アパレル業界は横ばい成長の厳しい状況だが、ECサイトに活路がある

アパレル業界は横ばい成長の厳しい状況だが、ECサイトに活路がある ECサイト構築・運営
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アパレル業界は横ばい成長

矢野経済研究所が公開した「2019 アパレル産業白書」によれば、2018年の国内アパレル総小売市場の規模は前年比100.1%の9兆2,239億円で、ほぼ横ばい推移となっています。
2019 アパレル産業白書 | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

品目別では、

  • 婦人服・洋品市場:前年比99.8%の5兆7,214億円
  • 紳士服・洋品市場:前年比100.7%の2兆5,845億円
  • ベビー・子供服・洋品市場:前年比100.0%の9,180億円

となっており、紳士服・洋品は微増、ベビー・子供服・洋品は横ばい、婦人服・洋品は微減であった。

厳しいアパレル業界

上記の通り、アパレル市場全体は横ばい成長だし、品目別に見ても大きく成長している品目はなく、厳しいなぁという印象を受けます。

日本は少子高齢化が進んでいます。
人口が増えていく高齢者はそれほどファッションに興味はなく(ファッションへの投資が少ない)、ファッション感度が高い若者が減る状況で、将来的な展望は決して明るくありません。
今回の調査結果は横ばい成長でしたが、いずれ下落していくのは目に見えています。
そのような状況だからこそ、何らかの対策が必要とされています。

販売チャネル別市場動向

そこで、販売チャネル別の市場規模を見てみると、

  • 百貨店:前年比96.0%の1兆7,945億円
  • 量販店:前年比96.3%の8,027億円
  • 専門店:前年比101.0%の5兆674億円
  • その他(通販等):前年比104.2%の1兆5,593億円

となっており、百貨店、量販店は明らかな下降線を辿っています。
一方、専門店と通販は増加しており、特に通販は他に比べると大きく伸びています。

雑多に扱うよりも、あるコンセプトのもとに事業展開する方が顧客に受け入れやすいということでしょうか。
趣味が多様化する中で、ファッションも多様化しており、「誰でも」よりもターゲットを絞った「あなたに向けて」というメッセージ色の強いブランド、アパレルが強いように感じます。
ワークマンが成長したのもそうですよね。

ユニクロがアパレル業界に与える驚異

あと、個人的にはユニクロは百貨店や量販店の脅威になっていると思います。
「おしゃれにそこそこ興味がある」ライトユーザにとって、ユニクロの価格とデザイン・品質は十分です。
ただ安いだけでなく、有名デザイナーとコラボすることによってデザイン性もアピールしています。
以前の安いだけのユニクロからは脱却していて、「安いのにおしゃれ」と認識している人が増えているのではないでしょうか。

ユニクロでおしゃれなコーディネートを紹介しているMBさんがもてはやされているのを見てもそれは言えます。
MBさんTwitter:MB@ユニクロ研究家、幸服論、服着る、最おしゃ、コネクテッド、著者&監修。Youtuber。
MBさんサイト:【最も早くオシャレになる方法】現役メンズファッションバイヤーが伝える洋服の「知り方」/ Knower Mag | メンズファッションは「知ること」で世界が変わる。現役メンズバイヤーが伝える洋服の「知り方」

その証拠に、2019/10/10に発表された「2019年8月期 決算サマリー」ででは、売上収益は2兆2,905億円、前期比7.5%増、営業利益は 2,576億円、同9.1%増と過去最高の業績を達成しています。
まさに恐るべしユニクロ。

アパレル業界はECサイトへ活路を見出すべし

販売チャネル別市場動向を見ても分かる通り、その他(通販)が一番伸びています。
その他(通販)のうちECサイトがどれくらい占めているかは不明ですが、昨今の動向から結構な割合を占めていることは想像できます。

アパレル業界はECサイトに活路を見出す必要があるでしょう。
ECサイトに注力すると言ってもECサイトで売り上げ向上を目指すだけでなく、店舗とEC(オフラインとオンライン)がうまく共存できる仕組み作りが必要です。

店舗とECサイトのメリット・デメリットがあります。
相互のメリットを活かすような、もしくはでメリットを補えるような戦略を立てるべきです。

店舗・ECサイトのメリット(一部)

店舗、ECサイトそれぞれどのようなメリットがあるか、一部ですが挙げておきます。
もちろん、自社の得手不得手も考慮しながら、考え、そして優先順位を決め、実行していくことが必要です。

店舗

  • 直接接客できる
  • 実物に触れることができる
  • 試着できる

ECサイト(アプリ、WEBサイト)

  • どこでも注文できる
  • 検索がし易い
  • 閲覧履歴・注文履歴を元にしたおすすめ機能
  • スタッフコーディネートページによるコーディネート提案
  • ブログ機能による無限に情報発信が可能
  • 共有(シェア)機能を活かす

上記のようなメリットをどう活かすか、店舗とECサイトそれぞれ相互補完ができる仕組み作りがキモになります。

矢野経済研究所「2019 アパレル産業白書」

2019 アパレル産業白書 | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

  • 調査目的:日本のアパレル産業の現状把握,分析並びに将来予測を行い,事業戦略立案の基礎資料とすること目的とした。
  • 調査期間: 2019年7月~9月
  • 調査対象: アパレルメーカー(総合アパレル,メンズアパレル,レディスアパレル,ベ ビー・子供アパレル他)、小売業(百貨店,量販店,専門店,その他)、商社、業界団体等
  • 調査方法: 個別企業に対する直接面談取材。電話・FAX・郵送によるアンケート調査。公的データの収集など文献調査 他

投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWACEO
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。

システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。

その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)

2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。

クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution


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