BtoB-ECパッケージ導入で失敗する理由|要件定義不足が引き起こす典型パターン

BtoB-ECパッケージ導入で失敗する理由|要件定義不足が引き起こす典型パターンB2B-EC
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2万サイトから選ばれた「商流を止めない」要件定義の極意

「BtoB-ECを導入したものの、結局現場ではFAXと電話が止まらない」
「既存の代理店との関係が悪化してしまい、運用が形骸化した」

これらは、BtoB-EC構築の現場で非常によく聞く「失敗の声」です。
世の中には安価なSaaSや高機能なパッケージが溢れていますが、なぜそれらを導入するだけでは不十分なのでしょうか?

多くの場合、その原因はシステムの機能不足ではなく、導入前の「業務の棚卸し(要件定義)」が不十分なまま、パッケージの型に業務を合わせようとしたことにあります。

業務システム開発で得たノウハウと、20,000サイト以上の中から「EC-CUBE DAY サイトアワード(機能カスタマイズ部門)」を受賞した実績を持つ株式会社サンクユーが、その答えと「成功への要件定義」について解説します。

システムの質は要件定義で決まる|基幹業務システム開発の現場で学んだ本質
なぜシステム開発は失敗するのか「システムを導入したのに、結局使われていない」「現場では以前のやり方が残り続けている」こうした状況は、決して珍しいものではありません。ではなぜ、十分な予算と時間をかけたにも関わらず、システムは失敗す...

EC-CUBE DAY サイトアワード(機能カスタマイズ部門)受賞

弊社が構築したBtoB-ECサイトがEC-CUBE DAY サイトアワード(機能カスタマイズ部門)を受賞いたしました。
EC-CUBE DAY サイトアワード

堀川が受賞したサイトの開発フローをプレゼン。
EC-CUBE DAY サイトアワード

要件定義で作成する業務フロー

業務内容をヒアリングのうえ、使いやすいシステム構築と円滑な運用を実現するための業務フローを設計いたします。
業務内容をヒアリングのうえ、使いやすいシステム構築と円滑な運用を実現するための業務フローを設計いたします。サンプル業務フロー1枚目

業務内容をヒアリングのうえ、使いやすいシステム構築と円滑な運用を実現するための業務フローを設計いたします。サンプル業務フロー2枚目

BtoB-ECの正体は「買い物カゴ」ではなく「業務システム」

BtoC(一般消費者向け)のECサイトは、極論を言えば「綺麗で見やすく、買いやすい」ことが正義です。
しかし、BtoB(企業間取引)は全く異なります。

BtoBの現場には、長年積み上げられてきた固有の商習慣があります。
例えば、

  • 取引先ごとに異なる「掛率(下代)」
  • 代理店を保護するための「承認フロー」
  • 紙のカタログをめくりながら発注する「現場のルーチン」

などが挙げられます。

これらを無視して、単に「Webで注文できるようにしました」とパッケージを押し付けても、現場は混乱し、最終的には「今まで通りFAXでいいよ」と差し戻されてしまいます。
BtoB-ECの質は、デザインの良し悪しではなく、既存の業務フローをどれだけ深く理解し、システムに落とし込めるか(要件定義の質)に比例します。
実際に、要件定義を行わずに導入したBtoB-ECの約7割が「現場で使われない」状態に陥ると言われています。

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BtoB-ECパッケージ導入で失敗する企業の共通点

パッケージ導入で失敗し、結局アナログ運用に戻ってしまう企業には、驚くほど共通したパターンがあります。
これらはすべて、要件定義という工程の軽視から始まっています。

現行業務の棚卸しをせずにシステムを選んでいる

自社の業務のどこが特殊で、どこが標準かを整理しないまま、カタログスペックの機能数だけでシステムを選んでしまうケースです。

要件定義をベンダー任せにしている

ベンダーはシステムのプロですが、貴社の商売のプロではありません。
丸投げの結果、現場の商習慣に合わない使いにくいシステムが納品されます。

現場(営業・物流・事務)の意見が反映されていない

経営層やIT部門だけで進めた結果、現場で日々行われているFAXでの補足指示や細かい配送指定が考慮されず、現場から拒絶されてしまいます。

例外処理を甘く見ている

「このお得意様だけは別の単価」「この商品だけは同梱不可」といった、BtoB特有の無数の例外こそが業務の核心です。
これを運用でカバーと言い訳した瞬間に、システムは形骸化します。

導入後の泥臭い運用を想定していない

システムが稼働した後のデータメンテナンスや、顧客への操作説明、既存の基幹システムとの整合性チェックなど、裏側の運用負荷を過小評価しています。

現場の商流を止めないための3つの解決策

これらに当てはまる場合、どのパッケージを選んでも結果は変わりません。
サンクユーがこれまで手掛けてきた事例から、複雑な商習慣をデジタル化した具体的な解決策をご紹介します。

① 代理店網を壊さない「直販・代販の共存」

メーカーがECを始める際の最大の懸念は代理店飛ばしです。
弊社では、会員区分によって「直販」と「代理店経由」の価格・決済フローを1つのサイトで出し分ける仕組みを構築しました。
代理店が専用画面で注文を承認するステップを設けることで、既存の商流を守りつつデジタル化を実現しています。

以下は要件定義書の一部です。
しっかりヒアリングし、業務フローを明確化した上でシステム構築いたします。
直販フロー
卸経由フロー

② カタログ文化を尊重した「UX設計」

「カタログの○ページにある商品」という発注スタイルが定着している現場向けには、カタログのVol番号とページ番号で即座に商品を検索・発注できる機能を実装しました。
ITに不慣れな現場担当者のストレスを最小限に抑える工夫です。

以下はカタログ検索の概要です。
小売店がカタログ本を見ながら、購入したい商品が掲載されているカタログVol番号とページ番号を入力すると、該当ページに掲載されている商品がサイト上に表示されます。
カタログ本を見ながらサイトで商品を探す

③ 医療・製造業界特有の「制約」への対応

医療業界などの厳しい現場では、単純な在庫管理だけでは不十分です。
ロット管理、使用期限管理、製品販売同意書の提出確認など、法規制やコンプライアンスに関わる機能を標準搭載したパッケージを提供し、即戦力となるインフラを構築しています。

以下は製品販売同意書の提出が必要な商品の概要です。
製品販売同意書の提出が必要な商品の場合、商品ページに登録申請ボタンが表示されます。
ボタンをクリックすると申請フォームに遷移し、申請完了後に商品を購入することができるようになります。
製品販売同意書の提出が必要な商品

基幹システム連携こそがBtoB-ECの心臓部

BtoB-ECの導入メリットを最大化するのは入力作業(手作業)の自動化です。
弊社は、IBM AS400をはじめとする基幹業務システム開発の経験を持っています。
そのため、単にフロントのWebサイトを作るだけでなく、受注データを基幹システムへ正確にエクスポートし、配送情報をインポートするといった「裏側のデータ連携」において、一分の隙もない設計を得意としています。
これにより、月間数百時間の入力作業をゼロにし、営業担当者が本来の業務である提案に集中できる環境を実現します。

BtoB-EC構築「失敗の予兆」診断シート

次の項目に3つ以上チェックがつく場合、一般的な買い物カゴベースのパッケージ導入では、高確率でプロジェクトが座礁します。

価格の複雑性顧客ごとに掛率が違うだけでなく、「キャンペーン価格」「数量割引」「特定顧客限定の特価」が複雑に入り組んでいる
商流の維持代理店や卸を通した既存の取引ルートがあり、EC化によって彼らの仕事を奪う(中抜きする)わけにはいかない
アナログな注文現場では「カタログの○ページ」という会話が標準で、FAXや電話での「いつものアレ」という注文が全体の3割以上を占める
承認プロセスの存在注文ボタンを押して完了ではなく、社内の上長や、あるいは「代理店による承認」を経て初めて発注が確定する商流がある
法的・運用的制約ロット管理や期限管理に加え、「同意書の提出」や「免許の確認」がないと販売できない商品が含まれている
データの分断基幹システム(ERP)とECの在庫・受注データがリアルタイム、あるいは正確なバッチ処理で連携できておらず、二重入力が発生している
例外対応の常態化「この客だけは特別」という運用が現場の判断で無数に存在し、それを言語化(仕様化)できていない

一つでも当てはまる場合は、パッケージ導入前に要件定義の見直しが必要です。
この状態を放置したままEC導入を進めると、システム導入後に現場が使わず、数百万円規模の投資が無駄になるケースも珍しくありません。
サンクユーでは、これら全ての複雑なパターンを標準機能の組み合わせと最小限のカスタマイズで解決してきた豊富なノウハウがあります。

結論:システムの質は、要件定義の質に比例する

BtoB-ECは、導入することがゴールではありません。
現場が使い続け、業務効率が劇的に改善されることがゴールです。

私たちは、クライアント様の業界・商材・そして顧客を深く理解することから始めます。
「今のパッケージでは対応できない」「業務が複雑すぎてシステム化を諦めている」という企業様こそ、ぜひ一度ご相談ください。

システムの質は、要件定義の質に比例する
この信念を軸に、貴社のビジネスを加速させる最適なEC基盤をご提案いたします。

パッケージ導入で失敗する企業の多くは、システム選定の前に要件定義を行っていません。

まずは自社の状況を整理しませんか?

BtoB-ECはシステム選定より前に、受注フローの整理が重要です。

「このままパッケージで進めて良いのか分からない」
「自社の業務はどこが特殊なのか整理したい」
その段階でも問題ありません。

まだ具体案がなくても大丈夫です。
また、「自社はここまで複雑ではない」と思っていても、実際に整理してみると例外処理や属人化が多数存在するケースがほとんどです。
そのままシステム導入に進むと、後戻りできない状態になる可能性があります。

IBM AS400時代から数々の修羅場をくぐり抜けてきた代表の堀川が、貴社の現在のカオスな業務フローを整理するお手伝いをします。

▶ BtoB-ECの進め方について相談する

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

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