受注業務の属人化はなぜ起きるのか
「この得意先の対応はAさんしか分からない」
「価格の出し方を知っているのはベテラン担当者だけ」
「担当者が休むと受注処理が止まりそうで不安」
こうした状態に心当たりがあるなら、受注業務はすでに属人化している可能性があります。
属人化という言葉はよく使われますが、簡単に言えば、特定の人しか分からない業務が増えている状態です。
一見すると、その担当者が頼りになるということでもあります。
しかし経営の視点で見ると、これは大きなリスクです。
なぜなら、担当者の不在、退職、異動がそのまま業務停止につながりやすいからです。
受注業務はなぜ属人化しやすいのか
法人向けの受注業務には、表面上見えにくい判断が多く含まれています。
たとえば、次のようなものです。
- 取引先ごとの掛率や契約単価
- いつもの例外対応
- 納期をどこまで調整できるかの判断
- ロット割れや分納の扱い
- 営業確認が必要な注文の見極め
こうした業務は、最初から文書化されていることが少なく、現場で少しずつ覚えられていきます。
その結果、長く担当している人ほど頭の中にルールが蓄積され、周囲からは「その人しか分からない」状態になっていきます。
属人化が進む会社の共通点
受注業務が属人化しやすい会社には、いくつか共通点があります。
- FAXやメールでの受注が多い
- 価格ルールが複雑で明文化されていない
- 例外対応が多い
- 基幹システムへの手入力が多い
- 引き継ぎが口頭中心になっている
特に、確認と転記が多い会社では、担当者ごとに処理方法が少しずつ違ってくることがあります。
その差が積み重なることで、業務が「仕組み」ではなく「人」で回るようになります。
属人化がもたらす3つの問題
1. 教育に時間がかかる
ルールが整理されていないと、新しく入った人に教えるのに時間がかかります。
しかも、教える側も「感覚でやっている」部分が多いため、うまく言語化できないことがあります。
2. ミスが起きやすい
同じように見える注文でも、担当者によって判断が違うと、価格ミス、納期回答ミス、処理漏れが起きやすくなります。
3. 会社としての継続性が弱くなる
担当者がいないと回らない状態は、会社としての仕組みが弱いということです。
目の前の受注は処理できていても、将来の拡大や人員交代に耐えにくくなります。
営業事務の負担が減らない本当の理由
属人化の問題は、単に人に知識が偏っていることだけではありません。
本当の問題は、判断が毎回その場で発生していることです。
たとえば、次のような業務です。
- この価格で処理してよいか判断する
- この数量でも受けてよいか判断する
- この納期で回答してよいか確認する
- この注文は営業へ回すべきか考える
つまり、担当者が忙しいのは、入力しているからではなく、考えて判断しているからです。
そして、その判断基準が整理されていない限り、人を増やしても負担は根本的に減りません。
属人化を解消する第一歩は「業務の見える化」
属人化を解消したいとき、多くの会社は「マニュアルを作ろう」と考えます。
もちろんマニュアルは大切です。
ただし、それだけでは不十分です。
まず必要なのは、受注業務の流れを見える化することです。
たとえば、次のような観点で整理します。
- どのタイミングで価格確認が発生しているか
- どこで例外処理が発生しているか
- 誰が在庫や納期を確認しているか
- どこが毎回手入力になっているか
- どこで確認電話や差し戻しが起きているか
この整理をすると、属人化の原因が「人」ではなく「構造」にあることが見えてきます。

属人化を減らすには、判断を仕組みに移すことが必要
本当に属人化を減らすには、担当者の知識をそのまま引き継ぐだけでは足りません。
判断の一部を仕組みに移すことが必要です。
たとえば、
- 取引先ごとの価格をあらかじめ表示する
- ロット条件をシステムでチェックする
- 再注文しやすい導線を作る
- 入力内容を最初からデータ化する
こうした仕組みがあると、担当者が毎回頭の中で判断しなくても処理できる部分が増えます。
Web受注化は属人化対策として有効
法人向けの受注サイトやWeb受注システムは、単なる注文窓口ではありません。
属人化を減らすための仕組みとしても有効です。
理由は、受注の入口で情報を整理しやすいからです。
- 注文内容をルールに沿って入力してもらえる
- 価格や条件を事前に反映できる
- 履歴から再注文しやすくできる
- 受注データをそのまま連携しやすい
これにより、担当者ごとの処理差を減らしやすくなります。

ただし、システムを入れるだけでは属人化は解消しない
ここはとても重要です。
システムを入れれば自動的に属人化が解消するわけではありません。
今の業務ルールが曖昧なまま導入すると、
- 結局管理画面で手修正が発生する
- 電話やメールで例外対応が残る
- 現場が従来運用に戻る
という状態になります。
だからこそ、導入前に整理が必要です。
- 価格ルールをどこまで明文化できるか
- 例外処理をどう分類するか
- 何を仕組みに載せるか
- 何を人の判断として残すか
この線引きができると、属人化はかなり減らせます。
最初から全部を仕組み化しなくてもよい
属人化の解消というと、大がかりな見直しを想像されることがあります。
ですが、最初から全部を変える必要はありません。
たとえば、
- 再注文の多い商品だけ先に仕組み化する
- 価格がシンプルな取引先から始める
- 入力ミスの多い業務から改善する
このように一部から進めるだけでも、営業事務の負担はかなり軽くなることがあります。
属人化対策は「人を責めること」ではなく「仕組みを見直すこと」
属人化が起きると、「担当者が抱え込みすぎている」と見られることがあります。
しかし実際には、その人が悪いのではなく、会社として仕組み化できていないことが原因です。
属人化対策とは、人を責めることではありません。
その人しか分からない状態を、会社として再現できる状態へ変えることです。
FAXやメールによる受注業務の見直しについては、サービスページもご覧ください。
FAX・メール受注のWeb受注化サービスを見る
まずは「どこが属人化しているか」を整理しませんか
「うちの受注業務はどこが属人化しているのか分からない」
「担当者の負担を減らしたいが、どこから手をつければよいか悩んでいる」
その段階でも問題ありません。
サンクユーでは、現状の受注フローを整理し、どこに判断が集中しているのか、どこを仕組み化できるのかを一緒に考えます。
構想段階でもご相談いただけます。
法人向け受注業務の効率化について相談する
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン
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