EC-CUBEのカゴ落ちメール機能をBtoB-ECで活用する方法を解説

EC-CUBEのカゴ落ちメールとは?BtoBで受注につなげる活用方法を解説EC-CUBE
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この記事でわかること
カートに商品を入れたのに、注文まで進まない——いわゆる「カゴ落ち」は、ECサイトでは珍しくありません。そして多くのサイトでは、そのまま何もされず、受注の機会を逃しています。EC-CUBEでは、カゴ落ちした会員へ自動でフォローメールを送る「カゴ落ちメール(カート落ちメール)」の仕組みを構築できます。この記事では、その仕組みと、BtoBならではの活用方法を解説します。

堀川 治(株式会社サンクユー 代表取締役)
BtoBでは、カートに入れて離れる理由が「買い忘れ」だけとは限りません。仕様や納期に迷っている、社内で確認している、という途中のことも多い。だからこそ、催促ではなく「相談できますよ」と伝えるフォローが効きます。

この記事を読むと分かること

  • カゴ落ちメールがBtoBでも効果的な理由
  • 「催促メール」と「相談につながるメール」の違い
  • 営業担当の負担を減らしながら受注につなげる考え方
  • 自社に導入すべきか判断するポイント

ECサイトでは、一度商品をカートに入れたにもかかわらず、そのまま離脱してしまう「カゴ落ち」が発生します。この記事では、メーカー・卸売業などBtoBサイトでのカゴ落ちメール活用方法を解説します。一般消費者向けEC(BtoC)とは考え方が異なるため、本記事ではBtoBに絞って紹介します(BtoCでの活用方法は、記事末尾のリンクからご覧いただけます)。

BtoBでは、カゴ落ちは「購入をやめた」のではなく、社内稟議中、納期確認中、営業担当へ相談予定、といった理由で止まっているケースも少なくありません。だからこそ、カゴ落ちメールは「購入を催促するメール」ではなく、「相談のきっかけをつくるメール」として活用できます。その一つの方法が、カゴ落ちメールの自動送信です(EC-CUBEの機能としては「カート落ちメール」という名称で提供されます)。

カートに入れたまま離れる会員を、どうフォローするか

商品をカートに入れたということは、それだけで興味を持っている証拠です。そのうえで注文まで進まないのには、理由があります。特にBtoBでは、社内確認、上司の承認、納期や型番の確認など、購入までに時間が空くことが珍しくありません。だからこそ重要なのは、「購入してください」と催促することではなく、安心して相談できるきっかけをつくることです。

カートに商品を入れたまま注文されていない会員は、購入に近いところまで来ている会員です。何かが引っかかって、あと一歩が進んでいないだけかもしれません。

とはいえ、「誰が、いつ、カートを放置しているか」を手作業で追いかけ、一件ずつメールを送るのは現実的ではありません。件数が増えれば、とても手が回りません。この対応を、自動化するのがカゴ落ちメール機能です。

「カゴ落ちメール」を自動で送る

カゴ落ちメール機能(EC-CUBEでは「カート落ちメール」)は、カートに商品を残したまま一定時間が過ぎた会員を自動で見つけ、案内メールを送ります。手作業で対象を探す必要はありません。設定しておけば、あとはシステムが対象を判定し、決めた時間帯の中でメールを送信します。

カゴ落ちメールの自動送信フロー

カートに商品を残したまま離れた会員へ、案内メールを自動で送る

1

会員がカートに商品を入れたまま離れる

注文手続きを完了せず、カートに商品が残っている状態。

2

一定時間が過ぎたら「対象」として検知

最後の操作から設定した時間(例:30分)が過ぎたカートを、システムが自動で見つけます。

3

決めた時間帯の中で、自動でメールを送信

送信できる時間帯(例:8:00〜21:00)を設定でき、夜間や早朝の送信を避けられます。

4

会員がメールから、カートや問い合わせへ

メールにはカート確認と問い合わせのリンクを設置。「不明点があれば相談できる」フォローの入口になります。

送信されるメール(イメージ)

カートに保存中の商品があります

ご検討中の商品について、ご不明な点はございませんか? 商品仕様や納期、ご注文方法など、お気軽にご相談ください。

カートの内容を確認する
商品について問い合わせる
※画面・メールはイメージです。表示内容はダミーです。数値(時間・時間帯)は設定例です。

あと一歩で注文に至らなかった会員を、逃していませんか。

カゴ落ちメールの導入や、BtoBに合ったフォローの仕組みづくりを、EC-CUBEでご相談いただけます。現在の運用を伺うところから始めます。

カゴ落ちメールについて相談する

送信の流れ

カゴ落ちメールは、次の流れで送られます。

  • 会員がカートに商品を入れたまま、注文せずに離れる
  • 最後の操作から一定時間が過ぎたカートを、システムが対象として検知する
  • 設定した送信時間帯の中で、案内メールが自動送信される
  • 会員はメールから、カートの確認や問い合わせに進める

対象を探すのも、送信するのも自動です。運用担当者が一件ずつ対応する必要はありません。

受注機会を、人手をかけずに取り戻す

この機能の大きな価値は、受注につながる可能性のある会員へのフォローを、人手をかけずに続けられることです。システムが次を自動で行います。

  • 判定:放置されたカートを、システムが自動で見つける
  • 自動送信:決めた時間帯の中で、案内メールを自動で送る
  • 履歴管理:いつ誰に送ったかが、記録として残る

カートに商品が残っている会員を毎日確認し、一人ずつメールを送るのは、現実的ではありません。自動フォローにしておけば、営業担当は、本当に対応が必要なお客様への相談対応に集中できます。人が頑張るのではなく、仕組みが取りこぼしを減らす——ここがこの機能の要です。

送信条件を細かく設定できる

いつ、どのカートに送るかは、運用に合わせて設定できます。主な設定項目は次のとおりです。

  • 放置と判定する時間:最後の操作から何分経過したら対象にするか
  • 送信する時間帯:メールを送ってよい時間帯(夜間や早朝の送信を避けられます)
  • 一度に処理する件数の上限:一回の処理で送る最大件数

たとえば、送信時間帯を日中に限定しておけば、深夜にメールが届いて会員を驚かせることを避けられます。BtoBでは、相手の営業時間を意識した配信が特に大切です。

機能を有効にした後に更新されたカートが対象になります。有効化より前から放置されていたカートは、対象に含まれない設計にできます。過去のカートに一斉送信されて驚く、という事態を避けられます。

BtoBだからこそ効く「相談できるメール」

カゴ落ちメールは、BtoCとBtoBで、効かせ方が変わります。ここがサンクユーの考えるポイントです。

BtoCでは「購入忘れ」を思い出してもらうために送ることが多い一方、BtoBでは「購入を迷っている」のではなく、「社内手続きや確認待ち」で止まっているケースも少なくありません。この違いが、メールの中身を変えます。

BtoCなら、メールの中身は「買い忘れていませんか?」で成立します。しかしBtoBでは、それだけでは弱いのです。BtoBの会員がカートに入れて離れる背景には、次のような「途中で止まる理由」があるからです。

  • 社内の稟議・承認を待っている
  • 上司や担当部署に確認している
  • 型番や仕様を確認している
  • 在庫や納期を確認している
  • 他社と見積を比較している

いずれも、買う気がないのではなく、確認や検討の途中です。こうした相手に効くのが、「ご不明点はありませんか?」という相談を促すメールです。「早く買ってください」ではなく、「困っていることがあれば相談できますよ」と伝える。これにより、迷っている会員が問い合わせへ進みやすくなり、商談や受注につながります。単なる購入リマインドではなく、問い合わせにつなげるフォロー——これがBtoBでの正しい使い方だと考えています。

メール本文のイメージ(催促ではなく相談の入口)

件名

カートの商品について、お困りごとはありませんか?

◯◯様

現在、カートに商品が保存されています。

下記のような点について、ご不明な点はございませんか?

  • 在庫の確認
  • 納期の確認
  • お見積り
  • 商品の仕様や注文方法

お気軽にお問い合わせください。担当者が内容を確認のうえ、ご案内いたします。

※文面はイメージです。「買ってください」ではなく「相談できます」を伝える構成です。

メール送信で終わらせず、受注まで設計する

一つ、正直にお伝えしておきたいことがあります。カゴ落ちメールを送るだけで、自動的に受注が増えるわけではありません。メールは、あくまで入口です。

本当に受注につなげるには、その先までを設計する必要があります。

  • メールで、相談できることを伝える
  • 会員が問い合わせしやすい導線を用意する
  • 届いた問い合わせに、営業がしっかり対応する
  • その結果として、受注につながる

メールから問い合わせ、営業対応、そして受注まで——この流れ全体がそろって、はじめて成果になります。私たちは、メール機能だけを提供するのではなく、問い合わせがどう営業につながるか、受注までの流れをどう設計するかまで含めてご提案しています。機能の導入で終わらせず、受注という成果につなげる。ここがサンクユーの考える受注改善です。

実際に、このようなご相談をいただきます

  • カゴ落ちが増えている
  • 問い合わせの前に離脱されている
  • 営業担当が、同じ説明を何度も繰り返している
  • ECサイトはあるのに、受注につながらない

こうした場合、原因はカゴ落ちだけとは限りません。商品ページ、価格の見せ方、会員管理、営業フロー、基幹連携——さまざまな要因が絡んでいることもあります。私たちは一つの機能だけを追加するのではなく、受注業務の全体を確認したうえで、本当に改善につながる仕組みをご提案しています。これは、業務を理解して設計するという、私たちの一貫した考え方です。

ECサイトが、営業担当のフォローを支援する

この機能を別の角度から見ると、これまで営業担当が手作業でフォローしていた仕事の一部を、ECサイトが肩代わりするとも言えます。BtoBのカート放置は「買わない」のではなく、稟議待ち・納期確認・社内調整・見積比較などで止まっているだけのことが多いからです。その「止まっている会員」への最初の声かけを、システムが自動で担います。

大切なのは、営業を置き換えるのではなく、支援することです。最初のきっかけづくりを自動化し、そこから生まれた問い合わせに、営業がしっかり向き合う。全体の流れは次のようになります。

興味から受注までの流れ(自動フォローが営業を支援する)

会員が商品に興味を持つ
カートに入れる(検討・確認で止まる)
システムが自動でフォローメールを送る
会員が問い合わせをする
営業が対応する(ここに集中できる)
受注
※自動化するのは「最初のきっかけづくり」まで。商談・受注は営業が担います。

なお、この機能は新規のサイト構築だけでなく、すでに運用中のEC-CUBEサイトにも追加できます。「今のサイトに、こうしたフォローの仕組みを足したい」というご相談も承っています。

向いている企業・向かないケース

カゴ落ちメールは、どんなサイトにも等しく効くわけではありません。特に相性が良いのは、購入までに検討や確認の時間がかかる商材です。

向いている業種理由
メーカー商品や仕様の確認に時間がかかりやすい
卸売業発注前に社内の承認が必要なことが多い
部品・資材の販売型番や規格の確認に時間がかかる
専門性の高い商材(建材など)担当者への相談が発生しやすい

いずれも、「カートに入れて離れる=購入をやめた」ではなく、「検討や確認の途中」であることが多い業種です。こうした場面では、相談しやすいフォローが受注につながります。

逆に、向かないケース

一方で、次のような場合は、あまり効果が期待できないか、かえって煩わしく感じられることがあります。

  • 衝動買いが中心で、検討時間が短い
  • 少額の商品が中心
  • BtoC色が強く、じっくり検討する商材ではない

自社の商材が、どちらの性質に近いかを見極めたうえで導入することが大切です。

カゴ落ちメールで成果を出す3つのポイント

カゴ落ちメールは、ただ導入すれば成果が出るわけではありません。特にBtoBで効果を出すには、次の3つを押さえることが大切です。

1. メールは、しつこく送らない

何度も送ると、かえって印象を悪くします。基本は一度のフォローで十分です。「気にかけていますよ」と伝われば、その役割は果たせています。送る回数を増やすより、一通の内容を丁寧にする方が効果的です。

2. 売り込みより、相談導線を優先する

「早く買ってください」ではなく、「不明点があれば相談できます」という導線を用意します。BtoBの会員は、迷っている理由を解消できれば前に進みます。押すのではなく、相談しやすくすることが、結果的に受注につながります。

3. 営業との役割分担を決めておく

メールで生まれた問い合わせに、誰がどう対応するかを事前に決めておきます。自動フォローは入口をつくるところまで。そこから先の商談は人が担います。この役割分担があいまいだと、せっかくの問い合わせを取りこぼしてしまいます。

よくある質問

どのくらいカートを放置したら、メールが送られますか?

放置と判定する時間は、設定で変更できます。最後の操作から何分経過したカートを対象にするかを、運用に合わせて決められます。

深夜や早朝にメールが送られてしまいませんか?

送信する時間帯を設定できます。たとえば日中の時間帯に限定しておけば、夜間や早朝の送信を避けられます。BtoBでは、相手の営業時間に合わせた配信がしやすくなります。

機能を導入する前から放置されていたカートにも、送られてしまいますか?

機能を有効にした後に更新されたカートを対象にする設計にできます。これにより、過去のカートに一斉送信されてしまう事態を避けられます。

メールの内容は変更できますか?

メールのテンプレートを用意でき、内容を編集できます。催促の文面ではなく、不明点を相談してもらうフォローの文面にするなど、運用方針に合わせた内容にできます。

送信した結果は確認できますか?

送信の履歴を確認できます。いつ、どの会員に、どのような内容で送られたかを後から確認できるため、運用状況を把握しやすくなります。

まとめ

カートに商品を入れたまま離れてしまう会員は、購入まであと一歩のところにいます。カゴ落ちメール機能を使えば、そうした会員を自動で見つけ、案内メールを送れます。放置の判定時間や送信時間帯を設定でき、運用の手間をかけずにフォローを続けられます。

大切なのは、催促するのではなく、迷っている会員が相談しやすい状態をつくることです。私たちも、卸売業やメーカーを中心にBtoB-ECの構築・改善をご支援するなかで、このようなご相談を数多くいただいてきました。BtoBの商習慣に合わせて、こうしたフォローの仕組みをEC-CUBEで実現するお手伝いをしています。あと一歩の会員のフォローにお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

もし、こんな状況に心当たりがあれば。

カゴ落ちが増えている、問い合わせにつながらない、営業担当が同じ説明を繰り返している——もしそうであれば、「メールを送るかどうか」の前に、一度受注の流れ全体を見直してみることをおすすめします。どこで会員がつまずいているかが見えると、打つべき手も変わってきます。その整理を一緒に行うことも、私たちのお手伝いの一つです。必要であれば、お気軽にご相談ください。

受注の流れを一緒に整理する

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

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