この記事でわかること
EC-CUBEでの構築を検討し始めたものの、「何から準備すればいいのか」「後から後悔しないか」と不安な方は多いはずです。EC-CUBEは自由に設計できるぶん、要件定義や見積に入る前の準備が、その後の進めやすさにも影響します。この記事では、EC-CUBEを導入する方向で検討している企業が、着手前に整理しておきたい10項目を、チェックリストとして整理します。BtoB・BtoCを問わず使える内容です。
この記事を読むと分かること
- 要件定義・見積に入る前に整理したい10項目
- BtoB特有の要件で、追加で確認したいこと
- 導入前に見落としやすいポイント
なぜ、準備段階の整理が大切なのか
EC-CUBEは、標準機能に加えてカスタマイズで自由に設計できるプラットフォームです。そのぶん、「何を作りたいのか」「今、何に困っているのか」が整理されていないまま進めると、要件が固まらず、見積もぶれ、公開後に「思っていたものと違う」というズレが起きやすくなります。
逆に言えば、着手前に自社の状況を整理しておくことで、制作会社との認識合わせがしやすくなり、要件定義や見積の前提も整理しやすくなります。以下のチェックリストは、その準備のためのものです。
① 導入目的は明確か
まず、「なぜEC-CUBEを導入するのか」を言葉にできるかを確認します。目的が曖昧なまま進めると、完成後に「何のために作ったのか」がぶれてしまいます。
- 売上を拡大したいのか
- 受注業務を効率化したいのか
- 既存サイトの課題を解決したいのか
- コストを最適化したいのか
複数あっても構いませんが、優先順位をつけておくと、設計時の判断がしやすくなります。
② 現状の課題を把握しているか
今の業務やサイトの、どこに課題があるかを把握できているかです。できれば、感覚ではなく、数字で把握しておくと、導入後の効果も測りやすくなります。
- 月間の受注件数、対応にかかっている時間
- 手作業やミスが発生している箇所
- 現状のサイトで、うまくいっていない点
「何を改善したいか」がはっきりしていると、要件に落とし込みやすくなります。
③ 自社固有の取引・販売ルールは整理されているか
自社ならではの取引ルールや販売方法があるかを整理します。標準機能で足りるのか、カスタマイズが必要なのかは、ここで見えてきます。
特に、次のようなBtoB固有の要件がある場合は、追加で確認しておきます(該当する場合)。
- 顧客別価格、数量別単価、掛率
- 掛売(後払い)への対応
- 承認フロー
- 基幹システムとの連携
こうした要件は、EC-CUBE標準機能だけでは対応しにくい場合があり、プラグイン・外部サービス・個別開発などを含めて設計する必要があります。BtoCの場合も、定期・予約販売や、独自の販促ルールがあれば、同様に整理しておきます。
④ 将来の拡張を想定しているか
数年先の事業の姿を、ある程度想定できているかです。拡張を前提に設計しておくと、後からの改修を抑えやすくなります。
- 数年後の売上や事業の目標
- BtoCからBtoBへの展開(またはその逆)
- 多店舗展開、海外展開などの可能性
すべてを最初から作り込む必要はありませんが、「将来こうしたい」を共有しておくと、将来の拡張を考慮した設計を検討しやすくなります。
⑤ インフラ・セキュリティの方針を考えているか
EC-CUBEはオープンソースのため、サーバー構成やセキュリティ対策を、自社の状況に合わせて設計します。土台となる部分なので、方針を早めに考えておきたい項目です。
- サーバー構成(アクセス規模に合っているか)
- セキュリティ対策(WAF、アクセス制限など)
- バックアップの体制
具体的な構成は制作会社と相談して決めるものですが、「どのくらいの規模を想定するか」は、自社で共有しておくとスムーズです。
⑥ 制作会社に求めることを整理したか
どんな制作会社に依頼したいかを整理しておくと、会社選びがぶれません。EC-CUBEの実績、要件定義から相談できるか、保守体制などが確認のポイントです。
制作会社の具体的な選び方・比較の観点は、EC-CUBE制作会社の選び方で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
⑦ 公開後の運用・保守を想定しているか
EC-CUBEは「構築して終わり」ではありません。公開後の運用・保守を、誰がどう担うかを考えておきます。
- EC-CUBE本体・プラグインのバージョン管理
- セキュリティ更新
- 障害が起きたときの対応窓口
- 軽微な改修の依頼先
自社で対応するのか、制作会社や保守会社に委託するのか。運用・保守の体制は、構築前に想定しておくと、公開後の役割分担を整理しやすくなります。
⑧ SaaSとの比較は済んでいるか
EC-CUBEを検討している段階でも、ShopifyなどのSaaSと比較しておくことをおすすめします。EC-CUBEが常に最適とは限らず、要件によってはSaaSの方が合うこともあるからです。
- 初期費用・月額費用
- 取引量に応じたコスト
- 設計・カスタマイズの自由度
- 運用・保守の手間
費用は、初期費用だけでなく、数年単位の総コストで比較すると判断しやすくなります。比較の詳しい観点は、向いている企業・向かない企業の記事も参考になります。
⑨ 業務の見直しを含むと理解しているか
EC-CUBEの導入は、単なるシステムの入れ替えにとどまらないことがあります。受注や社内のフローまで含めて見直す場合、業務側の調整も必要になります。「システムを入れれば解決する」ではなく、「業務の見直しを伴う」と理解しておくと、進めやすくなります。
⑩ 社内の体制・意思決定は整っているか
ECサイトは、事業の基盤になる部分です。担当者だけで進めるのではなく、社内で必要な合意形成ができる体制があるかを確認します。誰が意思決定するのか、関係部署との調整はどう進めるのかが、あらかじめ整理されていると、プロジェクトが滞りにくくなります。
導入前に見落としやすいポイント
これまでの経験から、準備段階で見落とされやすい点を挙げます。
- 導入目的が、社内で共有されていない
- 現状の課題が、感覚的なままになっている
- 公開後の運用・保守を、構築後に考え始める
- SaaSとの比較をせず、EC-CUBEありきで進める
- 業務の見直しを想定していなかった
これらは、着手前に整理しておくことで避けやすくなります。
準備ができている企業の特徴
逆に、スムーズに進みやすいのは、次のような準備ができている企業です。
- 導入の目的と優先順位が、社内で共有されている
- 現状の課題を、数字も含めて把握している
- 自社固有の取引・販売ルールを整理できている
- 運用・保守まで含めて考えている
- SaaSとの比較を済ませたうえで、EC-CUBEを選んでいる
すべてが完璧である必要はありません。ただ、これらを整理してから相談すると、要件定義や見積の前提を共有しやすくなり、認識のズレを減らしやすくなります。
導入準備の段階から、ご相談いただけます。
「何から整理すればいいか分からない」「このチェックリストで不安な項目がある」といった段階からご相談いただけます。業務内容を伺ったうえで、要件の整理からお手伝いします。まだEC-CUBEに決めていない段階でも、SaaSとの比較を含めてご提案します。
よくある質問
EC-CUBEを導入する前に、まず何から始めればよいですか?
まず「なぜ導入するのか(目的)」と「今、何に困っているか(現状の課題)」を整理することです。この2つが明確だと、要件定義や制作会社への相談がスムーズになります。目的が曖昧なまま進めると、完成後にズレが生じやすくなります。
要件が固まっていなくても、制作会社に相談できますか?
相談できます。要件が固まっていない段階でも相談できる制作会社はあります。業務内容を伝え、要件整理から相談できる会社であれば、必要な機能や優先順位を整理しやすくなります。このチェックリストで整理した内容を持っていくと、相談がより具体的になります。
EC-CUBEに決める前に、SaaSと比較すべきですか?
比較することをおすすめします。EC-CUBEが常に最適とは限らず、要件によってはShopifyなどのSaaSの方が合うこともあります。初期費用だけでなく、数年単位の総コストや、設計の自由度、運用の手間まで含めて比較すると、判断しやすくなります。
BtoCのECでも、このチェックリストは使えますか?
使えます。導入目的、現状の課題、将来拡張、運用・保守、社内体制などは、BtoB・BtoCを問わず共通します。BtoB固有の要件(顧客別価格、掛売、承認フロー、基幹連携など)は、該当する場合の追加確認事項としてお使いください。
まとめ
EC-CUBEの導入は、着手前の準備で進めやすさが変わります。導入目的、現状の課題、自社固有の取引ルール、将来拡張、インフラ、運用・保守、SaaSとの比較、社内体制——これらを要件定義や見積に入る前に整理しておくと、制作会社との認識合わせがスムーズになり、公開後のズレも起きにくくなります。
すべてを完璧に整える必要はありません。整理しきれない部分は、相談しながら固めていけます。私たちサンクユーは、要件がまだ固まっていない準備段階からのご相談にも対応しています。導入を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
EC-CUBEの導入を検討するなら
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









