この記事でわかること
「EC-CUBEはどのサーバーに置けばいいのか」——構築時に見落とされがちなのが、サーバー構成です。この記事では、代表的な選択肢であるXserverとAWSを例に、EC-CUBEのサーバーをどう選ぶかの考え方を解説します。大切なのは「安いかどうか」ではなく、事業の将来に合っているかどうかです。
EC-CUBEはオープンソース型のため、インフラの自由度が高いのが特徴です。その反面、設計を誤ると、あとから大きな移行コストが発生することがあります。本記事では、EC-CUBEで採用されることの多い代表例として、XserverとAWSを比較します。実際には、さくらのクラウド、ConoHa VPS、各種クラウドサービスなど、要件に応じてさまざまな選択肢があります。ここでは、性質の異なる代表的な2つを比べることで、選び方の考え方を整理します。
前提:規模ではなく「事業構造」で選ぶ
よくある誤解が、「小規模だからXserver」「大規模だからAWS」という規模だけの判断です。本当に見るべきは、規模そのものよりも、事業の構造です。
- 同時接続数
- 将来のアクセス増加の見込み
- BtoB機能の有無
- 基幹システムとの連携
- 求められるセキュリティ要件
- 冗長化の必要性
判断の軸は、「現在の売上」ではなく「3年後の構造」です。今は小さくても、将来BtoBや基幹連携を見込むなら、その前提でサーバーを考えておくと、あとからの作り直しを避けられます。
Xserverの特徴
Xserverは、国内で広く利用されているレンタルサーバーです。手軽に始められるのが強みです。
向いているケース
- 小規模のBtoC
- 商品数が多くない
- 同時アクセスがそれほど多くない
- 基幹システムとの連携がない
メリット:月額コストが比較的抑えられ、セットアップが簡単で、国内向けの表示速度が安定しています。運用のハードルが低く、専門知識が少なくても始めやすいのが利点です。
注意点:共用レンタルサーバーの範囲では、大規模なスケールや細かなパフォーマンスチューニングに限界があります。急激なアクセス増が見込まれる場合は、プランの上限や拡張の余地を、事前に確認しておくとよいでしょう。
AWSの特徴
AWSは、構成を柔軟に設計できるクラウド基盤です。要件に応じて、細かく組み立てられるのが強みです。
向いているケース
- BtoB-EC
- 基幹システムとの連携がある
- アクセス増加が見込まれる
- セキュリティ要件が厳しい
メリット:アクセス量に応じた自動的なスケール、負荷分散、冗長構成などを柔軟に設計できます。セキュリティについても、設計の自由度が高いのが特徴です。
注意点:設計の難易度が高く、初期構築の費用が発生し、運用にも知識が必要です。また、AWSを使えば自動的に安全・高速になるわけではありません。その効果は、適切なアーキテクチャ設計があって初めて得られます。「とりあえずAWS」が正解とは限りません。
比較まとめ
| 項目 | Xserver | AWS |
|---|---|---|
| 初期構築の難易度 | 低い | 高い |
| 月額費用 | 安定・見通しやすい | 構成次第 |
| 拡張性 | プランの範囲内 | 非常に高い |
| BtoB適性 | 要件次第 | 高い |
| セキュリティ設計の自由度 | 限定的 | 高い(設計が前提) |
どちらが優れているという話ではありません。手軽さと見通しやすさを取るか、自由度と拡張性を取るか——事業の構造によって、適した選択は変わります。
よくある失敗パターン
1. 安さだけで選ぶ
目先の安さだけで選んだ結果、表示の遅延や障害が起き、後から移行が必要になって、コストが二重にかかるケースがあります。
2. 過剰なスペックで設計する
逆に、必要以上の冗長構成にして、月額コストが膨らんでしまうケースです。規模に合わない設計は、無駄になります。
3. 将来の拡張を考えていない
後からBtoB機能を追加したり、基幹システムと連携したりする段階で、大幅な構成変更が必要になることがあります。最初に将来を見込んでおくことが大切です。
BtoB-ECの場合の考え方
BtoBのECでは、次のような負荷や要件が発生しやすくなります。
- 顧客ごとの価格処理
- 同時ログインの増加
- 大量データの連携
こうした将来の拡張を前提とするなら、柔軟に構成を組めるクラウド基盤が合理的なケースが多くなります。ただし、これも事業の状況次第です。小さく始めて段階的に育てる方針であれば、まずは手軽な構成から始めるという選択も、十分にあり得ます。
自社に合うサーバー構成が分からない、という方へ。
現在の事業構造と将来の見込みを伺い、EC-CUBEに適したサーバー構成をご提案します。特定のサーバーありきではなく、要件に合った形を一緒に考えます。
よくある質問
EC-CUBEは、XserverとAWSのどちらがよいですか?
どちらが優れているという話ではなく、事業の構造によって適した選択が変わります。手軽さと見通しやすさならXserverのようなレンタルサーバー、拡張性や自由度が必要ならAWSのようなクラウド基盤が向いています。規模だけでなく、将来の拡張や連携の見込みで判断します。
小規模なら、Xserverで十分ですか?
小規模のBtoCで、商品数や同時アクセスが多くなく、基幹システムとの連携がない場合は、Xserverのような手軽な構成も十分な選択肢になります。ただし、将来的にアクセス増や機能追加を見込むなら、その前提で検討しておくと安心です。
AWSにすれば、安全で高速になりますか?
AWSを使えば自動的に安全・高速になるわけではありません。その効果は、適切なアーキテクチャ設計があって初めて得られます。設計や運用には知識が必要で、初期構築の費用も発生するため、要件に合った設計が前提になります。
サーバーは、規模で選べばよいですか?
規模だけで選ぶのは避けたほうがよいです。同時接続数、将来のアクセス増加の見込み、BtoB機能の有無、基幹連携、セキュリティ要件、冗長化の必要性などをふまえ、現在の売上ではなく数年後の事業構造で判断することをおすすめします。
あとからサーバーを変更することはできますか?
変更は可能ですが、移行には手間とコストがかかり、サーバー構成は後から変えるのが最も大変な部分の一つです。そのため、最初に将来を見据えて設計しておくことで、後からの作り直しを避けやすくなります。
まとめ
サーバーは、単なる置き場所ではありません。拡張戦略、負荷設計、セキュリティ、運用体制と一体で考えるべきものです。目安としては、小規模のBtoCならXserverのような手軽な構成も選択肢になり、BtoBや中規模以上で拡張を見込むならAWSのような柔軟な構成が有力になります。
ただし、いちばん大切なのは、現在ではなく将来を見据えて設計することです。私たちは、EC-CUBEの構築だけでなく、事業の構造に合わせたサーバー構成のご提案から、その後の保守・運用までお手伝いしています。サーバー選びでお悩みのことがあれば、お気軽にご相談ください。
EC-CUBEのインフラ設計から、お手伝いします。
事業の将来を見据えたサーバー構成を、要件を伺った上でご提案します。構築後の保守・運用まで含めて、安心して使い続けられる形を一緒に設計しましょう。
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
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