BtoB-EC構築を「安さ」で選ぶと失敗する理由|見積比較で見落とす”本当のコスト”と業者選びの4視点

BtoB-EC構築を「安さ」で選ぶと失敗する理由|見積比較で見落とす”本当のコスト”と業者選びの4視点B2B-EC
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この記事でわかること
BtoB-EC構築を「安さ」だけで選ぶと失敗する理由を、業務削減効果のROI試算・見積比較の落とし穴・業者選定の4視点から解説します。費用相場の情報が必要な方は、BtoB-EC構築の費用相場もあわせてご覧ください。

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株式会社サンクユー 代表 堀川治
EC-CUBE構築とBtoB-EC専門として、「相見積もりで一番安い会社に頼んだが、後から追加費用が次々と発生した」というご相談を多数受けてきました。BtoB-ECは”サイト制作”ではなく”受注構造の再設計”です。なぜ安さだけで選ぶと失敗するのか、実務視点で解説します。

BtoB-EC導入を検討する際、最も気になるのは費用です。複数社から相見積もりを取り、一番安い会社に頼む——これは一般的な発注フローとして合理的に見えます。

しかし、BtoB-ECにおいては安さだけで選ぶと高確率で後悔します。なぜなら、BtoB-ECの本質は”サイト制作”ではなく”受注構造の再設計”だからです。

本記事では、EC-CUBE構築とBtoB-EC専門として製造業・卸売業の案件に携わってきた立場から、見積比較で見落としがちな”本当のコスト”と、業者選定で確認すべきポイントを解説します。費用相場そのものを知りたい方はBtoB-EC構築の費用相場をご覧ください。

BtoB-ECは「サイト制作」ではなく「受注構造の再設計」

BtoC-ECと同じ感覚で「ECサイトを作ってもらう」と考えると、見積比較の基準を間違えます。BtoB-ECは以下の要素を含むため、本質的には基幹システムに近い性質を持ちます。

BtoC-ECの主要要素BtoB-ECの主要要素
商品ページ・カート・決済顧客別価格・契約単価・与信管理
デザイン・UI/UX受注フロー・例外処理・分納処理
SEO・マーケティング基幹システム連携・在庫リアルタイム表示
キャンペーン管理取引先別の見せ方・帳票出力

BtoCの主要要素は”フロントエンドの作り込み”が中心ですが、BtoBの主要要素は”業務システムとしての設計”が中心です。この違いを理解せずに「ECサイト制作の見積もり」として比較すると、後から「BtoB特有の要件は別途費用」となり追加費用が積み上がります。

よくある誤解
BtoC-EC実績は豊富だがBtoB実績が少ない会社に依頼すると、BtoB特有の要件で手戻りが発生しやすいです。実績の数より、業種・規模・要件の近さを確認してください。

見積比較で見落とす”本当のコスト”3層構造

多くの企業は「初期構築費用」だけを比較します。しかし本当に重要なのは、見えない2層を含めた総コストです。

コスト層内容見積もりへの計上
第1層:初期構築費用設計・開発・テスト・初期設定○計上される
第2層:運用・月額費用保守・サーバー・機能追加△一部のみ計上
第3層:運用人件費手修正・電話対応・突合作業・ミス対応×計上されない

見積比較で見落とされやすいのが第3層の運用人件費です。これは見積書には絶対に書かれませんが、設計の質によって月数万円〜数十万円の差が生まれます。

具体的には以下のような形で発生します。

  • 手修正が多ければ人件費が増える(月10〜30時間)
  • 価格トラブルが増えれば対応コストが増える
  • 取引先からの問い合わせ電話が減らない
  • 基幹システムへの手動入力作業が残る
  • 将来作り直しが必要になれば再構築費用が発生する

初期費用が100万円安くても、月5万円の運用人件費が増えれば3年で180万円の損失です。詳細はBtoB-EC「標準機能だけ」で失敗する3つの落とし穴でも解説しています。

安さで選ぶと起こる4つの失敗パターン
  1. 1

    標準機能だけで無理に収めようとする

    顧客別掛率や数量別単価が複雑な企業で標準機能のみで構築すると、管理画面での手修正・電話確認の継続・二重入力が発生し、”安く作ったが業務は減らない”状態になります。

  2. 2

    要件整理工程を省略する

    受注フローや価格ロジックの棚卸しを省略した見積もりは安く見えますが、開発フェーズで「想定外の要件」が次々と発覚し、後から必ず修正費用(初期見積もりの30〜50%増)が発生します。

  3. 3

    基幹連携を軽視する

    CSV連携のみで安く済ませると、リアルタイム性が必要な企業では在庫確認・納期確認の作業が残ります。受注件数が増えるほど運用負担が膨張します。

  4. 4

    将来拡張を考慮していない設計

    顧客増加・商品増加に伴い限界が来ると、2〜3年後に”作り直し”コストが発生します。最初の構築費用と同等以上の再構築費用が必要になるケースもあります。

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※ EC-CUBE構築・BtoB-EC専門。製造業・卸売業の実績多数

業務削減効果のROI試算例

BtoB-ECへの投資判断は、構築費用そのものではなく「業務削減効果との比較」で行うのが本質です。以下に具体的な試算例を示します。

削減効果の種類試算ロジック年間効果(例)
受注処理時間の削減1件10分削減 × 月500件 = 月83時間
時給2,500円換算
約250万円
電話・FAX対応の削減1日2時間削減 × 20営業日 × 12ヶ月
時給2,500円換算
約120万円
価格・数量ミスの削減月10件 × 平均損失2万円 × 12ヶ月約240万円
営業の機会創出営業1名が受注処理から解放
新規開拓に振り向け
数値化困難
(売上機会創出)
年間効果合計(例)約610万円
試算の前提
上記は月500件規模の卸売業を想定した試算例です。事業規模・受注件数・現状の業務効率により大きく変動します。確信度は中程度のため、自社の実数値で再計算することを推奨します。

この試算が成り立つ企業であれば、500万円の構築費用は1年弱で回収できる投資になります。逆に、業務削減効果が小さい設計(=安さ重視の構築)では、回収が遅れます。

「構築費用が安いか」ではなく、「業務削減効果に対して構築費用は妥当か」が正しい判断軸です。

業者選定で確認すべき4つの視点

金額の比較だけでは本質は見えません。業者選定では以下4つの視点で確認してください。

視点確認するポイント
1. 要件整理の深さ初期工程で受注フロー・価格ロジック・例外処理を整理するか。「ヒアリングシート1枚」で済ませる業者は要注意。
2. 価格ロジック設計の方針顧客別掛率・契約単価・数量別価格をどう実装するか。「アプリで対応」で済ませる業者は将来の運用負担を読めていない。
3. 基幹連携の組み込み範囲API連携かCSV連携か、リアルタイム性をどう担保するか。「後から検討」と言う業者は連携設計の経験が浅い可能性。
4. 将来拡張への対応3〜5年後の取引先増・商品増を見越した設計か。「とりあえず現状要件で」と言う業者は拡張性を考慮していない。

相見積もり時のチェックリスト

複数業者から見積もりを取る際、金額だけでなく以下を必ず確認してください。

見積書に含まれているか確認
  • 要件定義・設計工程の費用が独立して計上されているか
  • 基幹システム連携の費用と方式(API/CSV)が明記されているか
  • テスト工程・本番移行費用が含まれているか
  • 取引先移行支援・マニュアル作成費用が含まれているか
  • 稼働後の保守・運用費用が月額で明示されているか
  • 機能追加・変更時の費用ルールが明記されているか
業者の姿勢を確認
  • 初回打ち合わせで「現状の受注業務」を深く質問してきたか
  • BtoB特有の要件(掛率・与信・分納)を理解しているか
  • 同業種・同規模の構築実績があるか
  • “安さ”を強調するか、”設計の質”を強調するか
  • 追加費用の発生条件を事前に説明したか

「安すぎる見積もり」の正体

他社より明らかに安い見積もりが出てきた場合、以下のいずれかである可能性が高いです。

安さの理由後から発生するリスク
要件整理工程が含まれていない開発フェーズで仕様変更が頻発、追加費用30〜50%増
基幹連携が想定されていない稼働後に別途100〜200万円の追加開発
テスト工程が薄い稼働後にバグが多発、信用低下
保守体制が不十分トラブル時の対応が遅い、業務停止リスク
テンプレート使い回しBtoB特有の要件で手戻り発生
下請け多重構造意思疎通が遅い、品質管理が甘い

安さは”見えていないコスト”の予告です。見積もりが極端に安い場合は、「何が含まれていないか」を必ず確認してください。


よくある質問
Q
BtoB-EC構築を相見積もりで選ぶとき、何を比較すべきですか?
+
金額だけでなく、要件整理の深さ・価格ロジック設計の方針・基幹連携の組み込み範囲・将来拡張への対応の4つの視点で比較すべきです。金額だけの比較では、見積もりに含まれていない範囲(運用人件費・追加開発・移行コスト)が後から発覚するリスクがあります。詳しくは業者選定で確認すべき4つの視点をご覧ください。
Q
BtoB-EC構築で安く済ませると、どんな問題が起きますか?
+
主に4つの問題が発生します。①標準機能だけで無理に収めて手修正が増える、②要件整理を省略して後から修正費用が積み上がる、③基幹連携を軽視して二重入力が残る、④将来拡張を考慮せず数年後に作り直しコストが発生する。初期費用は安くても、運用人件費と再構築コストで逆転するケースが多いです。
Q
BtoB-EC構築のROIはどう試算すればよいですか?
+
受注処理時間の削減効果から試算します。例えば1件あたり10分の受注処理時間が削減でき、月500件の受注がある場合、月83時間・年1,000時間の削減効果があります。時給2,500円換算で年250万円の人件費削減になり、500万円の構築費用なら2年で回収できる計算です。詳しくは業務削減効果のROI試算例をご覧ください。
Q
BtoB-EC構築会社を選ぶときに最も重要なポイントは何ですか?
+
「サイト制作」ではなく「受注構造の再設計」として捉えている会社かどうかです。価格ロジックや例外処理の整理を初期工程で行うか、基幹連携の設計経験があるか、BtoB特有の商習慣を理解しているかを確認してください。BtoC-EC中心の会社に依頼すると、BtoB特有の要件で後から手戻りが発生しやすいです。
Q
見積もりが安すぎる業者を選ぶリスクはありますか?
+
あります。見積もりが極端に安い場合、要件整理工程が含まれていない、基幹連携が想定されていない、テスト工程が薄い、保守体制が不十分などの可能性があります。安すぎる見積もりは「何が含まれていないか」を確認し、後からの追加費用見込みも含めて総額で比較することが重要です。詳しくは「安すぎる見積もり」の正体をご覧ください。

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投稿者プロフィール

OSAMU HORIKAWA
OSAMU HORIKAWACEO
株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。

関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。

この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。

その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。

2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。

単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。

NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution

■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン

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