EC-CUBEでBtoBの掛売・与信管理をどう設計する?与信限度額・請求書払いの考え方

EC-CUBEでBtoBの掛売・与信管理をどう設計する?与信限度額・請求書払いの考え方EC-CUBE
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この記事でわかること
「取引先ごとに、掛けの上限を決めたい」「請求書払いに対応したい」「与信の枠を超えた注文を止めたい」——BtoB-ECでは、掛売や与信限度額の管理が必要になることがあります。この記事で扱うのは、誰にいくら与信するかという与信判断そのものではなく、企業側ですでに決めている与信限度額や取引条件を、EC上でどう扱うかの設計です。与信枠をいつ使い、いつ戻すのか、残高をどこで管理するのか、といった考え方を解説します。

この記事を読むと分かること

  • 掛売と与信管理の違い
  • 与信枠を「いつ使用し、いつ解放するか」という設計の考え方
  • 与信の残高を、EC側と基幹システムのどちらで管理するか

BtoB-ECのプラットフォーム選び全体については、なぜBtoB-ECにEC-CUBEが向いているのかもあわせてご覧ください。

まず整理:掛売と与信は別のもの

「掛売」と「与信」は、混同されることがありますが、指しているものが異なります。

用語指すもの
掛売(請求書払い)支払方法の一つ。商品を先に納品し、後でまとめて請求する
与信管理取引先ごとの与信限度額や、現在の利用額などを管理すること

掛売に対応するだけなら、支払方法として「請求書払い」を用意することになります。一方、与信管理まで行う場合は、取引先ごとの限度額や、現在いくら使っているか(利用額)を管理する仕組みが必要になります。この記事では、主に後者の、与信限度額や利用額をEC上でどう扱うかを扱います。

この記事で扱うのは、企業側で決めた与信限度額や取引条件を、EC上のシステムでどう管理するかです。誰に、いくらまで掛売を認めるかという与信判断そのものは、企業の経営判断や、与信保証サービスなどの領域であり、この記事の範囲外です。

設計の核:与信枠を「いつ使い、いつ戻すか」

与信管理をEC上で扱うとき、最初に決めておきたいのが、「与信枠を、いつ使ったとみなし、いつ戻すのか」です。ここが、与信管理の設計で核になる部分です。

たとえば、与信枠を消費するタイミングには、次のような選択肢があります。

  • 注文が確定した時点
  • 出荷した時点
  • 請求が確定した時点

どの時点で「与信枠を使った」とみなすかによって、現在の利用額の意味が変わります。さらに、キャンセル、返品、注文の変更、入金があったときに、与信枠をどう戻すのかも、あわせて決めておく必要があります。これらを整理しないまま「現在の利用額」という数字を持たせても、その数字が何を表すのかが曖昧になってしまいます。

つまり、与信管理は、単に「限度額を超えたら止める」という機能ではなく、業務の中で与信枠がどう動くかを設計することが出発点になります。

与信限度額・利用額の管理(設計例)

与信限度額を管理する場合の設計例として、取引先ごとに「与信限度額」と「現在の利用額」を持たせる構成が考えられます。これはEC-CUBEの標準項目ではなく、要件に応じて設計・追加する例です。

  • 取引先ごとの与信限度額
  • 現在の利用額(前述の「いつ使うか」の定義に沿って更新する)
  • 限度額と利用額を比較する仕組み

注文の際に、利用額が限度額を超えていないかを確認し、超える場合の扱い(注文を止める、承認に回す、など)を設計します。データ構造の考え方は、DB構造・Entity設計の解説もご覧ください。

未回収残高の正本を、どこに置くか

与信の利用額は、売掛残高(未回収の金額)と関係します。ここで論点になるのが、売掛残高や入金の情報を、どのシステムで管理するかです。

売掛残高や入金情報を基幹システム(販売管理・会計など)で管理している場合は、EC側だけで与信の利用額を管理するのではなく、どのシステムを正本(マスタ)とするかを整理する必要があります。基幹側を正本にしてECに連携する、EC側で一部を持つ、といった役割分担を、あらかじめ決めておかないと、EC側の利用額と、実際の売掛残高が食い違うことがあります。連携の設計については、基幹・在庫システムを連携する方法で解説しています。

これは、価格の正本をどこに置くか(複雑価格の設計)と、同じ考え方です。

掛売(請求書払い)の実装

掛売に対応する場合、支払方法として「請求書払い」を用意することになります。あわせて、次のような点を整理します。

  • どの取引先に、請求書払いを許可するか
  • 支払サイト(締め日・支払期日)の管理
  • 請求書の発行を、EC側で行うか、基幹側で行うか

請求書払いに対応することと、与信限度額を管理することは、別の要件です。請求書払いだけが必要なのか、与信限度額の管理まで必要なのかを、切り分けて考えることが大切です。

承認フローとの関係

与信超過時の扱いとして、「承認に回す」という設計をする場合は、承認フローと組み合わせることになります。たとえば、与信枠を超える注文は、管理者の承認を経てから確定する、といった設計です。承認フローの設計については、承認フローの設計の記事をご覧ください。

EC-CUBEでの実装の考え方

与信管理や掛売は、EC-CUBEの標準機能にそのまま含まれているものではありません。実装する場合は、次の切り分けで考えます。

  • 標準機能で対応できる範囲(請求書払いの支払方法の追加など)
  • プラグインを検討する範囲
  • 個別開発を検討する範囲(与信限度額の管理、基幹連携など)

まず、自社にどのような掛売・与信の要件があるかを整理したうえで、どの範囲をどう実装するかを決めることが大切です。

SaaSとの違い

SaaS型のECにも、請求書払いや与信に関する機能が用意されていることがあります。標準的な掛売であれば、SaaS型で対応できることもあります。一方、取引先ごとの与信限度額の管理や、基幹システムと連携した売掛残高の管理が必要になると、SaaS型では制約が出ることがあります。掛売・与信の要件によって、適した選択肢が変わります。

掛売・与信設計で注意したいこと

  • 請求書払いと与信管理を、同じものと考えない:請求書払いは支払方法、与信管理は限度額などの管理で、必要な設計が異なります。
  • 基幹システムとの同期を整理する:売掛残高や入金を基幹で管理している場合、どこを正本にするかを決めておかないと、残高が食い違うことがあります。
  • 与信枠の使用・解放のルールを決める:キャンセルや返品、入金のときに利用額をどう戻すかを決めておかないと、利用額が実態と合わなくなることがあります。

BtoBの掛売・与信管理の設計を、ご相談ください。

「請求書払いに対応したい」「取引先ごとに与信の枠を管理したい」「基幹の売掛データと連携したい」といったご相談に対応しています。現在の掛売・与信の運用を伺ったうえで、EC上でどう設計できるかをご提案します。

掛売・与信の設計を相談する

よくある質問

EC-CUBEで、取引先ごとの与信限度額は管理できますか?

管理できます。ただし、EC-CUBEの標準機能にそのまま含まれているわけではなく、取引先ごとの与信限度額や利用額を持つ仕組みを、プラグインや個別開発で設計することになります。なお、ここで扱うのは、企業側で決めた与信限度額をシステム上で管理することであり、誰にいくら与信するかという判断そのものは、企業の経営判断の領域です。

与信枠は、いつ消費される設計にすべきですか?

業務によって変わります。注文が確定した時点、出荷した時点、請求が確定した時点など、どこで「与信枠を使った」とみなすかは、自社の業務にあわせて決めます。あわせて、キャンセルや返品、入金があったときに、与信枠をどう戻すかも決めておく必要があります。ここを整理しておかないと、現在の利用額が、実態と合わなくなることがあります。

請求書払いに対応すれば、与信管理もできていることになりますか?

いいえ、別のものです。請求書払いは、支払方法の一つです。与信管理は、取引先ごとの与信限度額や利用額を管理することです。請求書払いに対応していても、与信限度額を管理していなければ、上限を超えた掛売が発生する可能性があります。請求書払いだけが必要なのか、与信限度額の管理まで必要なのかを、切り分けて考えることが大切です。

与信の残高は、EC側と基幹システムのどちらで管理すべきですか?

要件によって変わります。売掛残高や入金情報を基幹システムで管理している場合は、どのシステムを正本(マスタ)にするかを整理する必要があります。基幹側を正本にしてECに連携する方法、EC側で一部を持つ方法などが考えられます。どこを正本にするかを決めないと、EC側の利用額と、実際の売掛残高が食い違うことがあります。既存の基幹システムでの管理状況を踏まえて、役割分担を整理することをおすすめします。

まとめ

EC-CUBEでBtoBの掛売・与信管理を設計するには、掛売(請求書払い)と与信管理を分けて考えたうえで、与信枠を「いつ使い、いつ戻すか」を業務から決めることが出発点になります。そして、与信の利用額や売掛残高を、EC側と基幹システムのどちらで管理するか(正本をどこに置くか)を整理することが大切です。この記事で扱ったのは、企業側で決めた与信ルールをEC上でどう扱うかであり、与信判断そのものではありません。

私たちサンクユーは、BtoB-ECの掛売・与信まわりの設計や、基幹システムとの連携に対応しています。「請求書払いに対応したい」「与信の枠をシステムで管理したい」といった段階から、ご相談いただけます。まずは、現在の掛売・与信の運用をお聞かせください。

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

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