営業部門こそ知っておきたいBtoB-EC活用法|受注フローから営業活動が変わる仕組みとは?

営業部門こそ知っておきたいBtoB-EC活用法|受注フローから営業活動が変わる仕組みとは?B2B-EC
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はじめに:BtoB-ECは営業にとって「関係ない話」ではない

「BtoB-ECって、情シスや業務部門が導入するものでしょ」
「うちの営業は関係ないよ」──
そんなふうに感じている営業部門の方も多いかもしれません。

しかし実際には、BtoB-ECは営業活動そのものに大きな影響を与えるツールです。
むしろ、営業戦略の一部としてBtoB-ECを位置づけることで、顧客との関係を深め、受注の機会を拡大できる可能性があります。

例えば、電話やFAXで受注していた顧客がBtoB-ECを使うようになると、24時間いつでも注文できるようになります。これにより「営業が訪問していない時間」にも売上が発生する環境が整います。
また、Web上に掲載した新商品情報を見た顧客が自発的に注文するケースも増え、営業の「説明時間」や「見積作成時間」が削減されます。

本記事では、営業現場がBtoB-ECをどのように活用できるか、どんなメリットがあるのかを具体的に解説し、現場で実践できるアイデアもご紹介します。

営業部門が抱える“受注業務のムダ”とは?

日々の営業活動の中で、次のような業務に追われていませんか?

  • 定番商品の受注処理(電話/FAX/メール対応)
  • 納期・在庫確認に社内を走り回る
  • 過去の注文履歴を探して再提案
  • 顧客との伝達ミスや注文漏れのフォロー

これらはすべて、営業にとって本来の価値である「提案活動」「関係構築」とは異なる付帯作業です。
特に少人数体制の営業部では、1件あたりの受注単価が低い場合、このような作業に時間を取られるほど利益率が圧迫されます。

さらに、顧客からの「納期はいつ?」「在庫はある?」といった問い合わせ対応も、実際には大きな負担です。本来は受注後のフォローや新規顧客の開拓に時間を割きたいところですが、日々のルーティンに埋もれてしまっている現場も少なくありません。

BtoB-ECが営業にもたらす5つのメリット

1. 定番受注を自動化 → 提案に集中できる

繰り返しの注文や定番商品はWebで完結。これにより営業は、“売れる商品”ではなく“売りたい商品”や高付加価値商材に注力できます。
例:月に50件ある定番受注をBtoB-ECに移行することで、営業1人あたりの提案時間が月10時間以上増えるケースもあります。

2. 顧客の注文履歴・行動が見える

いつ・誰が・何を・どれくらい注文しているのか。注文頻度や傾向から提案タイミングがわかります。
例:ある顧客が3か月周期で特定商品を購入している場合、その2週間前に営業がキャンペーン案内を送れば、受注率が上がる可能性が高まります。

3. 顧客満足度の向上

「納期がすぐ確認できる」「注文ミスが減った」など、顧客にとっても使いやすい環境が整います。営業は“便利な仕組みを持ってくる存在”として信頼が高まります。

4. 潜在ニーズの把握

Web上の閲覧履歴やカート追加情報から、興味を持っている商品がわかります。これをもとに電話や訪問時の提案に活かすことで、提案の精度が高まります。

5. 「売らずに売れる」環境をつくれる

営業が直接“売る”のではなく、仕組みでリピートが回る体制へ。営業はより高度な商談・新規開拓に注力できるようになります。

営業とBtoB-ECは「役割分担」で両立できる

BtoB-ECは営業の仕事を奪うものではなく、営業をより価値ある仕事に集中させる仕組みです。

項目BtoB-ECの役割営業の役割
定番注文自動受付・24時間対応顧客への案内・定着支援
新商品紹介Web掲載・カタログ表示商談・提案・フォロー
顧客履歴管理注文履歴・行動ログタイミングを見た提案・深耕

営業は「提案」「信頼構築」「導入支援」といった人だからこそできる業務に集中できます。

営業主導でBtoB-ECを活用する3つのアイデア

1. 顧客への利用レクチャーを営業が担う

「操作が不安」という顧客に対して、営業が直接使い方を説明します。オンラインミーティングや訪問時に画面を見せながら操作案内を行えば、顧客の心理的ハードルが下がり、利用定着が加速します。

2. マイページ機能で顧客接点を深める

顧客専用画面を営業活動の延長として活用します。特別価格・限定商品・顧客専用キャンペーンを掲載することで、マイページ自体が営業ツールになります。

3. 注文履歴から再提案を行う

「3ヶ月前に購入した商品、そろそろ必要では?」といったリマインド提案が可能です。データに基づいた提案は説得力が高く、クロスセルやアップセルの機会も広がります。

営業部門から見た“成功するBtoB-EC”の条件

  • UIがシンプルで顧客に紹介しやすい
  • 顧客との会話で出た要望がシステムに反映されている
  • 営業チームにもアクセス権・ダッシュボードがある
  • 売上や利用率などが営業KPIにも連動している
  • 営業活動とBtoB-ECの運用が情報共有されている

よくある誤解:「営業が不要になるのでは?」

これは大きな誤解です。

  • ECで定番受注を処理する → 営業の時間が空く
  • 営業の時間が空く → より高度な提案・新規開拓ができる
  • 顧客の満足度が上がる → 営業の信頼性が上がる

BtoB-ECは営業の力を最大限に発揮できる環境づくりであり、「営業の価値を高めるツール」です。

まとめ:営業が“仕組みを動かす人”になる時代へ

これからの営業は、「人が売る」のではなく「仕組みを設計・支援する人」になることが求められます。BtoB-ECは営業にとって敵ではなく、活用次第で自分たちの活動を戦略的かつ付加価値の高いものに変えることができます。

  • 営業が関わることで、BtoB-ECはより顧客に寄り添ったツールになる
  • 顧客の声を拾い、システムに反映することが営業の役割
  • 「仕組み+人」の力で、受注と提案の両方を最適化していきましょう

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投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


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