BtoB-ECを導入しても手作業が残る原因|自動化したのに減らない理由と対策

BtoB-ECを導入しても手作業が残る原因|自動化したのに減らない理由と対策B2B-EC
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この記事でわかること
「BtoB-ECを導入したのに、現場の手作業がなくならない」——これは、導入後のご相談でよくいただく声です。原因の多くは、ECの機能不足ではなく業務設計にあります。本記事では、実際の案件でよく見られる「手作業が残る3つの典型パターン」と、それを残さないための設計の考え方を整理します。

堀川 治(株式会社サンクユー 代表取締役)
ECを入れれば手作業が減る、と思われがちですが、実際には「自動化したのに、確認や合算の手作業が残った」というご相談が少なくありません。手作業が残るのは、たいていECの外側——受注チャネル、価格ルール、コード体系といった業務側の取り決めが設計に落とされていないからです。つまり、これは機能ではなく設計の問題です。

なぜBtoB-ECを導入しても手作業が残るのか

BtoB-ECを導入すると、受注の入力や転記は確かに自動化されます。しかし現場に行くと、「結局まだ手作業でチェックしている」「締めのときに人が突き合わせている」という状況が残っていることがあります。

これは、ECの機能が足りないからではありません。ECで自動化できるのは「決まっている処理」だけで、決まっていない業務——EC外の受注をどう扱うか、価格を誰が決めるか、コードをどう合わせるか——は、自動化されずに人の手に残るからです。手作業が残る場所を見れば、どの業務ルールが設計から抜けていたかが分かります。

手作業が残る3つの典型パターン

実際の案件でよく見られる、手作業が残る代表的な3パターンを紹介します。いずれも「自動化したのに手作業が減らない」状態に共通するものです。

① EC外の受注(電話・FAX・メール)が残る

BtoBでは、EC導入後も電話・FAX・メールでの受注が一定数残るのが普通です。ここで「ECの受注だけ」を基幹に連携する設計にすると、EC外の受注と二重管理になります。

あるお客様では、EC化する範囲だけに意識が向いていたため、電話・FAX・メール受注が設計の視野から外れていました。結果、締めのたびに担当者がECとEC外の両方を突き合わせて合算する作業が残ってしまったのです。基幹側を受注の一本化先と定め、ECは受注チャネルの一つとして流す設計に変えたことで、この合算作業はなくなりました。「ECはあくまでチャネルの一つ」という前提を設計に入れられるかが分かれ目です。

② 得意先ごとの価格・掛け率が属人運用

BtoB取引では、同じ商品でも得意先ごとに価格や掛け率が異なるのが当たり前です。この価格ロジックがシステム化されていないと、ECを入れても価格まわりの手作業が残ります。

あるお客様では、得意先別の価格を営業がExcelを見ながら手修正しており、ベテランしか分からない属人運用で回っていました。そのため、価格の取り決めが「設計すべき課題」として認識されていなかったのです。この状態のまま進めると、受注のたびに営業へ価格を都度確認する手作業が残り、確認漏れによる誤価格受注のリスクも抱えます。得意先別価格テーブルを用意し、そこを価格の「正」と定めたことで、都度確認が不要になりました。価格は「表示」の問題ではなく、「誰がどう決めるか」という運用ルールの問題です。

③ ECと基幹のコード体系が違う

ECと基幹システムとで、品番や得意先などのコード体系が一致していないケースも少なくありません。コードがズレたまま自動化しても、処理が速くなるだけで、不一致そのものは解消されません。

あるお客様では、それまで人が都度コードを読み替えて処理し、業務としては回っていたため、コード体系の不一致が問題として認識されていませんでした。そのまま自動化していれば、誤ったコードで基幹に取り込まれ、受注データの照合・修正という新たな手作業が発生していたはずです。コード変換テーブルを用意し、対応しきれない例外は基幹側で吸収する設計にしたことで、変換の手作業を残さずに済みました。手作業で回っている業務ほど、自動化する際に「決めごと」として表に出す必要があります。

3つに共通する根本原因

3つのパターンに共通するのは、「自動化」の問題ではなく「業務設計」の問題だということです。EC外受注・価格ルール・コード体系——いずれも、人が判断して吸収していた業務ルールが、設計として定義されていませんでした。

手作業が残る場所は、設計が抜けていた場所です。これまで人が吸収していたルールは、自動化すると必ず設計として定義しなければなりません。定義されないルールは、自動化の後も人の手に残り続けます。

「自動化したのに手作業が減らない」とお感じの方へ

どこに手作業が残っているかを一緒に洗い出せば、設計のどこが抜けていたかが見えてきます。現状の受注業務を確認し、どこから整理すべきかをご提案します。

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手作業を残さないための設計の考え方

手作業を残さないためのポイントは、方式やツールを選ぶ前に、次の順番で業務を設計しておくことです。

  1. 1

    受注チャネル全体を「どこで一本化するか」を決める

    ECだけでなく、電話・FAX・メールも含めた受注を、どのシステムで一本化するかを先に決めます。ここを決めておけば、EC外受注の二重管理と締めの合算作業を防げます。

  2. 2

    属人化しているルールを明文化する

    得意先別価格、掛け率、承認の流れなど、ベテランが頭やExcelで吸収しているルールを洗い出し、「誰がどう決めるか」を設計に落とします。属人運用のままだと、必ず都度確認の手作業が残ります。

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    コード体系・データの「正」を先に整理する

    ECと基幹の品番・得意先コードの対応や、どのデータを「正」とするかを、連携の前に整理します。人が読み替えて吸収していたズレは、自動化する前に決めごととして定義します。

実務メモ
「ECを入れれば楽になる」ではなく、「業務を整理したうえでECを入れる」。順番はこれだけです。手作業が残るかどうかは、ECの機能ではなく、導入前にどこまで業務を設計できたかで決まります。連携方式(CSV・API・RPA)の選定も、この設計が固まった後の話です。

よくある質問

BtoB-ECを導入したのに手作業が減らないのはなぜですか?

ECの機能不足ではなく、業務設計が原因であることが多いです。ECで自動化できるのは「決まっている処理」だけで、EC外の受注をどう扱うか、価格を誰が決めるか、コード体系をどう合わせるかといった業務側の取り決めが設計に落とされていないと、自動化しても確認や合算の手作業が残ります。手作業が残っている場所は、設計が抜けていた場所だと考えると原因を特定しやすくなります。

EC導入後も電話やFAXの受注が残ります。どうすればよいですか?

ECの受注だけを基幹に連携すると、EC外の受注と二重管理になり、締めのたびに人が合算することになります。基幹側を受注の一本化先と位置づけ、ECは受注チャネルの一つとして流す設計にすると、EC外受注との突き合わせや合算作業をなくせます。EC化する範囲だけでなく、受注全体をどこで一本化するかまで設計することが大切です。

得意先ごとに価格が違う場合、ECで対応できますか?

対応できますが、価格は「表示」の問題ではなく「運用ルール」の問題として設計する必要があります。誰がどう価格を決めるのかを決め、得意先別価格テーブルなど価格の「正」を一つに定めます。営業がExcelで手修正するような属人運用のままEC化すると、受注のたびに価格を都度確認する手作業が残り、誤価格受注のリスクも抱えます。

手作業を残さないために、まず何をすべきですか?

方式やツールを選ぶ前に、業務設計を固めることが先です。具体的には、①受注チャネル全体をどこで一本化するか、②属人化しているルール(価格・掛け率・承認など)の明文化、③コード体系やデータの「正」の整理、の3つを先に決めます。「設計が先、連携方式は後」の順番を守ることで、自動化後の手作業を最小限にできます。

受注業務の手作業、どこから減らせるかご提案します

「自動化したのに手作業が減らない」——その原因は、たいてい業務設計のどこかにあります。現状の受注業務・EC・基幹連携を確認し、手作業が残っている箇所と、その解消に向けた設計をご提案します。まずは現状をお聞かせください。

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投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
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