この記事でわかること
「うちでもAIを使えないか」と考えたとき、実はその前に整えるべきものがあります。本記事では、日本企業のAI利用の現状(総務省の最新白書)を踏まえ、AI活用の前に整えるべき商品・顧客・価格・受注データの考え方、データを整えることがAI以外(検索・BI・自動化)にも効く理由、そしてBtoB-ECが単なる受注窓口ではなく「受注データ基盤」になる理由を、卸・メーカーの受注業務の視点で解説します。
「AIを使いたい」の前に、受注の現場で起きていること
最近、「うちでも何かにAIを使えないか」というご相談が増えています。ところが、実際に受注業務を伺ってみると、こういう状態の会社が少なくありません。
商品名や型番が統一されていない。価格表がExcelごとにばらばら。取引先ごとの掛率は、ベテラン担当者の頭の中にしかない。受注はFAX・電話・メールで届き、そのつど手入力していて、過去の受注履歴も検索できない。担当者が休むと、出荷が止まりかねない——。
これは、AI以前の問題です。そして、AIを活かせるかどうかを分ける、いちばん大事なところでもあります。
総務省が2026年7月に公表した「令和8年版情報通信白書」によると、日本企業で生成AIを何らかの業務に使っている割合は86.4%に達しました。個人の利用経験も、2024年の26.7%から2025年には58.8%へと大きく伸びています。AIはもう、特別な会社だけのものではありません。だからこそ、足元の受注業務とデータをどう整えるかが問われています。
「AIが活用できるデータ」を持つ企業は24.5%しかない
同じ白書には、見逃せない数字があります。生成AIに社内データを学習させたり、AIが参照できるデータベースを整えたりしている日本企業は、24.5%にとどまります。米国の33.0%、中国の44.0%と比べても低い水準です。
| 指標(令和8年版情報通信白書) | 日本 | 参考(他国) |
|---|---|---|
| 生成AIを業務で利用している企業 | 86.4% | — |
| 個人の生成AI利用経験 | 58.8%(前年26.7%) | — |
| AIが参照できるデータ基盤を整備している企業 | 24.5% | 米33.0% / 中44.0% |
つまり、多くの企業が「AIを使い始めた」一方で、「AIが活用できるデータを持っていない」。ここが日本企業の弱点になっています。この差は、AIそのものの性能ではなく、「AIが活用できる土台」が整っているかどうかの違いとも言えます。
白書に寄せられた有識者コメント(国立情報学研究所・佐藤一郎教授)でも、AI導入の第一歩として、データをAI活用に対応させる「AI-Ready化」の重要性が指摘されています。
AI活用の前に整える「商品マスタ・顧客マスタ・受注データ」
AIだけでは、整備されていない業務データを、信頼できる形に整え、保ち続けることはできません。生成AIはOCRや要約・分類・抽出は得意ですが、そもそもの商品マスタや価格ルールを正しく設計し、日々更新し続けるのは、人と仕組みの仕事です。整っていないデータからは、正しい答えも、有用な提案も生まれません。
だからこそ、AI活用を語る前に、次のような基本データを、検索・集計・再利用できる形に整えることが先決です。
- 商品マスタ(型番・表記・カテゴリの統一)
- 顧客(取引先)マスタ(担当・取引条件・与信)
- 取引先別の掛率・価格ルール(属人化させない)
- 受注履歴(構造化して検索・集計できる形)
- 在庫・納期情報(更新され、参照できる状態)
整えたデータは、AI以外(検索・BI・自動化)にも効く
ここが大切な点です。データを整える価値は、AIだけにあるわけではありません。
商品・受注データが構造化されていれば、AIを使わなくても、検索で必要な情報をすぐ取り出せます。BIツールで受注の傾向を可視化できます。基幹システムと連携すれば二重入力を減らせます。そして将来AIを使う段になれば、そのまま「AIが活用できるデータ」として生きてきます。
データ整備は「AIのための準備」ではなく、「今の業務改善」と「将来のAI活用」の両方に効く投資です。AIを使う予定がまだなくても、整えて損をすることはありません。
自社の受注データが「使える状態」か、整理したい方へ
商品・顧客・価格・受注データがバラバラで、どこから手をつければよいか分からない——そんな状態の棚卸しからお手伝いします。まずは現状の整理からご相談いただけます。
BtoB-ECが「受注データ基盤」になる理由
FAX・電話・メールの受注をWeb化すると、まず再入力や転記ミスが減り、24時間受け付けられるようになります。これは目に見える効果です。
ただ、本当の価値はその先にあります。Web受注の仕組みは、商品・価格・在庫・取引先・受注履歴を、日々更新されるデジタルデータとして自然に蓄積していきます。BtoB-ECは、単なる受注窓口ではなく、会社の受注・データ基盤そのものになります。ベテランしか知らなかった掛率や出荷のルールも、仕組みに乗せれば会社の資産として残ります。
まずは、自社の「現在地」を確認する
とはいえ、いきなりすべてを整える必要はありません。会社によって、すでに整っている部分も、これから手をつける部分も違います。大切なのは、自社が今どこにいるのかを把握することです。
サンクユーでは現在、卸・メーカーの受注業務とデータの現状を10項目で整理する「受注・データ基盤診断」を試験的に作成しています。商品・顧客・価格・受注データの整備状況を確認し、Web化・データ連携・業務の標準化など、どこから始めるべきかを一緒に整理するためのものです。
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よくある質問
AIを導入すれば、バラバラなデータも自動で整理してくれますか?
いいえ。生成AIはOCR・要約・分類・抽出などは得意ですが、商品マスタや取引先別の価格ルールを設計し、日々正しく維持するのは人と仕組みの仕事です。整っていないデータからは、正確な答えも有用な提案も得られません。まずデータと業務を整えることが、AI活用の前提になります。
AI活用の予定はまだありません。今からデータを整える意味はありますか?
あります。整えたデータは、AIを使わなくても、検索での情報取り出し・BIでの受注傾向の可視化・基幹システム連携による二重入力の削減など、今の業務改善にそのまま効きます。そのうえで、将来AIを使う段になれば「AIが活用できるデータ」として生きてきます。「今の改善」と「将来の備え」の両方に効く投資です。
FAX・電話・メールの受注のままでも、AIは使えますか?
使いにくいのが実情です。FAX・電話・メールの受注は、そのつど手入力しない限りデータとして構造化されず、AIが参照・分析できる形になりません。受注情報をWeb受注やデータ取込などでデジタル化し、再利用できる形で蓄積することが、AI活用の土台になります。
何から手をつければよいか分かりません。
まずは自社の現在地(商品・顧客・価格・受注データの整備状況)を把握することからです。サンクユーでは、受注・データ基盤の現状を10項目で整理する診断を試験的に用意しています。整っている部分は「対応不要」と正直にお伝えし、優先順位を一緒に考えます。まずはお気軽にご相談ください。
受注業務の整理・BtoB-ECについてご相談ください
「受注データがバラバラで、何から整えればよいか分からない」「FAX・メール受注をWeb化したい」「将来のAI活用も見据えて受注基盤を作りたい」——EC-CUBE構築・BtoB-EC専門として、現在の受注業務を整理し、優先順位を一緒に考えるところからお手伝いします。まずはお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









