EC-CUBEの仕組みと、標準機能・プラグイン・カスタマイズの違いを解説します。構築・運用に必要な費用や体制、SaaS型カートとの比較から、自社のECサイトに合うかを判断するポイントを整理します。
EC-CUBEは、ECサイトに必要な基本機能を備え、プラグインや個別開発によって拡張できるオープンソースのEC構築システムです。すべてをゼロから開発する必要はありません。一方で、自社向けの機能を追加したり、継続して運用したりするための費用と体制は必要です。
EC-CUBEとは?基本機能を土台にECサイトを構築する仕組み
オープンソースとは、ソースコードが公開され、ライセンスの条件に従って利用・改変できる仕組みです。EC-CUBEでは、既存の機能を使いながら、デザインや処理を販売方法に合わせて調整できます。
本記事は主に、サーバーへインストールして利用するダウンロード版を前提に説明します。サーバーを含むサービスや構築パッケージとして提供される場合は、料金と管理範囲を個別に確認してください。
本体は無料でダウンロードできますが、構築・運用のすべてが無料になるわけではありません。公式では無償のGPLライセンスと有償の商用ライセンスが案内されています。利用条件は公式ダウンロードページから確認できます。
EC-CUBEの主な特徴
既存機能に、自社に必要な処理を追加できる
標準の画面や処理を土台として、注文方法・価格計算・管理項目などの変更を検討できます。ただし、要望があれば何でも同じ費用や期間で実現できるわけではありません。既存機能への影響、開発規模、更新時の確認範囲を整理する必要があります。
プラグインと個別開発を組み合わせられる
プラグインは、機能を追加するための拡張部品です。既存のプラグインが要件に合えば、個別開発する範囲を減らせます。対応バージョン、他のプラグインとの組み合わせ、提供元のサポートを確認して選びます。
運用環境も含めて構成を検討できる
ダウンロード版では、動作要件を満たすサーバーへ設置します。アクセス規模、社内の管理方針、外部システムとの接続条件に合わせて構成を検討できる一方、サーバーとEC-CUBEを誰が管理するかを決めておく必要があります。
EC-CUBEでできること|標準機能と追加機能の違い
公式の4系機能一覧では、標準搭載とプラグイン対応を区別しています。代表例は以下のとおりです。標準搭載でも、独自の条件までそのまま満たせるとは限りません。
| 区分 | 代表例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 標準機能 | 商品・在庫管理、会員登録、注文履歴、受注管理、ポイント | 自社の商品や注文の条件で処理できるか |
| プラグイン対応 | クーポン、商品レビューなど | 対応バージョン、利用料金、更新・サポート条件 |
| 追加実装を検討する業務 | 取引先別価格、法人の担当者管理、独自承認、基幹連携 | 既存プラグインで対応する範囲と、個別開発する範囲 |
標準搭載・プラグインの区分はEC-CUBE公式の機能一覧(4系)を参照しています。導入する版と利用条件に合わせて確認してください。
また、支払い方法を画面で選べることと、カード決済などのサービスを利用できることは別です。決済サービスの契約・審査、対応プラグイン、利用料や決済手数料を確認します。
拡張機能の選び方は、EC-CUBEのプラグインと選び方をご覧ください。
EC-CUBEのメリット
販売方法や受注業務に合わせて設計できる
通常の商品販売に加え、取引先ごとの条件や独自の注文手順を扱いたい場合に、機能拡張を検討できます。たとえば「会社ごとに購入できる商品を変える」「注文データを社内システムへ渡す」といった要望は、具体的な条件を整理したうえで実現方法を設計します。
必要な範囲から段階的に拡張できる
初期公開の対象を絞り、運用状況を見ながら機能を追加する方法があります。その際は、後から追加する機能が会員・商品・注文データにどう関わるかを先に確認します。段階導入でも、既存データの移行や改修が不要になるとは限りません。
画面と管理業務を合わせて改善できる
購入者側の画面だけでなく、受注確認やデータ出力などの管理業務も検討対象になります。機能を増やすことより、取引先が注文しやすく、担当者が処理しやすい状態を目指して範囲を決めましょう。
EC-CUBEの注意点と、構築・保守にかかる費用
自由に変更できる範囲が広い分、必要な機能、予算、公開時期を整理する作業が重要です。デザインや追加開発だけでなく、テストやデータ移行、公開後の保守まで見積もりで確認してください。
- 初期費用:要件整理、設計、画面制作、設定・開発、移行、テスト
- 継続費用:サーバー、保守、プラグインや外部サービスの利用
- 取引に伴う費用:決済手数料など、契約するサービスの料金
- 変更時の費用:本体更新、追加機能、外部連携の仕様変更への対応
本体を無料で入手できることから、サイト全体の費用が安いとは判断できません。反対に、独自開発が多いほど有利になるわけでもありません。必要な業務を同じ範囲で比較し、初期費用と継続費用を確認します。
公開後は、本体・プラグイン・サーバーの更新、バックアップ、障害時の対応について担当と範囲を決めます。保守契約でも、通常の監視と大きなバージョン更新が同じ料金に含まれるとは限りません。
具体的な構築の流れ・費用はEC-CUBEでECサイトを構築する方法、保守範囲はEC-CUBEの保守と引き継ぎで解説しています。
EC-CUBEとSaaS型カートの違い
SaaS型カートは、提供会社が運営するサービスを契約して利用する方式です。Shopifyなども候補になりますが、機能・料金・拡張方法はサービスやプランごとに異なります。以下は選定時の確認項目であり、特定サービスの優劣を示す表ではありません。
| 比較項目 | EC-CUBEのダウンロード版 | SaaS型カート |
|---|---|---|
| 機能の実現方法 | 標準設定・プラグイン・個別開発を組み合わせる | 標準設定・アプリ・APIなど、提供される拡張方法を確認する |
| 管理する範囲 | 本体・サーバー・追加機能の管理担当を決める | 提供会社の管理範囲と、自社側の設定・アプリ・連携の管理範囲を確認する |
| 費用の比較 | 構築・サーバー・保守・更新・外部サービスの費用 | 初期設定・利用プラン・追加機能・取引や決済に伴う費用 |
| 公開までの準備 | 構築範囲に応じて設計・開発・検証を行う | 設定・移行・拡張・検証に必要な期間を確認する |
「SaaSはカスタマイズできない」「EC-CUBEなら制約がない」とは分けられません。実際の注文例で必要な処理ができるか、保守や連携も含めた費用が予算に合うかを比較します。
EC-CUBEが自社に合うかを判断するポイント
独自の注文方法や外部連携が必要で、その設計・開発・保守に取り組める体制がある場合は、EC-CUBEを検討する理由になります。一方、候補サービスの標準機能で業務が完結し、追加開発がほとんど不要なら、SaaS型も含めて比較するとよいでしょう。
- 標準機能では足りない処理が具体的に決まっているか
- 追加機能にかける費用と、減らしたい作業や実現したい販売方法が対応しているか
- 公開後の保守・更新を任せる相手と範囲を決められるか
- 既存の会員・商品・注文データを移行できるか
- 公開時期に合わせて、設計と検証の時間を確保できるか
BtoB取引があるだけで、EC-CUBEが適しているとは限りません。取引先別価格、会社単位の管理、承認、掛売など、必要な業務ごとに実現方法を確認します。基礎的な違いはBtoB-ECとBtoC-ECの違いも参考にしてください。
サンクユーの対応範囲や構築実績、相談から公開までの進め方は、EC-CUBE構築・カスタマイズサービスをご覧ください。卸売向けの機能や基幹連携は、卸売・BtoB-ECサイト構築サービスで案内しています。
導入時は、正式配布版とプラグインの対応を確認する
新しいバージョンの発表、開発中の版、正式に配布されている版は区別して確認します。公式のダウンロードページと開発ドキュメントのバージョン案内を確認し、必要なプラグイン・決済サービス・サーバー環境が対応しているかを照合してください。
既存サイトを更新する場合は、バージョン番号だけで方法を決めず、独自機能、データ、連携先への影響を調べます。本番サイトへ適用する前に、検証環境で注文・決済・通知・出荷などの動作を確認します。
構築を具体的に検討する方へ
この基礎記事でEC-CUBEの仕組みを把握したら、必要な機能・費用・依頼先の検討へ進みます。
- EC-CUBE構築の費用・流れ・制作会社選び
- EC-CUBE制作会社を選ぶ際の確認事項
- EC-CUBE構築の全体像を確認するガイド
- EC-CUBEの費用・機能に関するFAQ
- EC-CUBEのセキュリティ診断と確認点
EC-CUBEについてよくある質問
QEC-CUBEは無料で使えますか?
QEC-CUBEの標準機能だけでBtoB-ECを作れますか?
QEC-CUBEとShopifyは、どちらを選べばよいですか?
QEC-CUBEのバージョンはどう選べばよいですか?
QEC-CUBEの保守費用は何で変わりますか?
Q制作会社へ依頼するときは何を確認しますか?
EC-CUBEで実現したい販売方法・受注業務をご相談ください
新規構築、リニューアル、既存サイトのカスタマイズについて、必要な機能と公開後の運用を整理します。実現したいこと、現在困っていることをお聞かせください。
分かる範囲で、取扱商品、必要な機能、連携先、希望する公開時期をお知らせください。
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









