BtoB-ECは標準機能で足りる?導入後に残る作業と運用コストの確認方法

BtoB-ECは標準機能で足りる?導入後に残る作業と運用コストの確認方法B2B-EC
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この記事でわかること

BtoB-ECを標準機能中心で導入したときに、社内に残る作業を洗い出す方法を解説します。価格の確認・注文変更・データ連携を例に、件数と作業時間から負担を試算し、初期費用や保守費用と合わせて判断する手順をまとめました。

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株式会社サンクユー 代表 堀川治

構築費用を比較する際は、公開後に担当者が何をするかまで確認したいところです。手作業が残ること自体を問題にせず、その作業を継続できるか、改善すると何が変わるかを具体的に整理します。

「標準機能で始めたいが、後から手作業が増えないか」「追加開発の費用をかける価値があるか」。こうした判断では、機能一覧だけでなく、導入後の作業手順を確認する必要があります。

標準機能で必要な業務を処理でき、残る作業も無理なく担当できるなら、個別開発を加えずに運用する方法があります。この記事では、導入後に残る作業を見える形にし、負担と費用を比較する方法に絞って説明します。

「標準機能で足りるか」は、利用するシステムと業務で変わる

標準機能の範囲は、製品・バージョン・契約プランによって異なります。取引先別価格や掛売に対応する機能が含まれる場合もあるため、BtoB特有の要件があるだけで個別開発が必要とは判断できません。

設定やオプションで対応する部分と、人が補う部分を分けて確認しましょう。候補SaaSの機能・連携・契約条件を調べる際は、BtoB-ECのSaaS選定チェックリストをご覧ください。

導入後の業務は、通常注文だけでなく、価格改定・欠品・数量変更・月末処理も含めて確認します。システムで注文を受け付けた後に、どの担当者へ何を渡すかまで書き出すことが出発点です。

価格設定で残る作業を確認する

契約単価、掛率、数量別価格などを利用する場合は、条件の組み合わせと優先順位を実際の注文例で確認します。正しい価格で受注できても、価格改定のたびに大量の更新作業が必要なら、その負担も見積もります。

  • 価格表の作成・登録・更新を誰が行うか
  • 標準設定で表現できない条件を、見積もりや個別対応で扱うか
  • 金額変更が必要な場合、取引先への確認と注文・請求への反映をどう行うか
  • 登録後の確認や、間違いがあった際の修正にどの程度時間がかかるか

毎回の価格修正を減らす方法は、個別開発だけではありません。既存設定の見直し、一括登録の活用、価格ルールの整理も含めて検討します。取引先との合意が必要な条件は、社内の都合だけで変更しないようにします。

注文変更・分納・納期相談の対応を記録する

数量変更、分納、一部キャンセル、納期相談などは、受付から回答、出荷・請求への引き継ぎまでを一つの処理として確認します。電話やメールを使うことよりも、同じ内容を何度も入力・確認していないかに注目してください。

  • 元の注文番号と変更内容を関連づけて記録できるか
  • 営業・受注・出荷の各担当が、同じ確定内容を確認できるか
  • 回答待ちと処理済みを区別できるか
  • 担当者不在時に別の人が引き継げるか

人の判断が必要な納期相談などは、自動化せずに残す選択もあります。その場合も、確認資料を集める時間、社内連絡、回答の記録にかかる時間を分けると、改善できる部分が見つけやすくなります。

CSV連携・転記・照合作業の負担を測る

CSVで基幹システムへ取り込む運用は、それだけで問題とはいえません。必要な締め時間に間に合い、担当者の負担やエラー対応が許容範囲なら、継続できる方法です。

確認したいのは、出力・加工・取込・結果確認にかかる作業です。画面を見ながらの再入力と、決まった形式のCSVを一括取り込みする作業は分けて記録します。

  • 毎回、列の並べ替えやコードの置換が必要か
  • 取り込めなかった注文を見つけ、再処理できるか
  • 同じ注文の重複登録を確認する手順があるか
  • 受注の増加や担当者の不在時にも、締め時間までに処理できるか

API連携へ変更する場合も、監視やエラー処理、仕様変更への対応は検討対象になります。方法の比較は、RPA・CSV連携・API連携の違いと選び方をご覧ください。

件数と作業時間から月間負担を試算する

以下は計算方法を示す架空の例です。サンクユーの実績、料金相場、削減効果を示すものではありません。自社の記録に置き換えて使ってください。

作業月間件数・回数1件・1回の実作業時間月間時間
価格の確認・修正60件5分300分(5時間)
注文変更の記録・連絡30件8分240分(4時間)
CSV加工・取込・結果確認20回15分300分(5時間)
合計——840分(14時間)

計算式は「月間件数 × 1件あたりの実作業時間」です。同じ注文に複数の作業があっても、別々の作業時間なら加算できます。ただし、連絡時間などを複数の項目へ重複して入れないようにします。

仮に社内で用いる時間単価を2,500円と置くと、この例の負担は月35,000円相当です。これは人員配置を考えるための換算額であり、サービス料金や外注費ではありません。また、14時間を減らせても、給与などの支出が同じ額だけ減るとは限りません。

改善後にも月4時間の確認作業が残るという仮定なら、削減候補は月10時間、同じ単価で25,000円相当です。開発しただけでこの効果が出るとは扱わず、試行で改善後の作業時間を確認します。

回答待ちの時間は、担当者が実際に作業する時間と分けます。作業時間が短くても、回答が翌日に持ち越されて出荷が遅れるなら、別の課題として記録してください。

平均時間だけでなく、繁忙日と誤処理の影響も見る

月間合計が少なくても、特定の時間帯や月末に集中すると処理しきれない場合があります。反対に、作業が分散し、担当者と確認方法が決まっていれば、手作業を残せる場合もあります。

  • 繁忙日の件数と、締め時間までに使える担当時間
  • 担当者・代行者の人数と、他業務との兼ね合い
  • 誤った価格・数量・配送先で処理した場合の影響
  • 差し戻しや再入力の件数、原因、対応時間
  • 取引先への回答や出荷が遅れているか

少ない件数でも、権限のない人への情報開示や契約と異なる価格など、影響の大きい問題は対応が必要です。「何項目以上なら開発」「月何件未満なら問題なし」といった一律の基準では判断しません。

構築案の比較では、同じ業務範囲と期間をそろえる

標準機能中心の案と追加開発を含む案を比べる際は、対象取引先、受注件数、対応する処理、利用期間をそろえます。片方だけに手作業や保守費用を含めると、比較条件が変わってしまいます。

  • 初期費用:設定・開発・データ移行・テスト・操作案内
  • 継続費用:利用料・保守・外部連携・更新対応
  • 社内作業:通常処理・例外対応・確認・教育
  • 将来費用:利用拡大、追加開発、移行が必要になる条件

比較期間は自社の利用計画に合わせます。3年や5年などの期間で試算する場合も、受注件数や料金が一定という仮定を明記し、変化した場合も確認してください。費用項目の詳細は、BtoB-EC構築の費用目安と5年間の費用試算で説明しています。

社内作業の時間換算額と、外部へ支払う費用は分けて表示します。削減した時間を営業や顧客対応に使える効果と、残業代・外注費など実際に減る支出も区別してください。根拠のない機会損失額を加えて、特定の案を有利に見せないことが大切です。

負担が大きい作業から、改善方法を比較する

作業負担が見えたら、設定変更、一括処理、業務ルールの整理、外部連携、個別開発を比較します。標準機能の使い方を見直すだけで改善できる部分と、追加開発が必要な部分を分けましょう。

改善案ごとに、減る作業、新たに必要な作業、費用、確認方法を記録します。自動化しても結果確認が必要なら、その時間を残した状態で効果を見積もります。

初期公開で対応する範囲と、公開後に追加する範囲の決め方は、BtoB-ECのカスタマイズ範囲の決め方をご覧ください。導入全体の進め方は、BtoB-EC導入ガイドで整理しています。

サンクユーの対応範囲や構築事例、相談から公開までの進め方は、卸売・BtoB-ECサイト構築サービスをご覧ください。

標準機能と運用負担についてよくある質問

QBtoB-ECは標準機能だけで運用できますか?
利用するシステムで必要な処理ができ、残る作業を継続して担当できるなら可能です。標準機能の範囲は製品や契約条件によって異なるため、価格改定や注文変更も含めた実際の手順で確認します。
Q運用負担はどのように計算しますか?
作業ごとの月間件数と1件あたりの実作業時間を掛け合わせ、合計します。回答待ちの時間は分け、繁忙日の集中や再処理の時間も確認します。時間単価を掛けた金額は負担の換算額であり、そのまま削減できる支出ではありません。
QCSV連携が残る場合、API連携へ変更した方がよいですか?
一律に変更する必要はありません。加工・取込・確認の時間、処理期限、エラー対応を確認します。API連携にする場合も、構築・保守費用と監視・再処理に必要な作業を含めて比較します。
Q初期費用と運用コストはどう比較しますか?
対象業務、受注件数、利用期間をそろえ、設定・開発・移行などの初期費用と利用料・保守費用を整理します。社内作業の時間換算額は支出と分けて示し、改善後も残る作業を含めて比較します。
Q追加開発が必要かは何で判断しますか?
設定や業務ルールの見直しでも対応できない部分について、未対応時の影響、作業負担、開発・保守費用を比較します。件数やチェック数だけで決めず、改善案で何が変わるかを試行や検証で確認します。

まとめ:構築費用と、公開後の作業を合わせて判断する

標準機能中心の導入が合うかは、必要な処理ができるか、残る作業を継続できるかで判断します。価格の更新、注文変更、データの受け渡しを具体的に試し、件数・時間・担当者・誤処理の影響を整理しましょう。

業種ごとの設計の着眼点は、EC-CUBEの業種別構築事例・設計ポイントも参考になります。

BtoB-EC導入後に残る作業を、一緒に整理しませんか

「価格修正や転記を減らしたい」「標準機能と追加開発の費用を比較したい」。現在の受注業務と検討中の構成をもとに、EC-CUBEによる構築・カスタマイズの対応範囲をご提案します。

BtoB-EC構築・業務改善を相談する →

分かる範囲で、月の受注件数、手作業の内容、利用中のシステムをお知らせください。

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

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