制の事前準備:サイト公開前に運用マニュアルの作成や担当者のトレーニングを実施
EC-CUBE制作のプロジェクトを成功させるには、技術面だけでなく、プロジェクト管理やコミュニケーションも重要です。制作会社との密なコミュニケーションを心がけ、適切に進捗管理を行うことで、スムーズなサイト構築が可能となります。
EC-CUBE導入の成功事例3選
EC-CUBEを活用した成功事例を紹介します。これらの事例から、EC-CUBEの可能性と効果的な活用方法を学ぶことができます。
事例1: 食品サンプル専門店「Fake Food Japan」
業種: 食品サンプル・雑貨
課題: 日本の食品サンプル文化を海外に向けて発信し、インバウンド需要や海外からの直接注文を獲得したい
導入内容:
- EC-CUBE4系をベースに多言語・多通貨対応のECサイトを構築
- 精巧な食品サンプルの魅力を伝えるための高品質画像表示機能
- 国別の関税や送料計算機能の実装
成果:
- 海外からの注文が前年比150%増加
- 特に北米、欧州からの注文が増加
- メディア露出も増え、日本文化発信の拠点として認知度向上
成功ポイント:
日本独自の文化である食品サンプルを、その品質の高さと共に海外に発信することで、ニッチながらも固定ファンを獲得。EC-CUBEの多言語・多通貨機能をフル活用し、海外顧客の購入ハードルを下げることに成功しています。
事例2: シルバーアクセサリー専門店「L&Co. JEWELS JAPAN」
業種: アクセサリー販売
課題: 戦国武将をモチーフにしたシルバーアクセサリーを、海外の日本文化ファンに販売したい
導入内容:
- EC-CUBEをベースに和風デザインを採用したECサイト構築
- 製品の細部まで確認できる360度画像表示機能
- SNSとの連携機能強化
成果:
- アジア圏を中心に海外売上が200%増加
- Instagram連携による若年層顧客の獲得に成功
- 越境ECでの平均購入単価が国内の1.5倍に
成功ポイント:
「侍の国」として海外から人気が高い日本の戦国時代をテーマにしたアクセサリーというニッチな市場で、EC-CUBEのカスタマイズ性を活かした魅力的な商品表示機能を実現。SNS連携を強化することで、ファン層の拡大にも成功しています。
事例3: 遊具メーカー「GLOKEN」
業種: 伝統玩具販売
課題: 日本の伝統的な玩具「けん玉」を世界に広め、販売したい
導入内容:
- EC-CUBE4系を利用した多言語対応のグローバルECサイト
- 商品の使い方や技の解説動画の埋め込み機能
- 会員制コミュニティ機能の実装
成果:
- グローバルなけん玉コミュニティの形成と海外売上の増加
- オンラインイベント「KWC(けん玉ワールドカップ)」の開催で認知度向上
- 会員登録者数が1年で3倍に増加
成功ポイント:
単に商品を販売するだけでなく、「けん玉」の文化や使い方を丁寧に伝えるコンテンツを充実させたことで、世界中のファンを獲得。EC-CUBEのコミュニティ機能を活用して顧客同士の交流を促進し、リピート購入につなげています。
成功事例から学ぶポイント
これらの成功事例から、EC-CUBE導入を成功させるためのポイントが見えてきます:
- ニッチ市場や差別化ポイントの明確化:
自社の強みや日本ならではの特徴を活かしたビジネスモデル構築 - 多言語・多通貨対応の徹底:
海外顧客が迷わず購入できる環境整備 - コンテンツマーケティングの重視:
商品の背景にある文化や使い方を丁寧に伝えることでファン育成 - コミュニティ形成:
顧客同士が交流できる場を設けることでブランドロイヤリティ向上 - SNS連携の強化:
SNSを活用した情報発信と顧客獲得
EC-CUBEの強みはカスタマイズ性の高さにあります。自社の商品やビジネスモデルに最適化したECサイトを構築することで、独自の価値を提供し、成功への道が開けるでしょう。
まとめ:適切なEC-CUBE制作会社選びのためのチェックリスト
EC-CUBE制作会社選びは、ECサイト成功の重要な鍵です。以下のチェックリストを活用して、自社に最適なパートナーを見つけましょう。
EC-CUBE制作会社選びの最終チェックリスト
1. 基本要件の確認
- [ ] EC-CUBEの構築実績が豊富か
- [ ] EC-CUBEインテグレートパートナーか(できればシルバー以上)
- [ ] 自社の業種・業界の実績があるか
- [ ] 希望するEC-CUBEのバージョン(4系など)に対応しているか
2. 技術力・提案力の確認
- [ ] デザイン力とカスタマイズ力のバランスが良いか
- [ ] 自社の要望を理解し、適切な提案ができるか
- [ ] EC-CUBEのコアコードへの理解度が高いか
- [ ] セキュリティ対策への知識が十分か
3. サポート体制の確認
- [ ] 構築後の保守・運用サポートが充実しているか
- [ ] トラブル発生時の対応体制が整っているか
- [ ] バージョンアップ対応が可能か
- [ ] マニュアル作成やトレーニングを提供しているか
4. マーケティング支援の確認
- [ ] SEO対策やアクセス解析のノウハウがあるか
- [ ] 集客施策の提案・実施が可能か
- [ ] コンバージョン率改善のための知見があるか
- [ ] SNSマーケティングに対応しているか
5. コミュニケーション・プロジェクト管理の確認
- [ ] レスポンスが迅速で丁寧か
- [ ] 進捗管理が適切に行われるか
- [ ] プロジェクトの責任者が明確か
- [ ] 契約内容やスケジュールが明確か
最後に抑えておくべき3つのポイント
- 複数社比較の原則少なくとも2〜3社から見積もりと提案を受け、比較検討することをおすすめします。費用だけでなく、提案内容の質や相性も重要です。
- 総所有コストの把握初期構築費用だけでなく、運用コストやアップデート費用など、長期的に発生する費用も含めた総所有コストで比較しましょう。
- 将来を見据えた選択現在の要件だけでなく、将来の拡張性やビジネス成長に対応できるパートナーを選ぶことが重要です。
EC-CUBEは優れたECプラットフォームですが、その真価を発揮させるためには適切な制作会社選びが必須です。本記事で紹介したポイントを参考に、自社のEC事業を成功に導くパートナーを見つけてください。
また、不安な点があれば、EC-CUBEの公式インテグレートパートナーリストを参照するか、複数の会社に相談することをおすすめします。EC-CUBEを活用した素晴らしいECサイト構築の第一歩として、ぜひこの記事が参考になれば幸いです。
よくある質問
Q1: EC-CUBEとShopifyの違いは何ですか?
A1: EC-CUBEとShopifyはどちらもECサイト構築プラットフォームですが、以下のような違いがあります:
- 運営形態: EC-CUBEはオープンソース型またはクラウド型、Shopifyは完全クラウド型
- 初期コスト: EC-CUBEのダウンロード版は無料、Shopifyは月額料金制
- カスタマイズ性: EC-CUBEは完全自由なカスタマイズが可能、Shopifyはテーマとアプリの範囲内
- 対応地域: EC-CUBEは日本市場に強い、Shopifyはグローバル市場に強い
- 技術的ハードル: EC-CUBEはやや高め、Shopifyは比較的低い
Q2: EC-CUBE制作の相場費用はいくらですか?
A2: EC-CUBE制作の費用相場は、規模や要件によって大きく異なります:
- 小規模サイト(商品数10個程度): 初期費用10〜35万円、月額費用1万円以下
- 中規模サイト(商品数50個程度): 初期費用50万円前後、月額費用1〜1.5万円
- 大規模サイト(商品数多数・カスタマイズ多数): 初期費用60〜100万円以上、月額費用2万円前後
調査によると、EC-CUBE構築の平均費用は262.3万円(中央値214.0万円)で、全体の73%が100〜500万円の範囲に集中しています。
Q3: EC-CUBEインテグレートパートナーとは何ですか?
A3: EC-CUBEインテグレートパートナーとは、EC-CUBEの開発元である株式会社イーシーキューブが認定するパートナー制度で、EC-CUBEの構築・カスタマイズに関する実績や技術力を持つ企業として認められた会社です。プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ、ノーマル、プレの6ランクがあり、コンピテンシーバッジの取得数によってランクが決まります。インテグレートパートナーを選ぶことで、技術力のある会社を見極めやすくなります。
Q4: EC-CUBEでどのようなカスタマイズが可能ですか?
A4: EC-CUBEでは以下のようなカスタマイズが可能です:
- デザインのカスタマイズ(テンプレートの修正、完全オリジナルデザイン)
- 機能追加(会員ランク制度、定期購入機能、ポイント制度強化など)
- 他システム連携(基幹システム、在庫管理、CRMなど)
- 決済方法の追加(各種クレジットカード、後払い、電子マネーなど)
- 配送関連機能(送料計算方法、配送日指定、集荷管理など)
オープンソースの特性を活かし、ほぼ無制限のカスタマイズが理論的には可能ですが、費用と時間のバランスを考慮する必要があります。
Q5: EC-CUBEのバージョンの違いは何ですか?
A5: EC-CUBEの主なバージョンの違いは以下の通りです:
- 2系:旧バージョンでレガシーコード。現在も多くのサイトで利用されているが、セキュリティ面での懸念あり。
- 3系:PHPフレームワークのSymphony2採用。2系からの移行が難しいため、あまり普及しなかった。
- 4系:最新バージョンでSymphony3/4採用。モダンな技術スタックと高いセキュリティ性能を持つが、2系との互換性はない。
新規でECサイトを構築する場合は4系を選択するのが一般的ですが、既存の2系サイトからの移行は実質的に再構築となるため注意が必要です。各バージョンで開発手法やプラグイン互換性が異なるため、制作会社の対応可能バージョンを確認することが重要です。
投稿者プロフィール
- CEO
- 関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。
システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。
その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)
2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。
クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・好きなもの
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