EC-CUBEのメリット・デメリットを本音で解説|向いている会社・後悔する会社の決定的な違い

EC-CUBEのメリット・デメリットを本音で解説|向いている会社・後悔する会社の決定的な違いEC-CUBE
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この記事でわかること
EC-CUBEのメリット・デメリットを、BtoB-EC構築の現場目線で本音で整理します。ShopifyなどSaaS型との違い、向いている会社・後悔する会社の分かれ目、初期費用や保守の考え方まで、導入判断に必要な論点を一通り解説します。

堀川 治(株式会社サンクユー 代表取締役)
EC-CUBEは「自由度が高い」とよく言われますが、その自由度は諸刃の剣です。設計を誤れば複雑さに化け、うまく設計すればSaaSでは届かない業務効率になります。選ぶかどうかより先に、自社の業務要件を整理することをおすすめします。

ECサイト構築を検討していると、必ず候補に挙がるのがEC-CUBEです。一方で「自由度が高いと聞くけれど、その分大変なのでは」「Shopifyと迷っているが決め手がない」という声もよく聞きます。この記事では、EC-CUBEのメリット・デメリットを本音で整理し、自社に合うかを判断するための論点をまとめます。

結論:EC-CUBEは「標準機能では足りない業務要件がある会社」向け

EC-CUBEは万能ではありません。標準機能では対応できない業務要件があり、基幹システムと連携したい、将来の拡張を見据えている——こうした企業にとっては、SaaS型では届かない要件まで作り込める強力な選択肢です。BtoC・BtoBを問いませんが、とりわけ掛売・承認フロー・顧客別価格といったBtoBの要件がある場合に、その差がはっきり出ます。

一方で、小規模な物販・短期立ち上げ・標準機能で完結・カスタマイズ不要であれば、ShopifyなどのSaaS型の方が合理的です。判断を分けるのは「どちらが優れているか」ではなく、自社の業務構造とEC-CUBEの自由度が噛み合うかです。以下で、その見極めに必要な論点を順に整理します。

EC-CUBEのメリット

1. カスタマイズの自由度が「業務要件」に届く

EC-CUBE最大の強みは、画面や機能の自由度ではなく、業務そのものを設計に落とし込めることです。たとえば、次のような「SaaSでは制限が出やすい要件」があります。

  • 取引先ごとに異なる顧客別価格・数量別単価
  • 担当者と承認者を分ける承認フロー(稟議・与信)
  • 請求書払いを前提とした掛売・締め請求
  • 在庫・受発注を一元管理する基幹システム連携

これらはEC-CUBEの標準機能ではなく、カスタマイズによって柔軟に実装できる領域です。SaaS型では枠の外にあって手が出せない要件を、EC-CUBEなら業務フローとして作り込める——ここが最も大きな差になります。特にBtoBでは、これらは「あれば便利」ではなくないと運用が回らない要件になりがちで、自由度の価値が顕著に出ます。

2. 売上連動手数料が基本的にない=拡大するほど有利になりやすい

SaaS型の多くは、月額に加えて売上に応じた手数料(従量課金)が発生します。売上が伸びるほど手数料も増えるため、成長そのものがコストを押し上げます。

EC-CUBEは自社設置型(またはクラウド上の自社運用)が基本で、EC-CUBE自体には売上連動の利用料がありません。初期に制作費がかかる代わりに、ランニングは固定的です。つまりコストの性格が「売上に比例して増える型」から「はじめに投資して以降は固定に近い型」へ変わります。売上規模が大きく、長く運用するほど、この差は効いてきます(なお、決済代行サービスの手数料や、モール・外部アプリを併用する場合の費用は別途発生します。具体的な損益分岐は事業規模により異なるため、試算をおすすめします)。

3. スモールスタートから段階拡張できる

最初は単一店舗・最小構成で始め、事業の成長に合わせて多店舗展開・BtoB機能の追加・海外対応・基幹連携の強化へと段階的に広げられます。「作り直し(リプレイス)」ではなく「積み増し」で拡張できるため、初期の投資を無駄にしにくいのが利点です。

4. インフラを自社ポリシーに合わせられる

AWSなどのクラウド活用、専用サーバー、社内ネットワーク要件への対応など、インフラ設計の自由度があります。セキュリティ要件やアクセス制御が厳しい企業でも、要件に合わせた構成を選べます。

EC-CUBEのデメリット(本音)

メリットの裏返しがそのままデメリットになります。ここは正直に書きます。

1. 設計力がないと、自由度が「複雑さ」に化ける

自由度が高いということは、設計を誤ると際限なく複雑になるということです。要件を整理せずに「とりあえず作れるから」と機能を足していくと、運用も改修も重くなり、後から誰も触れないシステムになります。EC-CUBEの成否は、プラットフォームの性能よりも制作会社の設計力に大きく左右されます。

ここが分かれ目:EC-CUBEで後悔するか成功するかは、EC-CUBEの性能ではなく「導入前に業務要件を整理できたか」「設計力のあるパートナーと組めたか」で決まります。

2. 初期費用はSaaSより高くなりやすい

ノーコードで始められるSaaSと比べ、EC-CUBEは設計・開発の工程が必要なため、初期費用は高く見えます。ただしこれは「高い」というよりコストの発生タイミングが違うだけです。SaaSは初期が軽く運用(手数料)で回収される構造、EC-CUBEは初期に投資して運用が軽い構造。どちらが安いかは、売上規模と運用年数で逆転します。短期・小規模ならSaaS、長期・成長前提ならEC-CUBEが有利になりやすい、という関係です。

3. 保守・運用体制が前提になる

サーバー管理、WordPressやプラグイン同様の本体・依存ライブラリのバージョンアップ、セキュリティ対応が継続的に必要です。「作って終わり」では動きません。逆に言えば、保守体制さえ確保できれば、SaaSの仕様変更に振り回されずに自社の都合で運用を続けられます。体制を持てるか(自社 or 委託先)が、EC-CUBE選択の実質的な前提条件です。

SaaS型との本質的な違い

Shopifyやfutureshop、BカートといったSaaS型と、EC-CUBEの違いを整理します。重要なのは優劣ではなく、自社の構造にどちらが合うかです。

観点SaaS型(Shopify 等)EC-CUBE
立ち上げスピード速い(すぐ開始できる)設計・開発の期間が必要
カスタマイズ制限あり(枠内で調整)高い自由度(業務要件まで)
コスト構造初期が軽い/売上連動で増える傾向初期に投資/以降は固定中心(EC-CUBE自体に売上連動料なし。決済手数料等は別)
売上拡大時手数料が比例して増えやすいコストが固定的で有利になりやすい
BtoB対応(掛売・承認・顧客別価格)制限が多い柔軟に実装可能
基幹システム連携限定的要件に合わせて構築可能
運用・保守提供元に依存(仕様変更の影響を受ける)自社都合で継続可能(体制が前提)

ざっくり言えば、「早く・軽く・標準で足りる」ならSaaS、「業務要件を作り込み・長く・拡張前提で使う」ならEC-CUBEです。特にBtoBの受注業務が絡むと、SaaSの制限に当たりやすく、EC-CUBEの自由度が効いてきます。

自社はSaaSとEC-CUBE、どちらの構造に合っているのか。

受注業務やBtoB要件を踏まえて判断したい場合は、無料でご相談いただけます。要件を整理するところからお手伝いします。

EC-CUBEが自社に合うか無料で相談する

EC-CUBEが向いている会社

  • BtoB取引がある(掛売・承認フロー・顧客別価格が必要)
  • 基幹システムや在庫・受発注と連携したい
  • 将来の多店舗・海外・機能拡張を前提にしている
  • 売上規模が大きく、長期運用を見込んでいる
  • 標準機能では業務が回らない要件がある

EC-CUBEが向かない会社

  • とにかく安く・すぐに始めたい
  • 標準機能で十分(特殊な業務要件がない)
  • 小規模な物販が中心
  • ECが副業的な位置づけで、保守体制を持てない

向かない会社が無理にEC-CUBEを選ぶと、初期費用と設計負担だけが重くのしかかります。逆に、向いている会社がSaaSを選ぶと、成長に伴って手数料と機能制限に苦しむことになります。自社がどちら側かを見極めることが、最初の分岐です。

よくある誤解

「EC-CUBEは古いのでは?」

誤解です。EC-CUBEは現在もバージョンアップが継続され、最新PHPやセキュリティ基準に対応しています。問題は「古いかどうか」ではなく、どう設計し、どう保守し続けるかです。設計と保守が伴えば、長く安定して使えます。

「自由度が高い=難しくて使いこなせない」

自由度は「使う人の難しさ」ではなく「設計する人の責任」です。日々の運用画面は、要件に合わせて現場が使いやすいように設計できます。難しくなるかどうかは、EC-CUBEではなく設計次第です。

「初期費用が高い=損」

コストの発生タイミングが違うだけで、総額はSaaSより安くなることもあります。売上連動手数料がない分、運用年数と売上規模が伸びるほど有利になります。目先の初期費用ではなく、数年単位の総コストで比較すべきです。

後悔する会社と、成功する会社の違い

EC-CUBEで後悔する会社には、共通点があります。

  • 安さだけで制作会社を選ぶ(設計力を見ずに価格で決める)
  • 要件整理をせずに始める(作りながら考える)
  • 将来設計を描いていない(拡張の絵がないまま構築する)
最も多い失敗:価格だけで制作会社を選ぶと、設計力が伴わず「自由度が複雑さに化ける」典型に陥ります。EC-CUBEは“設計前提型”のプラットフォームである以上、選ぶべきは安さではなく、業務を理解して設計できるパートナーです。

裏を返せば、要件を整理し、将来を見据え、設計力のあるパートナーと組めば、SaaSでは到達できない業務効率とコスト構造を実現できます。成功と後悔を分けるのは、EC-CUBEの性能ではなく、導入前の設計です。

サンクユーがEC-CUBEでできること

私たちは、EC-CUBEを「作る」だけの会社ではありません。基幹システムとECをつなぎ、受発注業務そのものを最適化することを軸にしています。特に、

  • BtoB-EC(掛売・承認フロー・顧客別価格・締め請求)の構築
  • アナログな受注業務(FAX・電話・メール)のEC化
  • 基幹システムとの連携・業務フロー設計

これらを、要件整理から実装・保守まで一貫して対応します。「EC-CUBEが自社に合うか分からない」という段階からご相談いただけます。合わない場合は、SaaSを含めて正直にお伝えします。

よくある質問

EC-CUBEとShopify、どちらを選ぶべきですか?

業務要件によります。標準機能で足り、早く安く始めたいならShopifyなどのSaaS型が合理的です。掛売・承認フロー・顧客別価格・基幹連携といったBtoB要件があるなら、EC-CUBEの自由度が必要になります。売上規模が大きく長期運用するほど、手数料のないEC-CUBEが有利になりやすい点も判断材料です。

EC-CUBEの初期費用はSaaSより高いですか?

初期費用は高く見えます。ただしSaaSは売上連動手数料で運用時にコストが増える構造のため、運用年数と売上規模によっては総額が逆転します。EC-CUBE自体には売上連動の利用料はありません(決済代行の手数料などは別途発生します)。目先の初期費用ではなく、数年単位の総コストで比較することをおすすめします。

EC-CUBEは古い・時代遅れというのは本当ですか?

誤解です。現在もバージョンアップが継続され、最新のPHPやセキュリティ基準に対応しています。重要なのは古さではなく、適切に設計し、保守を続けられるかどうかです。

保守・運用に体制が必要と聞きますが、自社にノウハウがなくても大丈夫ですか?

問題ありません。サーバー管理やバージョンアップ、セキュリティ対応は制作・保守会社に委託できます。むしろ体制さえ確保すれば、SaaSの仕様変更に振り回されずに自社都合で運用を続けられます。

小規模なECでもEC-CUBEを選ぶ意味はありますか?

現時点で標準機能で足り、拡張予定もないなら、SaaS型の方が合理的です。ただし将来のBtoB展開や基幹連携、多店舗化を見据えているなら、最初からEC-CUBEで設計しておく方が、後の作り直しを避けられます。

まとめ

EC-CUBEのメリット・デメリットを整理すると、次のとおりです。

  • メリット:業務要件まで届く自由度/EC-CUBE自体に売上連動の利用料なし/段階拡張/BtoB対応力/インフラの自由度
  • デメリット:設計力が必要/初期費用は高く見える/保守体制が前提

重要なのは「どちらが安いか」ではなく、どちらが自社の業務構造と将来設計に合うかです。そして実のところ、EC-CUBEを選ぶかどうかより先に決めるべきことがあります。それは自社の業務要件を整理することです。要件がはっきりすれば、EC-CUBEが最適なのか、SaaSで足りるのかは自ずと見えてきます。私たちは、この業務要件の整理からお手伝いします。

EC-CUBEが自社に合うか、SaaSの方が良いのか。

受注業務やBtoB要件を踏まえて、正直に判断をお手伝いします。合わない場合はその旨もお伝えします。

業務要件からEC-CUBEが合うか相談する

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

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