この記事でわかること
「EC-CUBEでの構築費用は、いくらかかるのか」——これは、導入を検討する際に最も気になる点のひとつです。ただ、EC-CUBEの費用に一律の定価はありません。同じEC-CUBEでも、要件や構成によって、費用は大きく変わるからです。この記事では、EC-CUBE構築費用の内訳を「基本構築で発生する費用」「要件によって追加される費用」「公開後にかかる費用」に分けて整理し、構成別の費用の目安と、費用が変わる理由を解説します。
この記事を読むと分かること
- EC-CUBE構築費用の内訳(基本構築・追加・公開後の3分類)
- 構成別の費用の目安
- 見積に差が出る理由と、比較の考え方
費用は「規模」だけでなく「要件・構成」で変わる
よくある誤解が、「小規模だから安い」「中小企業だから安い」という考え方です。もちろん規模も影響しますが、それだけでは決まりません。次のような要素によって、費用は大きく変わります。
- BtoBか、BtoCか
- 価格体系や取引ルールの複雑さ
- 基幹システムとの連携の有無
- 将来の拡張をどこまで想定するか
つまり、「何を作るか(要件)」と「どう作るか(構成)」で費用が変わります。同じEC-CUBEでも、標準機能中心のシンプルな構成と、独自要件を含む複雑な構成では、費用の桁が変わることもあります。EC-CUBEには一律の定価がないため、「一式いくら」ではなく、構成ごとに考えることが大切です。
1. 基本構築で発生する主な費用
EC-CUBEでサイトを構築する場合、基本的に関わってくる主な工程です。これらは、制作会社によっては個別に見積もる場合もあれば、「構築費」としてまとめる場合もあります。
| 項目 | 内容と、費用が変わる主な要因 |
|---|---|
| 要件整理・設計 | 業務ヒアリング、課題整理、画面設計、データ設計。要件定義の深さによって変わる。最も重要な工程 |
| デザイン | トップ・商品一覧・商品詳細・カートなどのデザイン。ページ数や、テンプレート利用かフルデザインかで変わる |
| フロント実装 | デザインをEC-CUBE上で動作させる工程。ページ数やデザインの複雑さで変わる |
| テスト | 動作確認、負荷テスト、セキュリティ確認など。テストの範囲によって変わる |
特に要件整理・設計は、この記事で最もお伝えしたい部分です。要件整理が不十分な場合、後から仕様変更や追加対応が発生することがあります。安く見える見積で、この工程が薄い場合は、注意が必要です。
2. 要件によって追加される費用
自社の要件によって、発生したりしなかったりする費用です。ここが、案件ごとに費用が大きく変わる主な要因になります。
| 項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 個別カスタマイズ | 顧客別価格、数量別単価、承認フロー、掛売管理、特殊な送料計算など(BtoB)/定期・予約販売、独自の販促など(BtoC) | 数十万円〜。複雑な業務ロジックでは数百万円以上になることも |
| 基幹システム連携 | 在庫・受注・請求データの連携。API、CSV、バッチなど、連携方式に応じた設計が必要 | 連携方式・対象データ・頻度により、数十万円〜数百万円以上 |
| インフラ設計 | サーバー・クラウド構成、WAF設定、バックアップ設計など | 構成の規模による |
| データ移行 | 既存サイトからの商品・会員・受注データの移行 | 移行元の構造・データ量による |
これらは、案件の要件や既存環境によって、別途費用として発生しない場合もあります。たとえば、標準機能中心のシンプルなBtoCサイトで、基幹連携もデータ移行もなければ、この区分の費用はほとんどかからないこともあります。逆に、独自要件の多いBtoB-ECでは、この区分が費用の大半を占めることもあります。
3. 公開後にかかる費用
構築時だけでなく、公開後にも継続して発生する費用があります。
- 保守・運用:EC-CUBE本体・プラグインのバージョン管理、セキュリティ更新、軽微な改修など。月額数万円〜(対応範囲、改修が含まれるかなどで変動)
- サーバー費用:アクセス規模や構成による
- ドメイン・SSL、決済サービスの手数料など
オープンソース版のEC-CUBE本体は、GPLライセンスを利用する場合、初期費用・月額利用料はかかりません。ただし、運用・保守を継続する体制は必要です。公開後に発生する費用も、初期段階で見込んでおきましょう。
構成別の費用の目安
ここまでを踏まえた、構成別の総額の目安です。これは一般的な定価ではなく、あくまで「構成例としての目安」です。実際の費用は、要件・依頼先・既存環境などによって変動します。
| 構成の例 | 総額の目安 |
|---|---|
| 標準機能中心の、比較的シンプルなEC | 100万円〜250万円程度 |
| 一部カスタマイズを含むEC | 250万円〜500万円程度 |
| 独自要件・基幹連携を含むEC | 400万円〜1,000万円以上 |
総額に幅があるのは、「2. 要件によって追加される費用」が、案件によって大きく変わるためです。標準機能中心のシンプルな構成は「基本構築」が中心になり、BtoBで基幹連携や独自要件が加わると、「追加される費用」が大きくなります。自社がどの構成に近いかで、目安を捉えてください。
なぜ、見積に差が出るのか
複数社から見積を取ると、金額に差が出ます。その主な理由は、次のような点です。
- 要件整理・設計の深さが違う
- 将来の拡張を、どこまで含めているか
- 保守の範囲が違う
- テストやデータ移行が、含まれているか
見積金額が低い場合は、含まれている作業範囲や前提条件が他社と異ならないか確認しましょう。金額だけで比較すると、後から追加作業が必要になる場合があります。見積を比較するときは、金額だけでなく「含まれている範囲」をそろえて見ることが大切です。見積の具体的な比較方法は、EC-CUBE制作会社の選び方で詳しく整理しています。
初期費用だけでなく、総コストで比較する
費用を考えるときは、初期費用だけでなく、数年単位の総コストで見ることをおすすめします。
ShopifyなどのSaaS型は、月額利用料やアプリ費用がかかります。決済に関する費用は、利用するプランや決済サービスの構成によって異なります。EC-CUBEは、初期に設計・構築の投資がかかる一方、オープンソース版の本体利用料に売上連動型のプラットフォーム手数料は設定されていません。どちらが有利かは、売上規模やコスト構造によって変わります。
重要なのは、「初期費用が安いか」ではなく、数年単位の総コストと、自社の要件に合うかで判断することです。この考え方は、EC-CUBEに向いている企業・向かない企業でも整理しています。
費用で見落としやすいポイント
費用を検討するときに、見落とされやすい点を挙げます。
- 初期費用だけで判断し、公開後の保守費を見込んでいない
- 要件を整理しないまま見積を取り、後から追加が増える
- 将来の拡張を想定せず、後から再構築になる
- 見積の「含まれる範囲」を確認せず、金額だけで比較する
こうした点は、要件をある程度整理したうえで見積を比較すると、確認しやすくなります。何を整理しておくとよいかは、EC-CUBE導入前のチェックリスト10項目にまとめています。
自社の場合の概算費用を、相談しませんか。
「自社の要件だと、どのくらいかかるのか」を知りたい方は、業務内容や要件を伺ったうえで、概算の費用感をご提案します。まだ要件が固まっていない段階でも、整理からお手伝いします。EC-CUBEが最適かどうかも含めて、率直にお伝えします。
よくある質問
EC-CUBEの構築費用は、最低いくらから可能ですか?
構成によりますが、標準機能中心でカスタマイズや基幹連携のないシンプルなBtoCサイトであれば、100万円台からのケースもあります。ただし、要件整理・設計、デザイン、フロント実装、テストといった基本構築の工程は含まれます。見積金額が低い場合は、各工程がどこまで含まれているか、確認することをおすすめします。
なぜ、会社によって見積金額が違うのですか?
主に、要件整理・設計の深さ、将来拡張の織り込み、保守やテストの範囲が違うためです。同じ「200万円」でも、含まれている作業と責任範囲が異なることがあります。金額だけでなく、何が含まれているかをそろえて比較することが大切です。
EC-CUBEとShopifyでは、どちらが安いですか?
一概には言えません。Shopifyは月額やアプリ費用がかかり、決済に関する費用は利用するプランや決済サービスの構成によって異なります。EC-CUBEは初期投資型ですが、オープンソース版の本体に売上連動の手数料はありません。数年単位の総コストで比較し、自社の要件に合う方を選ぶのが現実的です。
保守・運用の費用は、どのくらい見ておけばよいですか?
保守の範囲によりますが、月額数万円からが一つの目安です。対応範囲や、改修が含まれるかなどで変わります。これに加えて、サーバー費用、ドメイン・SSL、決済手数料などが別途かかります。オープンソース版のEC-CUBE本体はGPLライセンスを利用する場合の利用料はかかりませんが、バージョン管理やセキュリティ更新などの運用は必要になるため、公開後に発生する費用も初期段階で見込んでおきましょう。
まとめ
EC-CUBEの構築費用は、要件整理・デザイン・実装・テストといった基本構築の費用と、カスタマイズ・基幹連携・インフラ・データ移行といった要件によって追加される費用、そして公開後の保守・運用費で構成されます。総額に幅があるのは、要件によって追加される費用が、案件ごとに大きく変わるためです。
重要なのは、「安いかどうか」だけでなく、自社の要件に合った設計になっているか、将来を見据えているかです。見積金額だけで判断せず、必要な工程や作業範囲が含まれているかを確認することが大切です。含まれていない作業があれば、後から追加対応が必要になる場合があります。私たちサンクユーは、業務内容を伺ったうえで、要件に合わせた概算費用をご提案しています。費用感を知りたい方は、お気軽にご相談ください。
EC-CUBEの導入を検討するなら
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









