会員ランクごとに購入時のポイント倍率を設定し、会員ランクを管理画面で手動登録するEC-CUBEの実装例を紹介します。倍率とランクの設定、購入者・運営担当者への表示を7点の画像で確認し、導入時に決めたい計算ルールと運用を整理します。
会員ランクに応じて、購入時のポイントを変える
会員ごとに特典を変えたい場合、購入時のポイントにランク別の倍率を適用する方法があります。継続して利用するお客様への還元など、会員施策の一つとして検討できます。
今回紹介するのは、各ランクに倍率を設定し、管理者が会員のランクを選ぶカスタマイズです。購入額を集計して自動で昇格・降格させる実装ではありません。担当者の判断で区分を管理したいという要望に合わせ、手動設定に対応した例です。
ポイントを増やすだけで、再購入や売り上げの増加が保証されるわけではありません。特典を使える機会、還元後の利益、設定を見直す作業まで含めて、続けられる条件を決めることが大切です。
価格・割引・限定販売も含む全体設計は、EC-CUBEの会員ランク機能と運用設計で整理しています。本記事では、ポイント倍率の手動管理と、各画面への表示に焦点を当てます。
管理画面でポイント倍率と会員ランクを設定する
以下の画像は、過去のカスタマイズ画面です。メニュー名やデザイン、税額等の表示は当時の環境によるもので、現在のEC-CUBEの標準画面を示すものではありません。新たに導入する場合は、利用中のバージョンと既存機能に合わせて設計します。
ランクごとの倍率を登録する
管理画面の「基本情報管理 > ポイント設定」に、会員ランクごとの倍率設定を追加しています。画面では、通常会員1倍、ゴールド会員2倍、プラチナ会員3倍、ダイヤモンド会員10倍を設定しています。

赤枠の項目は「合計ポイントを何倍にするか」という設定です。上部にある「ポイント付与率(初期値)」や「会員登録時付与ポイント」とは役割が異なります。会員登録時の特典にも同じ倍率が適用されるとは、画像だけでは判断できません。
運用前には、倍率を変更できる担当者と、変更を反映する日時を決めます。未設定のランクをどう扱うか、0倍を認めるか、誤入力による過大な還元をどう防ぐかも確認事項です。これらの入力制限や変更予約が、掲載画面にすべて実装されているという意味ではありません。
会員ごとのランクを手動で選択する
「会員管理 > 会員登録」に会員ランクの選択欄を追加しています。画面ではゴールド会員を選択しており、この会員に設定されたランクをポイント計算に利用します。

手動管理では、どの条件で誰を対象にするかを運営側で共有します。判断基準、見直す時期、変更理由を残す方法が決まっていないと、担当者によって設定がばらつくためです。新規会員や既存会員に最初に割り当てるランクも決めておきます。
カート・メール・マイページ・受注詳細で表示する
倍率を設定したうえで、購入者と運営担当者が特典を確認できるようにしています。各画面には異なる役割があります。現在の会員ランク、今回の注文で加算するポイント、すでに所有しているポイントを区別して伝えることが重要です。
カート:今回加算するポイントと倍率を表示する
カートでは、今回加算するポイントに加え、適用したランクと倍率を表示しています。画像では、商品欄の獲得ポイント78ptに対し、合計欄に「156pt(ゴールド会員2倍)」と表示されています。

商品単位の基本ポイントと、倍率適用後の合計ポイントを同時に表示する場合は、どちらの数値かが分かる表記にします。数量変更やポイント利用で再計算される場合も、注文確認画面との整合を確認します。
メール:加算予定ポイントと適用条件を伝える
メールには「今回加算される予定のポイント」として、ポイント数、ランク、倍率を表示しています。「現在の所持ポイント」と分かれているため、今回の注文で加算する分を確認できます。

加算予定と書かれたポイントが、いつから利用できるかは別の条件です。入金・発送などの業務と合わせて案内し、メールの表記だけで付与タイミングを判断しないようにします。
マイページ:現在のランクを確認できるようにする
マイページでは、会員名の横に「ゴールド会員」と表示しています。この画面の役割は、ログイン中の会員が現在のランクと所持ポイントを確認できるようにすることです。

手動管理である場合、購入額に応じて自動昇格するような案内は避けます。対象条件や変更時期を説明するページを設けるなら、実際の運用と一致させます。
購入履歴:注文ごとの加算予定ポイントを表示する
マイページの購入履歴には、その注文の加算予定ポイントと、ランク・倍率を表示しています。現在の会員ランクを表示するマイページ上部とは、確認する情報が異なります。

後から会員ランクや倍率を変更しても、過去の注文に適用した条件を説明できることが必要です。掲載画像だけでは変更後の動作までは確認できないため、注文時の条件を保存する方法を導入時に確認します。
受注詳細:運営担当者も適用内容を確認する
管理画面の「受注管理 > 受注詳細」でも、加算ポイントと「ゴールド会員2倍」を表示しています。問い合わせを受けた担当者が、注文に適用された内容を確認するための表示です。

受注金額を変更する、メールを再送する、注文を取り消すなどの操作でも、表示と実際のポイント処理が一致するか確認します。表示欄があることと、各操作で正しく調整されることは分けて検証します。
付与率・倍率・換算レートと計算順序をそろえる
ポイントの設定では、似た用語を区別する必要があります。EC-CUBE4の公式マニュアルでも、ポイント付与率とポイント換算レートは別の項目として説明されています。今回の過去の実装例とは区別し、利用中の環境で各項目の役割を確認します。
| 設定 | 意味 | 考え方の例 |
|---|---|---|
| ポイント付与率 | 対象金額に対して基本ポイントを計算する率。 | 対象金額10,000円、付与率1%なら100pt。 |
| ランク別の倍率 | 基準となるポイントを何倍にするか。 | 基本100ptに2倍を適用するなら200pt。 |
| ポイント換算レート | ポイント利用時に何円分として扱うか。 | 1pt=1円なら、200ptは200円分。 |
表は違いを説明するための計算例です。基準の付与率が1%なら2倍は計算上2%相当ですが、基準が3%なら2倍は6%相当です。「2倍」を常に「2%」という意味で案内しないようにします。
端数処理の順序によっても結果は変わります。対象金額199円、付与率1%、倍率2倍という例では、基本ポイント1.99ptを切り捨ててから2倍にすると2pt、倍率を掛けた3.98ptを最後に切り捨てると3ptです。これは確認用の例であり、掲載した実装の端数処理を断定するものではありません。
元の設定画面には「小数点以下切り捨て」の表示がありますが、倍率を掛ける前後のどちらで処理するか、商品ごとか注文全体かまでは画像から判断できません。複数商品・複数数量を含む注文で、期待する結果を先に決めて確認します。
税・送料・手数料、値引き、利用ポイントを計算対象に含めるかも整理します。商品別の付与率やキャンペーンを併用する場合は、どの率を基準にし、倍率を重ねるかを決めます。会員登録時の固定ポイントや手動付与分も、購入ポイントとは別に扱いを確認します。
倍率・ランクの変更時に確認すること
手動で変更できる仕組みでは、注文途中に会員ランクや倍率が変わる場合があります。カート追加時、注文確定時など、どの時点の条件を採用するかを決めます。確定前に再計算する設計なら、購入者が最終的な加算予定を確認できるようにします。
確定済みの注文には、適用したランク・倍率・ポイント数を記録し、現在の設定だけで過去の表示を作り直さない設計が必要です。メールの再送や履歴の閲覧でも、注文当時の条件を説明できるようにします。実際の保存方法は、既存の受注処理と合わせて確認します。
ポイントを計算する時点と、残高へ加算して使えるようにする時点も分けます。決済の再試行や注文状態の更新で二重に加算されないこと、失敗した処理をやり直せることを確認します。
BtoB-ECで利用する場合は、会員個人に付く特典か、会社として管理する特典かを整理します。手動でランクを設定するだけで、同じ法人の担当者間でポイントが共有されるわけではありません。法人へのポイント付与の要否や、利用できる担当者も運用に合わせて決めます。
キャンセル・返品とポイントの調整を決める
注文が取り消された場合は、加算予定の取り消し、すでに付与したポイントの調整、支払いに使ったポイントの返却を分けて考えます。一部返品では残る商品分をどう計算するか、獲得ポイントがすでに使用されていたらどう扱うかも決めておきます。
EC-CUBE公式の受注関連仕様では、注文取消しと返品でポイント処理の説明が異なります。利用中のバージョンや改修内容を確認し、ステータスを変えるだけですべて調整されるとは考えないことが大切です。
有効期限、ポイント履歴、付与タイミングの変更も必要なら、それぞれ追加の機能として整理します。これらはポイント機能のカスタマイズ例で紹介していますが、今回の倍率設定にすべて含まれているわけではありません。会員限定シークレットセールなど、他の特典との併用も個別に確認します。
導入前に試したい設定・計算・表示の組み合わせ
実際の購入条件に近いテスト注文を用意し、設定した倍率と計算結果、表示内容を照合します。次の確認例をもとに、期待するポイント数と表示を事前に書き出しておくと、担当者間の認識をそろえられます。
| 確認するケース | 確認すること |
|---|---|
| 各ランク・新規会員・未設定 | 対象の倍率が適用され、未設定時の扱いが決まっている。 |
| 端数が出る金額・複数商品・複数数量 | 倍率を掛ける順序と端数処理が、決めた計算方法に一致する。 |
| ポイント利用・値引き・商品別付与率 | 計算対象や併用ルールに従い、意図しない二重還元がない。 |
| 会員登録時の特典・手動付与 | 購入時の倍率を適用するかどうかが明確である。 |
| カート追加後のランク・倍率変更 | 採用する時点の条件で計算し、最終的な内容を案内できる。 |
| 注文後の変更・履歴閲覧・メール再送 | 注文当時の条件を説明でき、現在のランク表示と混同しない。 |
| 決済再試行・取消し・全返品・一部返品 | 加算・取り消し・返却に重複や漏れがない。 |
| カート・メール・マイページ・受注詳細 | 加算予定、所持ポイント、現在のランクを区別し、数値が整合する。 |
導入時は、EC-CUBEのバージョン、ポイントや決済に関わるプラグイン、既存の計算処理、変更したい画面とメールを共有します。画面の追加と計算処理の変更を合わせて確認し、必要な対応範囲を決めます。
よくある質問
会員ランク別のポイント倍率は、標準設定だけで利用できますか?
本記事で紹介している倍率設定とランク表示は、過去のカスタマイズ例です。利用中のEC-CUBEのバージョン、プラグイン、既存の改修内容を確認し、必要な機能の追加方法を決めます。
この実装では購入額に応じて自動的にランクが変わりますか?
紹介している実装は、管理者が会員ランクを手動で設定する方式です。購入実績による自動更新を行う場合は、集計対象、期間、昇格・降格の条件、更新時期を別途設計します。
ポイント2倍とは、必ず2%還元という意味ですか?
基準の付与率によって異なります。1%を2倍にするなら計算上2%相当、3%を2倍にするなら6%相当です。実際のポイント数は計算対象や端数処理にも左右され、ポイント利用時の換算レートとも別の設定です。
ランクや倍率はどの画面に表示されますか?
紹介している例では、カート、メール、購入履歴、管理画面の受注詳細に加算ポイントとランク・倍率を表示しています。マイページ上部には現在の会員ランクを表示しており、すべての画面が同じ表示ではありません。
後から倍率を変えると、過去の注文のポイントも変わりますか?
既存の実装によって確認が必要です。注文時に適用したランク・倍率・ポイント数を保持し、現在の設定変更で過去の取引条件が意図せず変わらないように設計します。受注編集やメール再送時の扱いも合わせて確認します。
倍率の設定から、購入者への案内までそろえる
会員ランク別のポイント倍率を運用するには、倍率とランクの管理に加え、計算の基準、購入者への表示、変更・返品後の処理をそろえることが大切です。手動で管理する範囲を決め、注文に適用した条件を後から確認できる仕組みを整えます。
サンクユーでは、既存のポイント運用を確認し、EC-CUBEの構築・カスタマイズをご提案します。法人会員の特典や取引先別の運用については、BtoB-EC・卸売サイト構築もご相談ください。
EC-CUBEの会員ランク・ポイント倍率をご相談ください
倍率の設定、会員ランクの管理、各画面への表示と計算ルールを整理し、現在のEC-CUBEに合う対応方法をご提案します。
投稿者プロフィール
- サンクユーのEC-CUBE担当。15年以上にわたりEC-CUBE開発に従事し、2系・3系・4系すべてに精通。難易度の高いカスタマイズや、他社構築サイトの改修・再設計も多数対応しています。
Javaでの業務システム開発を起点に、PHP・Perl・フロントエンド・CMSまで横断的に対応。基幹システム連携や業務フローを踏まえた設計を得意とし、複雑な要件にも柔軟に対応可能です。
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