EC-CUBEでECサイトを構築したいと考えたとき、多くの企業が最初に気になるのが費用です。ただ、実際に見積を取ってみると、同じ「EC-CUBE構築」でも金額にかなり差が出ることがあります。
このとき、「A社は高い」「B社は安い」と単純に比較してしまうと、判断を誤りやすくなります。なぜなら、EC-CUBE構築の見積差は、制作会社ごとの利益率だけでなく、前提条件や要件の整理の仕方の違いから生まれることが多いからです。
つまり、EC-CUBE構築の費用を正しく見るには、「相場はいくらか」だけでなく、「なぜその金額になるのか」を理解する必要があります。
この記事では、EC-CUBE構築の費用相場を考えるうえで重要な視点、見積の差が生まれる理由、比較時に見るべきポイントを実務目線で整理して解説します。
EC-CUBE構築の費用は、なぜこんなにぶれやすいのか
EC-CUBE構築の費用がぶれやすい最大の理由は、同じ言葉でも中身がまったく同じとは限らないからです。
たとえば「ECサイトを作りたい」という依頼でも、テンプレートを活用して標準機能中心で立ち上げたいのか、業務フローに合わせて個別設計したいのかで、必要な工数は大きく変わります。
さらに、会員別価格、基幹システム連携、BtoB対応、帳票出力、CSV拡張、受注処理の最適化など、どこまでをサイトに持たせるかによっても、費用は大きく変わります。
つまり、EC-CUBE構築の費用がぶれるのは、制作会社が気分で値付けしているからではなく、「何をどこまで作るか」の前提が違うことが大きな原因です。
費用差の本当の原因は“要件の曖昧さ”であることが多い
見積が大きくぶれる案件では、要件が曖昧なまま依頼されていることが少なくありません。
たとえば、「BtoB対応したい」「使いやすい管理画面にしたい」「既存業務に合わせたい」といった相談はよくありますが、これだけでは開発範囲が決まりません。
会員別価格は商品ごとなのかカテゴリごとなのか、管理画面で誰が何を操作するのか、既存業務に合わせるとはどのフローを維持したいのか。こうした点が曖昧だと、見積を出す側は安全を見て広めに取るか、逆に最低限の前提で安く出すかのどちらかになりやすいです。
その結果、金額差が大きく見えるようになります。
つまり、見積差の背景には「制作会社ごとの差」だけでなく、「要件がどこまで言語化されているか」の差もあります。
EC-CUBE構築の費用は何にかかっているのか
EC-CUBE構築の費用を正しく見るには、総額だけでなく内訳の考え方を知っておくことが重要です。
一般的には、次のような要素で費用が構成されます。
- 要件整理・設計
- デザイン制作
- フロント実装
- EC-CUBE初期設定
- 決済・配送設定
- 商品登録やマスタ整備
- プラグイン導入や調整
- 個別開発
- テスト
- 公開対応
- 保守・運用支援
ここで大事なのは、「どこにお金がかかっているか」を見える状態にすることです。EC-CUBE構築では、デザイン費よりも、設計や業務対応、個別開発に費用差が出やすいことも少なくありません。
価格帯ごとの構築イメージ
費用感をつかむには、まず自社がどの規模の構築を想定しているのかを整理することが大切です。
EC-CUBE構築の規模別イメージ
| 構築パターン | 主な内容 | 想定される特徴 |
|---|---|---|
| 小規模構築 | テンプレート活用、基本機能中心、商品点数少なめ | 比較的短期間で立ち上げやすい |
| 中規模構築 | デザイン調整、機能追加、運用に合わせた設定 | 一般的な企業ECサイトで多い |
| 大規模・個別開発型 | 独自機能、BtoB対応、外部連携、業務最適化 | 要件整理と設計の重要度が高い |
この表で重要なのは、「価格が高いほどよい」という意味ではないことです。自社に必要な範囲に対して、どの規模感が妥当かを見る必要があります。
費用を押し上げやすいポイントはどこか
EC-CUBE構築で費用を押し上げやすいのは、単純なページ数よりも、運用や業務に深く関わる部分です。
たとえば、次のような要件は費用差が出やすいポイントです。
- 会員別価格やBtoB対応
- 基幹システムや在庫システムとの連携
- 既存業務に合わせた受注フローの調整
- 管理画面の使い勝手改善
- 独自の帳票やCSV仕様への対応
- 複雑な配送ルールや送料設定
逆に言えば、「何となく便利そうだから入れたい」という機能ほど、後から費用が膨らみやすいです。公開時点で本当に必要なものと、後から追加できるものを分けることが、費用をコントロールするうえで重要です。
見積比較で本当に見るべきポイント
見積比較でやってしまいがちなのが、総額だけを並べて判断することです。ただ、EC-CUBE構築では同じ金額でも含まれている内容がかなり違うことがあります。
見積比較で見るべきポイント
| 項目 | チェック内容 | 備考 |
|---|---|---|
| デザイン範囲 | オリジナルデザインか、テンプレート活用か | 見た目だけでなく工数に影響する |
| 実装範囲 | どの機能まで含まれるか | 標準対応と個別開発を分けて確認したい |
| 商品登録 | 初期登録作業が含まれるか | 意外と工数がかかりやすい |
| テスト | どこまでテストするか | 購入、メール、管理画面、スマホ表示など |
| 公開対応 | 本番反映や初期調整が含まれるか | 公開直前で差が出やすい |
| 保守費用 | 月額保守の有無、範囲 | 初期費用だけで比較しない |
| 追加費用条件 | 何が追加費用になるか | 後から増額しやすいポイントを確認 |
つまり、比較すべきなのは「いくらか」ではなく、「その金額で何をどこまでやってくれるか」です。
安い見積が危ないのではなく、“前提が薄い見積”が危ない
ここは誤解されやすいポイントです。安い見積が必ず危険というわけではありません。
本当に危ないのは、前提条件が曖昧なまま安く見えている見積です。
たとえば、要件整理がほぼ入っていない、個別開発の範囲が明示されていない、テストや公開対応が薄い、公開後の初期不具合対応が見えていない、といった見積は、後から追加費用が出やすくなります。
結果として、最初は安く見えても、最終的な支払い総額や運用負荷は高くなることがあります。
費用を抑えたいなら、削るべきは“品質”ではなく“曖昧さ”
EC-CUBE構築で費用を抑えたいとき、やりがちなのが、テストや設計を減らすことです。しかし、そこを削ると後から問題が出やすくなります。
本当に削るべきなのは、曖昧な要望や、優先順位の低い機能です。
たとえば、公開時点で必要な機能を絞る、将来追加でもよいものを分ける、既存業務のどこを変えたくてどこを維持したいかを明確にする。こうした整理の方が、結果的に無駄な開発を減らしやすくなります。
費用感を知る前に、まず整理したいこと
見積の精度を上げたいなら、先に整理しておくべきことがあります。
- 誰に売るのか
- 何を売るのか
- 受注後の処理はどう回したいのか
- 今の業務で何が非効率なのか
- 必須要件と、できれば欲しい要件は何か
ここが整理されると、見積の比較もしやすくなりますし、制作会社からの提案の質も上がりやすくなります。
EC-CUBE構築全体の進め方を整理したい方は、EC-CUBEでECサイト構築するには?もあわせて読むと全体像がつかみやすくなります。
EC-CUBE構築費用の見方の結論
EC-CUBE構築の費用相場を見るときに大切なのは、「相場はいくらか」だけで終わらないことです。
本当に重要なのは、なぜその金額になるのか、どこまでが標準でどこからが個別対応なのか、公開後まで含めて無理なく運用できるのかを理解することです。
見積差の多くは、価格設定の違いより、前提条件と要件整理の違いから生まれます。だからこそ、安い・高いの前に、構築の前提を揃えて比較することが重要です。
よくある質問
EC-CUBE構築の費用はどれくらいですか?
要件によって大きく変わります。テンプレート活用中心の小規模構築と、独自機能や外部連携を含む構築では必要な工数が大きく異なります。
EC-CUBE構築の見積では何を確認すればよいですか?
デザイン範囲、実装範囲、テスト内容、公開対応、保守費用、追加費用が発生しやすい条件などを確認することが重要です。
安い見積を選べば問題ありませんか?
価格が低いこと自体は悪くありませんが、要件整理やテスト、公開後対応が十分でない場合、結果的に追加費用や運用負荷が増えることがあります。
EC-CUBE構築費用のご相談はこちら
EC-CUBE構築の費用は、単なる価格比較ではなく、自社の要件に対してどの範囲が含まれているかで判断することが重要です。
費用感の整理や見積比較に迷っている方、そもそもどこまでを作るべきか相談したい方は、無料ご相談ください。
投稿者プロフィール
- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
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LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









