BtoB-ECで複数担当者ログインはなぜ必要か|法人サブアカウントで受注業務を止めない仕組み

BtoB-ECで複数担当者ログインはなぜ必要か|法人サブアカウントで受注業務を止めない仕組みB2B-EC
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この記事でわかること
BtoB-ECを「1社につき1つのログインアカウント」で運用していると、その担当者が退職・休職・不在になった瞬間に、発注も履歴確認もできなくなります。法人取引は組織で行うものなのに、アカウントが個人に紐づいていることが原因です。本記事では、1社1アカウント運用が抱えるリスクと、複数担当者ログイン(法人サブアカウント)によって受注業務を止めない仕組みを解説します。

堀川 治(株式会社サンクユー 代表取締役)
BtoBの取引は「会社対会社」です。それなのに、多くのECは「1社1アカウント」で設計されていて、実態は「担当者個人のアカウント」になっています。担当者が辞めたらログインできない、誰が何を注文したか分からない——これは設計の問題です。法人サブアカウントは、この構造的な弱点を解消する仕組みです。

1社1アカウント運用が抱える問題

多くのBtoB-ECは、取引先1社に対して1つのログインアカウントを発行する形で運用されています。一見シンプルですが、法人取引の実態と噛み合っていません。

BtoB取引の実態1社1アカウント運用だと
複数の担当者が発注に関わる1つのIDを使い回すことになり、誰が発注したか分からない
担当者は異動・退職するその担当者が抜けるとログイン情報も失われる
上長が発注内容を把握したい担当者個人のアカウントなので上長が見られない
会社として取引履歴を管理したい履歴が個人アカウントに閉じてしまう

つまり「会社として取引しているのに、アカウントが個人に縛られている」状態です。これが、後述するさまざまなトラブルの原因になります。

担当者の退職・不在で起きる具体的なリスク

1社1アカウント運用の弱点が最も表面化するのが、担当者の退職・異動・休職のタイミングです。

場面起きること
発注担当者が退職したログイン情報が分からず、発注も過去履歴の確認もできなくなる。最悪、アカウントを作り直すことになり、過去の取引履歴が引き継げない
担当者が急に休んだその人しかログインできないため、急ぎの発注が止まる
担当者が異動した後任への引き継ぎで、IDとパスワードを口頭やメールで共有することになり、セキュリティ上のリスクが生じる
複数人で1IDを共有していた退職者もログインできる状態が残り、アクセス権の管理ができない
特に危険なのがID共有:1つのアカウントを複数人で使い回すと、退職した人もログインできる状態が残ります。パスワードを変えない限りアクセスを止められず、変えれば今度は全員に再共有が必要になります。これはセキュリティと運用の両面で問題です。

複数担当者ログイン(法人サブアカウント)とは

複数担当者ログイン(法人サブアカウント)は、1つの会社に対して複数の担当者アカウントをぶら下げられる仕組みです。会社という単位を軸に、その下に担当者が所属する構造になります。

構成要素内容
会社取引の単位。1名だけの場合も会社として登録する
担当者会社に所属し、ログインして発注・問い合わせを行う人。複数登録できる
管理者担当者の追加・権限変更・無効化ができる担当者
一般発注・履歴確認・問い合わせはできるが、担当者管理はできない担当者

重要なのは、同じ会社に所属する担当者は、会社の注文履歴を共通で閲覧できる点です。個人ではなく会社に履歴が紐づくため、担当者が変わっても取引の継続性が保たれます。

法人サブアカウントで解決できること

① 会社単位で注文履歴を共有できる

同じ会社コードを持つ担当者は、誰がログインしても会社全体の注文履歴を確認できます。さらに、注文一覧には「誰が注文したか(担当者名)」も表示されるため、社内の発注状況が見える化されます。

  • 担当者Aが発注した内容を、担当者Bや上長が確認できる
  • 担当者が退職しても、その人の過去の発注履歴は会社の履歴として残る
  • 「誰が・何を・いつ発注したか」が記録され、社内の発注管理に使える

「会社で買っているのに、履歴が個人アカウントに閉じている」という1社1アカウント運用の最大の欠点が、これで解消されます。

② 担当者の追加・無効化で引き継ぎが滞らない

管理者は、マイページから担当者を追加・無効化できます。これにより、退職・異動時の引き継ぎがスムーズになります。

操作内容解決すること
担当者の追加新しい担当者を招待メールで追加。本人がメール内のURLからパスワードを設定して利用開始新任担当者をすぐに参加させられる。IDの口頭共有が不要
担当者の無効化退職者などのアカウントをログイン停止にする。削除ではなく無効化のため履歴は残る退職者のアクセスを確実に止めつつ、過去の取引履歴は保持される
履歴を壊さない設計:退職者のアカウントは「削除」ではなく「無効化」します。削除すると過去の注文履歴との紐付けが壊れますが、無効化ならログインだけを止めて履歴は保持できます。これにより「退職者の発注記録が消える」という事態を防げます。

③ 権限分離で管理を安全にする

担当者には「管理者」と「一般」の2つの権限があり、できることが分かれています。

権限発注注文履歴の確認問い合わせ担当者管理
管理者
一般×

管理者と一般の違いは、担当者管理(追加・権限変更・無効化)ができるかどうかだけです。一般担当者も発注・履歴確認・問い合わせは普通に行えます。これにより、「担当者の管理権限は限られた人だけが持ち、現場の担当者は発注業務に専念する」という安全な運用ができます。

実務メモ
地味ですが重要なのが「最後の管理者は無効化・降格できない」という制御です。会社に管理者が1人もいなくなると、誰も担当者を管理できなくなってしまいます。これを防ぐため、最後の1人の管理者は一般に変更したり無効化したりできない設計になっています。こうした細かい制御が、法人運用の事故を防ぎます。

法人サブアカウントが向いている会社

以下に当てはまるBtoB事業者は、複数担当者ログインの導入効果が高いです。

  • 取引先で複数の担当者が発注に関わっている
  • 担当者の異動・退職が起こりうる(つまりほぼすべての会社)
  • 上長や経理が発注内容を把握したい
  • 「誰が発注したか」を記録・管理したい
  • 取引先からID共有について相談を受けたことがある
  • 担当者交代のたびにアカウント再発行の手間が発生している

逆に、取引先が個人事業主中心で「1社=1人」が確実な場合は、優先度は下がります。ただし、その場合でも「会社として履歴を残す」という構造自体は将来の拡大に備えて有効です。

よくある質問

一般担当者でも注文や問い合わせはできますか?

できます。管理者と一般担当者の違いは「担当者管理(担当者の追加・権限変更・無効化)ができるかどうか」だけです。一般担当者も、発注・会社の注文履歴の確認・問い合わせはすべて行えます。担当者管理という管理権限だけを、限られた人(管理者)に持たせる仕組みです。

担当者が退職した場合、過去の注文履歴はどうなりますか?

退職者のアカウントを「無効化」すれば、ログインは停止されますが、その担当者が過去に行った注文履歴は会社の履歴として残ります。アカウントを削除するのではなく無効化することで、履歴との紐付けを保ったままアクセスだけを止められます。退職後も、会社の他の担当者がその注文履歴を確認できます。

新しい担当者はどうやって追加しますか?

管理者がマイページの担当者管理から、新しい担当者の名前・メールアドレス・権限を入力して招待します。招待された担当者にはメールが届き、本人がメール内のURLからパスワードを設定すると利用開始できます。IDとパスワードを口頭やメールで共有する必要がなく、本人が自分でパスワードを設定するため安全です。招待メールには有効期限があり、期限が切れた場合は管理者が再送できます。

同じ会社の担当者なら、他の人が発注した注文も見られるのですか?

はい。同じ会社に所属する担当者は、会社の注文履歴を共通で閲覧できます。注文一覧には「誰が注文したか(担当者名)」も表示されるため、社内で発注状況を共有・把握できます。なお、他の会社の注文履歴は表示されません。あくまで自社の取引履歴のみを、会社内の担当者で共有する仕組みです。

BtoB-ECの法人アカウント運用、ご相談ください

「担当者の退職でログインできなくなった」「会社単位で発注を管理したい」——複数担当者ログイン・法人サブアカウントの導入は、EC-CUBEのカスタマイズで実現できます。御社の運用に合わせた設計からご相談いただけます。

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投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

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