ShopifyでECサイトを運営している企業の中には、「最初は十分だったが、今の業務には少し合わなくなってきた」と感じている方もいるのではないでしょうか。
たとえば、BtoB取引を本格化したい、会員ごとに価格を変えたい、営業経由の取引条件をWebに反映したい、基幹システムともっと自然につなぎたい、といった要望が増えてくると、単に機能が足りないというより、「今の運用がShopifyの枠に収まりにくい」状態になっていきます。
このときに重要なのは、「Shopifyが悪いのか」「EC-CUBEの方が高機能か」といった比較ではありません。本当に見るべきなのは、自社の受注・販売・運用の形が、どちらの仕組みに合っているかです。
この記事では、ShopifyからEC-CUBEへの移行を検討すべき会社とはどんな会社かを、機能ではなく運用のズレという観点から整理して解説します。
- ShopifyからEC-CUBEへ移行する理由は“機能不足”だけではない
- Shopifyが向いている会社と、EC-CUBE移行を考えた方がよい会社は違う
- Shopifyで苦しくなりやすいのは、BtoBと業務連携の領域
- EC-CUBEへ移行した方がよいのは“Shopifyが合わない会社”ではなく“運用が変わった会社”
- 移行前に整理しておくべきことは、データより先に“目的”である
- ShopifyからEC-CUBEへの移行は“再構築”として考えた方がよい
- 特に注意したいのは、BtoB対応を後付けで考えないこと
- 移行前に確認したい実務ポイント
- ShopifyからEC-CUBEへ移行すべきかの結論
- よくある質問
- Shopifyからの移行相談はこちら
ShopifyからEC-CUBEへ移行する理由は“機能不足”だけではない
Shopifyからの移行相談では、「この機能がないから移行したい」という言い方をされることがあります。もちろん、機能面の制約がきっかけになることはあります。
ただ、実際にはそれだけではありません。むしろ本質的な理由は、「今の業務や販売条件を、Shopifyの標準的な考え方に合わせ続けるのが苦しくなってきた」というケースが多いです。
つまり、問題は“できる・できない”の一点ではなく、
- 会員や取引先ごとの条件を自然に扱えるか
- 受注後の業務が無理なく回るか
- 今後の拡張を前提に設計できるか
といった、運用全体との相性にあります。
Shopifyが向いている会社と、EC-CUBE移行を考えた方がよい会社は違う
Shopifyは、立ち上げやすさ、運用のしやすさ、スピード感という点で非常に優れています。標準機能の範囲で十分に運用できる会社にとっては、無理にEC-CUBEへ移行する必要はありません。
一方で、業務や販売条件の独自性が強くなるほど、「仕組みに運用を合わせる」こと自体がコストになってくることがあります。
この段階に入ると、移行の検討は“乗り換え”ではなく、“運用を再設計するかどうか”の判断になります。
Shopifyのまま進めやすいケースと、EC-CUBE移行を検討したいケース
| 観点 | Shopifyのまま進めやすいケース | EC-CUBE移行を検討したいケース |
|---|---|---|
| 必要機能 | 標準機能で大半が足りる | 独自要件が多い |
| BtoB対応 | 不要、または簡易で足りる | 会員別価格や取引条件が複雑 |
| 外部連携 | 限定的でよい | 基幹や在庫連携が重要 |
| 運用方針 | 早くシンプルに運用したい | 業務に合わせて設計したい |
| 拡張性 | そこまで重視しない | 将来的な拡張を前提にしている |
Shopifyで苦しくなりやすいのは、BtoBと業務連携の領域
ShopifyからEC-CUBEへの移行を検討する会社で、特に多いのが次のような悩みです。
- 取引先ごとに価格を出し分けたい
- 営業担当ごとの顧客管理とECをつなげたい
- 基幹システムとの連携前提で受注を整理したい
- FAXやメール受注からの移行を進めたい
- 商品ごとに複雑な販売条件がある
これらはすべて、単なる“便利機能”ではなく、受注や販売の仕組みそのものに関わる要件です。
つまり、ここで詰まり始める会社は、機能追加の話ではなく、運用設計の話に入っていると考えた方が正確です。
EC-CUBEへ移行した方がよいのは“Shopifyが合わない会社”ではなく“運用が変わった会社”
この点はかなり重要です。
よくある誤解は、「Shopifyが向いていない会社だからEC-CUBEへ移る」という見方です。しかし、実際には最初の段階ではShopifyが合っていた会社も少なくありません。
たとえば、立ち上げ初期は商品数も少なく、標準機能で十分だった会社が、事業拡大やBtoB対応の本格化によって、必要な要件が増えていくことがあります。
このとき起きているのは、ツール選びの失敗ではなく、事業フェーズの変化です。
だからこそ、移行判断は「今の会社に、今の仕組みが合っているか」で見る必要があります。
移行前に整理しておくべきことは、データより先に“目的”である
ShopifyからEC-CUBEへの移行を考えるとき、商品データや会員データの移行をすぐ心配する方は多いです。もちろん、それも大事です。
ただ、それ以上に先に整理すべきなのは、「なぜ移行するのか」です。
たとえば、次のような問いに答えられる状態にしておくと、移行の精度がかなり上がります。
- 今のどの運用が苦しいのか
- EC-CUBEへ移ったら何を改善したいのか
- 移行後に実現したい要件は何か
- 公開時点で必要なものと、後から追加でよいものは何か
ここが曖昧なまま移行すると、単なる“システムの引っ越し”になってしまい、本当に変えたかった業務がそのまま残りやすくなります。
ShopifyからEC-CUBEへの移行は“再構築”として考えた方がよい
ShopifyからEC-CUBEへの移行は、データを移して見た目を似せるだけでは終わりません。
実際には、
- 商品構成の見直し
- 会員設計の整理
- 取引条件の反映方法
- 決済と請求の設計
- 受注後の処理フローの確認
- 外部システムとのつなぎ方
などを見直す機会になります。
つまり、移行は“再設計”です。ここを単なる制作案件として扱うと、公開後に「結局、前と同じ不便さが残っている」という状態になりやすいです。
特に注意したいのは、BtoB対応を後付けで考えないこと
ShopifyからEC-CUBE移行を考える会社の中には、「とりあえず今のサイトを移して、その後でBtoB対応を考えたい」というケースもあります。
ただ、BtoB要件は会員設計、価格表示、注文方法、請求条件、営業との関係まで広く影響します。後付けで足していくより、最初から前提に入れて設計した方が無理がありません。
BtoB-ECとBtoC-ECの違いを整理したい方は、比較記事もあわせて確認しておくと判断しやすくなります。
移行前に確認したい実務ポイント
ShopifyからEC-CUBEへ移行する前には、少なくとも次の実務ポイントを確認しておくべきです。
- 商品データをどう移すか
- 会員データや購入履歴をどう扱うか
- URL変更によるSEO影響をどう抑えるか
- 既存顧客への案内をどうするか
- 決済や配送設定をどう再設計するか
- 公開切替のタイミングをどうするか
ただし、本当に大事なのは、これらを単独で考えないことです。すべてが「移行後にどう運用したいか」とつながっています。
ShopifyからEC-CUBEへ移行すべきかの結論
ShopifyからEC-CUBEへ移行すべき会社とは、単に機能不足を感じた会社ではありません。
本当に移行を検討すべきなのは、今の受注・販売・業務フローが、Shopifyの枠に収まりにくくなってきた会社です。
たとえば、BtoB対応、会員別価格、取引条件の反映、基幹連携、受注後処理の最適化など、業務とシステムのズレが大きくなっている場合は、EC-CUBEのように業務に合わせて設計しやすい仕組みを検討する価値があります。
つまり、移行判断の基準は「どちらが有名か」ではなく、「どちらが今の運用に合っているか」です。
よくある質問
ShopifyからEC-CUBEへ移行するのはどんな場合ですか?
独自要件が多い場合、BtoB対応が必要な場合、外部システム連携や業務フローに合わせた設計が必要な場合に検討されやすいです。
Shopifyのままではだめですか?
標準機能の範囲で十分な場合はShopifyのままでも問題ありません。ただし、制約が業務の負担になっている場合は移行を検討する価値があります。
移行前に確認すべきことは何ですか?
商品データ、会員データ、注文データ、デザイン要件、決済・配送設定、運用フロー、SEO影響などを整理しておくことが重要です。
Shopifyからの移行相談はこちら
ShopifyからEC-CUBEへの移行は、単なる乗り換えではなく、業務に合ったEC運用へ再設計する機会でもあります。
今の制約が運用負荷になっている方や、BtoB対応・会員別価格・外部連携まで含めて見直したい方は、サービスページもご覧ください。
投稿者プロフィール
- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
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上岡龍太郎 / ダウンタウン









