「SaaSの限界」はEC-CUBE移行で解決。カスタマイズの自由度とコスト最適化を実現したBtoB-EC成功事例4選

「SaaSの限界」はEC-CUBE移行で解決。カスタマイズの自由度とコスト最適化を実現したBtoB-EC成功事例4選B2B-EC
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はじめに:なぜ「SaaS型EC」からの移行(リプレイス)が起きるのか

近年、BtoB(企業間取引)においても、スピーディかつ低コストで導入できるSaaS型(クラウド型)のECサービスを利用する企業が急増しています。
初期投資を抑えて短期間でECサイトを立ち上げられる点は、スタートアップ期において非常に大きな魅力です。

しかし、その手軽さとは裏腹に、事業が順調に成長し、取引が拡大するにつれて、SaaS型EC特有の「壁」に直面する企業が少なくありません。

  • 「自社独自の複雑な業務フロー(例:顧客別の特別単価)に、システムの標準機能が対応できない」
  • 「基幹システムとAPI連携させたいが、SaaS側の制約で必要なデータ連携が実現できない」
  • 「サービス提供側の仕様変更や料金改定に、自社の戦略が振り回されてしまう」
  • 「月額利用料や売上に応じた従量課金が積み重なり、中長期的にはコストがかさんでいる」

このような「SaaSの限界」を感じ、ECサイトを「自社の資産」として自由に構築・管理できる国産オープンソースの「EC-CUBE」へ移行(リプレイス)する企業が増えています。

この記事では、SaaS型サービスを「卒業」し、EC-CUBEへの移行によって「業務効率化」と「事業成長」を実現した、BtoB-ECの成功事例を4つのパターンでご紹介します。

実例1:製造業|「独自の受注ルール」を完全反映し、営業工数を半減

SaaS型での課題

ある中小製造業は、SaaS型サービスでECを運営していましたが、深刻な課題を抱えていました。
それは、BtoB特有の「顧客ごとに異なる掛け率」や「現場ごとの特別納期ルール」といった複雑な条件に、SaaSの標準機能では柔軟に対応できなかった点です。
結局、ECで注文を受けても、営業担当が裏側で電話やメールで価格調整を行うという非効率な業務が残存していました。

EC-CUBEへの移行ポイント

EC-CUBEへの移行にあたり、「顧客別価格・納期管理機能」をゼロからカスタマイズ開発。
基幹システムとAPI連携させ、顧客がログインすると、その顧客専用の価格と納期ルールが自動でECサイト上に反映される仕組みを構築しました。

成果

これまで営業担当者が行っていた煩雑な調整作業が完全に自動化され、受注対応にかかる工数を50%も削減することに成功。
顧客側も「正しい価格で安心して発注できる」と満足度が向上し、取引拡大にも繋がりました。

実例2:卸売業|「再注文UX」の徹底改善で、FAX受注からの脱却に成功

SaaS型での課題

ある卸売業は、SaaS型のECサービスを利用していましたが、BtoB取引で最も多い「繰り返し注文(リピート注文)」のUI/UX(使い勝手)が悪いという問題を抱えていました。
結果、顧客(発注担当者)はECを使わなくなり、慣れ親しんだFAXや電話での注文に逆戻りしていました。

EC-CUBEへの移行ポイント

EC-CUBEのオープンソースとしての自由度を活かし、「発注担当者の業務を最速化するUI/UX」を徹底的に追求。
「ワンクリック再注文機能」はもちろん、過去の注文履歴から「一部だけ変更して発注」できる機能や、顧客専用の価格表ページを実装しました。

成果

「FAXより圧倒的に早く、ミスなく発注できる」と顧客からの評価が一変。
導入後半年で、Web注文比率は30%から75%へと劇的に改善しました。受注業務が自動化されたことで、営業担当者は単純な受注処理から解放され、「提案型」の営業活動に専念できるようになりました。

実例3:医療機器販売|「法規制対応」と「セキュリティ要件」のクリア

SaaS型での課題

医療業界のある企業は、SaaS型サービスを利用していましたが、業界特有の厳格な「セキュリティ要件」や「薬機法」への対応に限界を感じていました。
SaaSは手軽な反面、インフラが共有であり、監査ログの取得やアクセス制御に独自のカスタマイズを加えられないことが経営リスクとなっていました。

EC-CUBEへの移行ポイント

EC-CUBEを採用し、自社管理下の専用サーバー(またはプライベートクラウド)にシステムを構築(オンプレミス型)。
これにより、インフラレベルでの高度なセキュリティ対策を実現。
さらに、医療機器ごとに必要な添付資料や法的注意文言を必須表示するようカスタマイズし、厳格な法規制に準拠したEC運営体制を整えました。

成果

法規制に準拠した安全なEC運営が可能となり、取引先の病院・クリニックからのシステムに対する信頼度が大幅に向上。
SaaSでは実現不可能な、業界特有の要件をクリアしました。

実例4:小売業(BtoB卸)|「独自のマーケティング施策」でLTVを20%改善

SaaS型での課題

BtoB卸も行う小売企業は、SaaS型で提供される画一的なマーケティング機能(クーポンやメルマガ)では、競合他社との差別化が図れず、顧客のLTV(顧客生涯価値)が伸び悩んでいました。

EC-CUBEへの移行ポイント

EC-CUBEの柔軟性を活かし、自社独自のマーケティング機能を多数実装。
「購入金額に応じた複雑な会員ランク制度」「ランク別のシークレットセール機能」「基幹システムの購買履歴と連動した商品レコメンド機能」などを追加しました。

成果

顧客の購買行動に合わせた、きめ細やかなマーケティング施策が実行可能となり、LTV(顧客生涯価値)は移行前と比較して20%改善。
ECを単なる受注窓口ではなく、営業戦略の中核に位置付けることに成功しました。

SaaS型からEC-CUBE移行の成功要因まとめ

これらの移行成功事例に共通していた要因は、以下の3点です。

1. 「業務に合わせてシステムを作る」という発想

SaaS型では「提供された機能に業務を合わせる」必要がありますが、EC-CUBEでは「自社の業務フローに合わせてシステムを最適化」できます。
この自由度が、真の業務効率化を生み出します。

2. 制約のない「API連携」による基幹システムとの統合

EC-CUBEはオープンソースであるため、API連携にSaaS側のような制約がありません。
在庫、価格、顧客マスタなどを基幹システムと完全に連携させ、「二重入力」のないシームレスな業務フローを構築できます。

3. 「自社の資産」としてのコスト最適化

SaaSの月額・従量課金は、取引が増えるほど負担が重くなります。
EC-CUBEは初期開発コストがかかるものの、ライセンス費用は無料であり、中長期的に見るとトータルの運用コストを最適化できる「自社の資産」となります。

まとめ:EC事業を「立ち上げ」から「成長」ステージへ

SaaS型サービスは、EC事業を「立ち上げる」段階では非常に有効なツールです。
しかし、事業が「成長」フェーズに入り、他社との差別化や、より高度な業務効率化が求められるようになると、その「自由度の低さ」が足かせとなる時が来ます。

「取引先ごとに異なる条件をシステムで自動化したい」
「基幹システムと柔軟に連携させ、二重入力をなくしたい」
「中長期的なランニングコストを最適化したい」

このような課題を抱える企業にとって、SaaS型からEC-CUBEへの移行は、業務効率化と売上拡大を両立させる、最も現実的かつ強力な選択肢となるでしょう。

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


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