制作会社が倒産するとWebサイトはどうなる?サイト消滅を防ぐための5つの自衛策

制作会社が倒産するとWebサイトはどうなる?サイト消滅を防ぐための5つの自衛策WEB制作・集客
この記事は約11分で読めます。

この記事でわかること
ある日突然、自社のWebサイトが見られなくなる——制作会社の倒産によって、現実に起きていることです。改修が止まるだけでなく、ドメインが失効してサイトごと消滅し、そのドメインが第三者の手に渡るケースさえあります。本記事では、制作会社の倒産で何が起きるのか、なぜサイトが消えるのか、そして発注側が自社サイトを守るためにできる自衛策を整理します。

堀川 治(株式会社サンクユー 代表取締役)
制作会社の倒産は、発注側にとって「自分には関係ない」と思われがちです。しかし、ドメインやサーバーを制作会社に任せきりにしている企業は、制作会社の経営状況に自社サイトの生死を握られている状態です。この記事は自社の宣伝ではなく、発注側が知っておくべきリスク管理として書いています。

制作会社の倒産は他人事ではない

Web制作業界は今、淘汰が進んでいます。背景には、SaaS型サービスの普及による価格競争、人材不足、小規模事業者の事業継続の難しさなど、複数の要因があります。

制作会社がなくなるパターンは、倒産だけではありません。

  • 倒産・廃業:経営が立ち行かなくなり事業を停止する
  • 買収:他社に買収され、サポート体制や担当者が変わる
  • 買収後の事業消滅:買収されたものの統合がうまくいかず、結局その事業自体がなくなる

いずれのケースでも、発注側にとっては「これまで任せていた相手が、ある日いなくなる」という結果は同じです。そして、サイトの重要な部分(ドメイン・サーバー・ソースコード・保守)を制作会社に依存していた場合、その影響は想像以上に深刻になります。

倒産で実際に何が起きるか

制作会社が倒産すると、発注側には段階的に問題が降りかかります。

段階起きること影響度
① 改修が止まるサイトの更新・修正・機能追加ができなくなる。連絡しても返答がない
② 保守が止まるセキュリティ更新・障害対応がされず、サイトが脆弱な状態で放置される
③ サーバーが止まる制作会社名義のサーバー契約が解約され、サイトが表示されなくなる
④ ドメインが失効する制作会社が管理していたドメインの更新料が支払われず、ドメインが失効。サイトが完全に消滅する致命的
実例:ある動物病院では、Webサイトの制作会社が知らないうちに破産しており、制作会社が管理していたドメインの更新料が未払いになった結果、ある日を境にサイトが閲覧できなくなりました。さらに、失効したドメインはオークションにかけられ、約9.8万円で第三者に落札されています。病院側は連絡もつかず、サイトを一から作り直すことになりました。(出典:note掲載の当事者の記録

このようなケースは特殊な話ではありません。ドメインやサーバーの契約主体を制作会社側が握っている場合、業種を問わず起こり得ます。

最も怖いのは④です。改修や保守が止まるだけなら、別の会社に引き継げば回復できます。しかしドメインが失効して第三者に渡ると、これまで積み上げてきたドメインの信頼・検索評価・取引先に伝えてきたURLのすべてが失われます。回復は極めて困難です。

なぜサイトごと消えてしまうのか

「制作会社が倒産しただけで、なぜ自社のサイトが消えるのか」と思われるかもしれません。原因は、サイトを構成する要素の管理主体にあります。

サイトの構成要素制作会社が握っている場合のリスク
ドメイン制作会社名義で取得・管理されていると、倒産で更新が止まり失効する。失効したドメインは取り戻せないことが多い
サーバー制作会社のサーバー契約に相乗りしていると、契約解約でサイトが停止する
ソースコード納品されておらず制作会社しか持っていないと、別会社が引き継げない。一から作り直しになる
データ(受注・顧客情報)制作会社のサーバー上にしかなく、バックアップを自社で持っていないと、データごと失われる
保守・運用ノウハウ制作会社に属人化していると、引き継ぎ先がゼロから把握し直す必要がある

つまり、これらを制作会社に任せきりにしている状態は、自社サイトの生殺与奪を制作会社の経営状況に委ねているのと同じです。制作会社が健全なうちは何の問題もありませんが、倒産という事態が起きた瞬間、依存していた部分がすべてリスクに変わります。

発注側ができる5つの自衛策

これらのリスクは、発注側が事前に手を打つことで大幅に軽減できます。制作会社が倒産しても、最低限「別の会社に引き継いで事業を継続できる」状態を確保しておくことが目的です。

  1. 1

    ドメインの名義を自社にする

    最優先の対策です。ドメインは必ず自社名義で取得・管理してください。すでに制作会社名義になっている場合は、自社への移管を依頼します。ドメインさえ自社が握っていれば、制作会社が倒産しても別のサーバー・別の制作会社でサイトを復活させられます。「ドメインの管理画面に自社でログインできるか」を今すぐ確認してください。

  2. 2

    サーバー契約の主体を確認する

    サーバーが制作会社の契約に相乗りしているか、自社契約かを確認します。自社契約であれば、制作会社が倒産してもサーバーは止まりません。相乗りの場合は、自社契約への切り替えを検討してください。少なくとも「どのサーバーのどの契約で動いているか」を把握しておくことが必要です。

  3. 3

    ソースコード・データの所有権を確保する

    制作物のソースコードが自社に納品されているか、契約上の所有権が自社にあるかを確認します。納品されていれば、別の会社が引き継げます。契約書に「ソースコードの所有権・引き継ぎ」に関する条項があるかも確認してください。受注データ・顧客データのエクスポート手段も把握しておきます。

  4. 4

    定期バックアップの仕組みを持つ

    サイトのデータ・データベースのバックアップを、制作会社任せにせず自社でも保持する仕組みを作ります。制作会社のサーバー上にしかデータがない状態は危険です。定期的にバックアップを取得し、自社の管理下にも保管しておけば、最悪の事態でもデータを失わずに済みます。

  5. 5

    引き継ぎ可能な技術で作る

    特殊すぎる独自システムや、その制作会社しか扱えない技術で作られていると、引き継ぎ先が見つかりません。EC-CUBEのようなオープンソースや、広く普及した技術で構築されていれば、他の制作会社が引き継げます。「この技術を扱える会社は他にもあるか」を構築時に確認しておくことが、将来の保険になります。

優先順位:5つすべてを一度にやる必要はありません。まず①ドメインの名義確認から始めてください。ドメインさえ自社で握っていれば、サイトが完全消滅する最悪の事態は防げます。次に④バックアップ、③ソース所有権の順で固めていくのが現実的です。

自社サイトの管理状況を確認したい方へ

ドメイン・サーバー・ソースコードの管理主体がわからない場合でもご相談いただけます。まずは現状整理から対応可能です。

無料で相談する

制作会社の経営不安を疑う前に確認したいこと

「この制作会社、大丈夫だろうか」と不安を感じたとき、外部から経営状況を正確に知ることはできません。ただし、日常のやり取りの中に注意信号が現れることはあります。

注意信号背景にある可能性
返答が極端に遅くなった人員の流出・対応リソースの不足
担当者の変更が頻繁に起きる離職の増加・組織の不安定化
契約・請求の説明が曖昧になった資金繰りの悪化・管理体制の乱れ
ドメイン・サーバー情報の開示に消極的主導権を渡したくない意図、または管理実態の不透明さ
バックアップ・納品物について明確に答えない納品物が整備されていない・引き継ぎを想定していない

これらの信号が見えたからといって、必ず倒産するわけではありません。ただし、特に「ドメイン・サーバー情報の開示に消極的」「納品物について明確に答えない」という反応は、平時から注意すべきサインです。こうした兆候が見えたときこそ、後述の自衛策(ドメインの名義確認・バックアップの取得)を急いで進めるべきタイミングです。

制作会社選びで確認すべきこと

これから制作会社を選ぶ場合、あるいは現在の制作会社を見直す場合、「倒産リスクにどう備えるか」という観点で以下を確認してください。

確認観点確認すべきこと
主導権の所在ドメイン・サーバー・ソースコードを自社が握れる契約か。「すべて当社にお任せください」が、裏を返せば「すべて当社に依存させる」になっていないか
引き継ぎやすさ採用している技術が、他社でも引き継げる一般的なものか。特殊な独自システムに囲い込まれていないか
納品物の明確さ契約時にソースコード・データの納品と所有権が明記されているか
事業の継続性極端な低価格で無理をしていないか。長期的に保守を続けられる体制か

「倒産しない会社を選ぶ」ことは確実にはできません。どんな会社にも倒産の可能性はあります。だからこそ重要なのは、「万一その会社がなくなっても、自社が困らない状態」を契約と設計で確保しておくことです。発注側が主導権を持てる関係を作ることが、最大のリスク対策になります。

当社が「囲い込み型」の運用を勧めない理由

最後に、参考として当社(サンクユー)の考え方を簡潔にお伝えします。

当社は、クライアントに不利益が及ぶようなサービス設計を避けることを基本方針にしています。ドメインやサーバーの主導権はクライアント側に残す、引き継ぎ可能な技術(EC-CUBEなどのオープンソース)で構築する、納品物を明確にする——こうした「囲い込まない設計」を前提にしています。

仮に当社に万一のことがあっても、クライアントが別の会社に引き継いで事業を継続できる状態を保つこと。これは制作会社としての責任だと考えています。この記事で挙げた自衛策は、本来どの制作会社も発注側に伝えるべき内容です。

よくある質問

自社のドメインが誰の名義になっているか、どう確認すればいいですか?

ドメインの登録情報は「Whois検索」で確認できます。ただし正確な管理状況を知るには、ドメイン管理サービス(お名前.com、ムームードメインなど)の管理画面に自社でログインできるかを確認するのが確実です。ログイン情報を制作会社しか持っていない場合は、名義と管理権限が制作会社側にある可能性が高いため、まず制作会社に「ドメインの名義と管理権限を教えてほしい」と確認することをお勧めします。

すでに制作会社にすべて任せきりです。今からでも対策できますか?

できます。まず①ドメインの名義と管理権限の確認、②サーバー契約の主体の確認、③ソースコードとデータの所在の確認、から始めてください。制作会社が健全なうちに、ドメインの自社移管・バックアップの取得・納品物の受け取りを進めておけば、リスクは大幅に下がります。制作会社が協力的でない、あるいは確認しても明確な回答が得られない場合は、その対応自体が一つのリスクサインです。

ドメインが失効してしまった場合、取り戻せますか?

失効後一定期間(猶予期間)内であれば復旧できる場合がありますが、その期間を過ぎると第三者が取得できる状態になります。人気のあるドメインはオークションで高値が付き、取り戻すことが難しくなります。本記事で紹介した実例でも、失効したドメインは第三者に落札されています。失効してからでは手遅れになるケースが多いため、失効させない事前対策(自社名義での管理)が決定的に重要です。

「うちのサイトは大丈夫か」——リスクの確認から相談できます

ドメイン・サーバー・ソースコードの管理状況の確認、倒産リスクに備えた体制の見直し——現状のリスク診断からご相談いただけます。現在の制作会社との契約を見直したい、というセカンドオピニオンのご相談も承っています。

無料相談・サイトのリスク診断を依頼する

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

お気軽にご相談ください

お気軽にご相談ください

タイトルとURLをコピーしました