BtoB-ECはSaaSで十分?導入前に確認したい機能・連携・運用のチェックリスト

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この記事でわかること

BtoB-ECの候補となるSaaSが、自社の受注業務に合うかを確認するためのチェックリストです。機能名の有無だけでなく、実際の注文処理、基幹連携、残る手作業、契約・運用の条件まで整理します。

「取引先ごとに価格が違う」「注文後の数量変更や分納がある」。こうした業務があるだけで、SaaSは不向きとは判断できません。候補サービスと契約プランで、必要な処理がどこまでできるかを確認することが出発点です。

判断の基準は、当てはまる項目の数ではなく、必須の業務を処理できるか、残る作業を継続して担当できるかです。本記事では、候補のSaaSをデモ・試用・見積もりで確認する手順に絞って解説します。

構築方法全体の違いは、BtoB-EC構築方法の比較|EC-CUBE・SaaS・スクラッチの選び方をご覧ください。

SaaSが向いているかは、必須業務と運用負担で判断する

SaaSの対応範囲は、サービス・契約プラン・オプションによって異なります。「SaaSだから価格設定は単純」「カスタマイズ型なら何でもできる」と分けず、必要な業務ごとに確認しましょう。

候補サービスで通常の受注処理が完結し、例外処理の件数や担当者の負担も許容範囲に収まるなら、SaaSは有力な選択肢になります。反対に、頻繁に発生する必須業務を処理できず、毎回転記や修正が必要なら、別のサービスや構築方法も比較する理由になります。

最初に、要件を「公開時に必須」「当面は手作業で対応可能」「将来検討」に分けます。将来の構想をすべて初期要件へ入れるのではなく、実施時期や必要性が具体化しているものから確認します。

導入前に確認したい7つのチェック項目

次の項目について、対応の有無と一緒に、利用できるプラン・追加費用・制約・確認した資料を記録してください。「連携可能」「個別価格対応」といった説明だけで判断せず、自社の条件を当てはめます。

1.取引先別価格・掛率・数量別単価

取引先ごとの単価、グループ別の掛率、数量による値引きなど、実際に使う組み合わせを確認します。複数の条件に当てはまったとき、どの価格が優先されるかも重要です。

  • 個別単価と数量値引きが重なった場合、意図した価格になるか
  • 価格の一括登録・改定や、適用開始日の管理はできるか
  • 見積時と注文時で価格が変わった場合、どの金額で受注するか

2.注文単位・変更・キャンセル・分納

注文を受け付けられることと、受付後の処理が回ることは別です。ケース単位・最低注文数の設定に加え、数量変更や欠品、分納が起きたときの操作と、出荷・請求への引き継ぎを確認します。

  • 取引先と自社担当者のどちらが、いつまで注文を変更できるか
  • 一部キャンセルや分納を、注文番号と関連づけて管理できるか
  • 変更内容が在庫・送料・請求金額へどう反映されるか

3.会社単位の会員管理・担当者の権限

一社に複数の発注担当者がいる場合は、会社と担当者の関係を確認します。担当者の退職・異動、承認者の変更、配送先の追加なども試用時に確認したい場面です。

  • 会社内で注文履歴を共有する範囲を設定できるか
  • 発注・承認・管理などの役割を分けられるか
  • 担当者を変更しても、会社の取引情報や履歴を引き継げるか

4.基幹システムとの連携

APIやCSVの提供有無だけでは、必要な連携ができるかは判断できません。商品・価格・在庫・注文のどの項目を、どちらのシステムから、どのタイミングで渡すかを具体化します。

  • 必要な項目を取得・登録・更新できるか
  • 更新間隔や処理件数の制限が業務に合うか
  • 送信失敗や二重送信、注文変更をどう扱うか
  • 連携部分の構築・監視・改修を誰が担当するか

データの管理元やエラー時の運用は、ECと基幹システムの連携設計で詳しく解説しています。

5.データ出力と将来の移行

日常の集計だけでなく、将来サービスを変更するときに必要なデータも確認します。「CSV出力あり」でも、対象項目や期間、関連情報まで取り出せるかは別途確認が必要です。

  • 取引先・商品・個別価格・注文履歴を、どの形式で出力できるか
  • 注文と明細、会社と担当者などの対応関係を識別できるか
  • 解約前に必要なデータを取得できるか。作業費や期限はあるか

6.運用サポートと変更時の対応

障害時の問い合わせ窓口、サポート時間、サービス更新の通知方法を確認します。外部連携や追加機能がある場合は、SaaS提供会社と連携担当会社の対応範囲も整理してください。

  • 注文を受け付けられないとき、誰へ連絡し、どう代替受付するか
  • 仕様変更が連携部分へ影響するとき、誰が確認・修正するか
  • 操作案内・データ登録・業務相談は、どこまでサポートに含まれるか

7.追加費用と残る手作業

月額料金だけでなく、初期設定、データ移行、必要なオプション、外部連携、取引先への案内まで含めて見積もりを確認します。利用件数などによって料金が変わる場合は、現在と利用拡大後の条件を並べます。

手作業で補う部分は、月の発生件数と1件あたりの作業時間を記録します。通常月だけでなく、繁忙期や担当者が不在の場合も含めて、続けられる運用かを判断しましょう。

費用項目の整理には、BtoB-EC構築の費用目安と5年間の費用試算もご活用ください。

デモ・試用では、自社の注文例を最後まで処理する

機能説明を見るだけでなく、機密情報や個人情報を含まない検証用データで、受注から出荷・請求へ渡すところまで確認します。以下は確認用の例であり、特定企業の導入事例ではありません。

  1. 通常注文:既存取引先が契約単価で注文し、基幹へ登録する。
  2. 注文変更:注文後に数量を変更し、金額・在庫・連携先への反映を確認する。
  3. 例外処理:一部欠品を分納またはキャンセルし、残りの処理を確認する。
  4. 担当者変更:発注担当者を変更し、必要な履歴と権限を引き継ぐ。
  5. 連携失敗:試験環境でエラーの検知と再処理の手順を確認する。

試用では確認できない処理がある場合は、提供会社へ画面・仕様書・出力サンプルなどの提示を依頼します。未確認の項目を「対応できる」と扱わず、契約前に確認する項目として残してください。

確認結果を分類し、導入できる条件を整理する

要件ごとに次の区分で記録すると、追加費用や運用で補う範囲が見えます。同じ要件でも、候補サービスによって区分は変わります。

  • 標準機能:予定している契約プランで処理できる。
  • 設定・オプション:追加設定や別契約により処理できる。費用と設定担当を確認する。
  • 外部連携・追加開発:外部ツールや開発が必要。実現可否と保守範囲を確認する。
  • 手作業:担当者が補う。件数・時間・確認方法を決める。
  • 未対応・未確認:代替方法を検討するか、提供会社の回答を待つ。

必須要件が一つでも未対応なら、その影響を確認します。一方、手作業の項目が複数あっても、低頻度で担当と確認方法が明確なら、導入できる場合があります。項目数による点数判定ではなく、処理への影響と継続的な負担で判断してください。

カスタマイズ構築も比較したいケース

候補のSaaSでは必須の価格計算や承認処理を実現できない、頻繁な注文変更のたびに複数システムを修正するなど、業務への影響が大きい場合は、別のSaaSやEC-CUBEを使った構築も比較します。

EC-CUBEなどをカスタマイズする場合も、開発費だけでなく、保守・更新・外部連携の維持にかかる費用と担当を確認する必要があります。独自開発を選べば課題が解消するとは限りません。業務ルールを整理し、必要な範囲を絞って比較しましょう。

サンクユーの対応範囲や構築事例、相談から公開までの進め方は、卸売・BtoB-ECサイト構築サービスをご覧ください。

BtoB-ECのSaaS選定でよくある質問

Q取引先別価格がある企業は、SaaSに向いていませんか?
取引先別価格があるだけでは判断できません。候補サービスと契約プランで、個別単価・掛率・数量値引きの組み合わせや優先順位、一括更新などを処理できるか確認します。
QAPI連携に対応していれば、基幹システムと連携できますか?
APIがあっても、必要な項目や更新処理に対応しているかは別途確認が必要です。更新間隔、件数制限、注文変更、エラー時の再処理、連携部分の保守担当まで整理します。
Qチェック項目がいくつ当てはまるとSaaSは不向きですか?
項目数だけでは判断できません。必須業務への影響、発生頻度、手作業の時間と担当を確認します。必須要件が一つでも未対応なら代替方法を検討し、未確認の項目は契約前に確認します。
Q小さく始めて、後から対象を広げてもよいですか?
対象の取引先や注文を限定して試行する方法があります。ただし、対象を広げた際に必要な機能、料金条件、データの移行方法も事前に確認し、試行中は利用状況と処理負担を記録します。
QSaaSで対応できない場合はEC-CUBEを選ぶべきですか?
EC-CUBEは選択肢の一つです。別のSaaSや業務ルールの見直しも含めて比較します。カスタマイズ構築では、必要な機能の実現可否に加え、開発・保守・更新・外部連携の維持費用と担当を確認します。

まとめ:機能名ではなく、実際の注文処理で確かめる

BtoB-ECにSaaSが合うかは、会社の規模や要件の数だけでは決まりません。必須業務、例外処理、外部連携、残る手作業を候補サービスごとに確認し、費用と運用体制を合わせて判断します。

まずは通常注文と、現場でよく発生する変更・例外の例を用意してください。必要な機能を整理する際は、BtoB-ECに必要な機能と選び方も参考になります。

SaaSでは対応しきれない受注業務をご相談ください

取引先別の価格設定、注文変更、基幹連携など、候補サービスで対応が難しい点をお聞かせください。現在の業務と必要な機能を整理し、EC-CUBEによる構築・カスタマイズの対応範囲をご提案します。

BtoB-EC構築・カスタマイズを相談する →

分かる範囲で、検討中のサービス、実現したい処理、利用中の基幹システムをお知らせください。

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

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