BtoB-ECの二重入力をAPI連携で解消。基幹システムとつないだ3つの成功事例

BtoB-ECの二重入力をAPI連携で解消。基幹システムとつないだ3つの成功事例B2B-EC
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はじめに:BtoB-ECを導入したのに、バックオフィスが疲弊していませんか?

FAXや電話によるアナログ受注から脱却するため、BtoB-EC(企業間取引ECサイト)を導入した
しかし、現場からはこんな声が上がっていませんか?

「ECで注文が入っても、結局そのデータを基幹システムに手入力している」
「ECサイトの在庫数と、基幹システムの実際の在庫数が合わず、顧客に謝罪の電話を入れる羽目になった」
「受注はEC、請求書発行は基幹システム、と管理が二重になり、月末の経理作業が余計に増えた」

これは、BtoB-ECを導入した多くの企業が直面する「基幹システムとの“壁”」です。
注文の「入口」だけをデジタル化しても、その後の「在庫管理」「出荷管理」「請求管理」が分断されていれば、バックオフィスで新たな「二重入力」や「転記作業」が発生し、結局のところ真の業務効率化は実現できていません。

この深刻な課題を解決する鍵こそが、API連携によるシステム統合です。
本記事では、実際にAPI連携によってBtoB-ECと基幹システムをつなぎ、「二重管理」問題から脱却した企業の成功事例を3つのパターンでご紹介します。

第1章:なぜCSV連携ではダメなのか? API連携が必須の理由

「データ連携なら、ECからCSVをダウンロードして、基幹システムにアップロードすれば良いのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、CSV連携(バッチ処理)には限界があります。

  • タイムラグの発生:
    CSVでの処理は1日に数回など、リアルタイムではありません
    その間にECで注文が入ると、在庫切れ(機会損失)や売り越し(クレーム)が発生します。
  • 手作業の介在:
    結局「ダウンロード」「アップロード」という手作業が発生し、属人化や作業漏れのリスクが残ります。

これに対し、API(Application Programming Interface)連携は、システム同士がプログラムを通じて「自動的」かつ「リアルタイム」に会話(データ連携)する仕組みです。
この「自動」と「リアルタイム」こそが、二重入力を撲滅し、業務効率化を実現する上で不可欠なのです。

第2章:API連携の成功事例

実際にAPI連携を導入した企業は、どのような課題を解決したのでしょうか。

事例1:製造業A社(在庫情報のリアルタイム連携)

導入前の課題

ECサイトの在庫数を、担当者が1日に2回、基幹システムを見ながら「手動」で更新していました。
そのため、ECサイト上では「在庫あり」と表示されているのに、実際には基幹システム側(倉庫)で在庫が切れているという「売り越し」が頻発。
顧客からの注文に対し「在庫切れでした」と謝罪の電話を入れることが常態化し、顧客満足度が著しく低下していました。

解決策(API連携)

BtoB-ECと基幹システムの「在庫マスタ」をAPIでリアルタイム連携させました。
基幹システム側で在庫が1つでも動けば(例:出荷、入荷)、その情報が即座にECサイトの在庫数に自動反映される仕組みを構築しました。

導入後の効果

顧客がWeb上で「本当に正しい最新在庫」を確認できるようになったため、「在庫切れによるキャンセル」がほぼゼロになりました。
また、これまで社内の営業担当者が倉庫や生産管理部門に「あの在庫ある?」と行っていた確認電話や調整業務も激減。
顧客満足度の向上と、社内の非効率な確認作業の撲滅を同時に実現しました。

事例2:卸売業B社(受注・請求管理の自動連携)

導入前の課題

受注はBtoB-ECで受けていましたが、請求書の発行は基幹システムで行っていました。
そのため、ECからダウンロードした受注データ(CSV)を、経理担当者が基幹システムに「手入力で転記」するという非効率な作業が発生。
月末にはこの転記作業に数日を要し、入力ミスによる請求金額の間違いも多発していました。

解決策(API連携)

ECで入った注文データを、API経由で基幹システムの「受注伝票」として自動で生成するように連携。
さらに、基幹システム側で自動生成された「請求データ」や「入金ステータス」を、逆にECサイトのマイページに反映させる双方向の連携を実現しました。

導入後の効果

最も工数がかかっていた「転記作業」が完全にゼロになり、請求処理にかかる工数が50%も削減されました。
ミスの削減により、クレーム対応や再発行の手間も減少。
経理担当者は単純な入力作業から解放され、売上分析やキャッシュフロー管理といった、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになりました。

事例3:医療機器販売C社(顧客別価格・取引条件の自動連携)

導入前の課題

医療機関ごとに「販売価格」や「取引条件」が細かく異なるというBtoB特有の商習慣がありました。
しかし、ECサイト側がそれに対応しておらず、一旦「標準価格」で受注した後、営業担当者が基幹システム側で「正しい顧客価格」に手動で修正するという、非効率極まりない運用を行っていました。

解決策(API連携)

企業の根幹データである基幹システムの「顧客マスタ」と「価格表マスタ」を、BtoB-ECシステムとAPIで連携。
顧客がECサイトにログインすると、基幹システムからその顧客専用の価格情報を瞬時に取得し、ECサイト上に自動で表示する仕組みを構築しました。

導入後の効果

顧客からは「最初から正しい価格が表示されるので安心して注文できる」と、利便性が大幅に向上したと好評を得ました。
営業担当者も、注文後のわずらわしい価格修正工数がゼロになり、その時間を新規の病院への提案活動などに使えるようになりました。

第3章:API連携がもたらす3つの共通メリット

これらの事例から分かるように、API連携によるシステム統合は、企業に共通して3つの大きなメリットをもたらします。

1. 二重入力・ミスの撲滅(バックオフィスの生産性革命)

受注、在庫、請求といったバラバラだった情報を一元化し、人間による手作業(転記・手入力)を徹底的に排除します。これにより、属人的なミスがなくなり、バックオフィス部門の生産性が劇的に向上します。

2. リアルタイム性の担保(機会損失の防止)

顧客は「今、正しい在庫・納期・価格」をWebで24時間いつでも確認できるようになります。
これにより、「在庫切れによる売り越し(クレーム)」と「在庫があるのに無いと表示される(機会損失)」の両方を防ぐことができます。

3. 業務効率と顧客満足の「両立」

API連携は、社内の業務効率化(守り)と、顧客体験(CX)の改善(攻め)を同時に実現する、BtoB-ECにおける「真のDX」です。
社内が楽になるだけでなく、顧客も便利になるため、導入効果が非常に大きくなります。

まとめ:BtoB-ECは「基幹連携して初めて真価を発揮する」

BtoB-ECシステムを単体で導入するだけでは、「便利な受注窓口」が増えたに過ぎず、バックオフィスの課題は解決されません。

しかし、API連携によって会社の心臓部である「基幹システム」とつなげることで、初めてBtoB-ECは「全社的な業務効率化」と「顧客体験の向上」を両立できる、強力な経営基盤へと進化します。

「受注はEC、在庫や請求は基幹システム」という二重管理に課題を感じている企業こそ、次のステップとしてAPI連携の検討を本格的に始めるタイミングです。

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


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