BtoB-ECで追加したい機能を「初期公開で必要」「当面は運用で対応」「公開後に追加検討」へ分ける方法を解説します。業務への影響と費用を整理し、見積もりを依頼できる状態にすることが目的です。
「要望をすべて入れると予算を超える」「機能を削ると、公開後に現場が困りそう」。BtoB-ECの構築では、必要な機能が分かっても、どこまで初期開発に含めるかで迷うことがあります。
機能の種類だけで優先順位を決めず、公開時に欠かせない処理、代替できる処理、利用状況を見てから判断できる処理に分けましょう。そのうえで、標準機能・設定・追加機能・個別開発のどれで実現するかを確認します。
候補SaaSの対応範囲を調べる段階なら、BtoB-ECのSaaS選定チェックリストをご覧ください。本記事は、必要な業務を整理した後に、構築範囲と実施時期を決めるための記事です。
最初に、公開時に完結させる業務を決める
最初の対象となる取引先・商品・注文の種類を決め、注文受付から確認、出荷・請求への引き継ぎまでを書き出します。すべての取引先へ同時に展開する必要がなければ、対象を限定して始める方法もあります。
ただし、対象を絞ることと、必要な処理を省くことは別です。対象の注文について、正しい価格で受け付け、変更や欠品にも対応し、担当者へ引き継げるかを確認してください。
- 初期公開の対象:どの取引先・商品・注文を受け付けるか
- 公開時に必要な状態:どの処理まで、誰が完了できるようにするか
- 対象外の業務:どの方法で受け付け、いつ見直すか
必要な機能の洗い出しは、BtoB-ECに必要な機能と選び方も参考にしてください。
5つの領域で、初期公開への影響を確認する
価格設定や基幹連携が常に最優先とは限りません。たとえば商品を探せず注文できない状態なら、検索や注文画面の改善が公開条件になることもあります。次の表を、領域別の順位ではなく確認項目として使ってください。
| 領域 | 公開前に確認すること | 運用で補う場合の確認点 |
|---|---|---|
| 価格設定 | 契約単価・掛率・数量別価格の適用条件と優先順位 | 個別見積もりにする注文の範囲、回答担当、金額の確定方法 |
| 基幹連携 | どのデータを、どのタイミングで渡す必要があるか | CSV取込や手入力の担当、処理時刻、重複・漏れの確認 |
| 注文の変更・例外 | 数量変更、分納、欠品、キャンセルの受付と処理 | 受付窓口、元注文との関連づけ、出荷・請求への連絡 |
| 権限・承認 | 誰が注文・承認・変更できるか、閲覧できる情報の範囲 | 承認結果の記録、担当者不在時の代行、確認漏れの防止 |
| 画面・操作性 | 取引先が商品を見つけ、数量を入力し、注文を完了できるか | 操作案内で補えるか、毎回の問い合わせが負担にならないか |
公開に必要な機能でも、標準機能や設定で満たせるなら個別開発は不要です。既存機能を実際の注文例で確認してから、不足する部分を開発要件にします。
開発の優先順位は、影響・負担・変更のしやすさで決める
未対応の場合、受注や取引条件にどんな影響があるか
注文できない、契約と異なる価格になる、権限のない担当者が情報を閲覧できる、といった問題は、発生件数が少なくても公開前に対応方法を決める必要があります。件数だけで後回しにしないことが大切です。
代替作業を継続できるか
手作業で補う場合は、月の件数、1件あたりの時間、繁忙日の集中、確認担当を記録します。通常月は対応できても、月末や担当者不在時に処理が止まるなら、その条件も判断に含めます。
人の判断が必要な納期調整などは、無理に自動化する必要はありません。判断材料を画面に集める、判断結果を記録する、関係者へ通知するなど、人が行う部分を支える開発も選択肢です。
後から追加するとき、何を変更するか
将来の機能をすべて先に作るのではなく、追加時に既存データの移行や取引先の再登録が必要になるかを確認します。会社と担当者の関係、商品・取引先コード、注文状態など、後続機能と関わる情報は、初期設計で整理しておくと検討しやすくなります。
開発費に加え、テスト、データ移行、操作案内、保守・更新への影響を見積もりに含めて比較してください。費用の内訳は、BtoB-EC構築の費用目安と5年間の費用試算で説明しています。
サンクユーの対応範囲や構築事例、相談から公開までの進め方は、卸売・BtoB-ECサイト構築サービスをご覧ください。
開発範囲を広げる前に確認したいこと
使う人と場面が決まっているか
将来向けの機能も、利用者・開始時期・必要になる条件が具体的なら検討対象になります。まだ決まっていない場合は、要望として記録し、初期公開の対象から外せるかを考えます。利用回数が少なくても重要な処理はあるため、頻度だけで不要とは判断しません。
業務ルールを整理すれば、開発を減らせないか
担当者ごとに異なる例外対応をそのまま機能化すると、設定や操作が複雑になる場合があります。共通化できるルールと、取引条件上残す必要があるルールを先に分けましょう。
追加後の保守と確認範囲が分かっているか
独自機能を追加するときは、本体や外部サービスの更新時に、どこを確認するかも決めます。標準機能や既存の追加機能で対応する場合も、対応バージョン、他機能との組み合わせ、サポート範囲の確認が必要です。
初期公開・運用対応・追加開発に切り分ける
以下は検討のための例であり、特定企業の導入事例ではありません。自社の取引条件や利用システムに合わせて判断してください。
| 区分 | 判断例 | 合わせて決めること |
|---|---|---|
| 初期公開で必要 | 対象取引先の契約単価で注文を受ける。標準設定で不足する価格処理のみ追加する。 | 価格条件、例外時の扱い、受入テスト |
| 当面は運用で対応 | 少数の特別な納期相談は担当者が受け付け、回答と確定内容を記録する。 | 担当・代行者、回答期限、注文への反映手順 |
| 公開後に追加検討 | CSV取込で処理できている受注連携を、作業負担を測定してAPI連携へ拡張するか判断する。 | 処理時間、エラー状況、見直し時期、追加費用 |
「今回は作らない」項目には、代替手順と見直す条件をセットで記録します。作業時間が確保した担当時間を超える、締め時間に間に合わない、確認漏れが続くなど、自社の運用に沿った条件を設定しましょう。
公開後の見直し時期は、取引先の発注周期や繁忙期を踏まえて決めます。一律に半年待つのではなく、試行中や初回の締め処理でも確認し、注文が止まる問題は早めに対応します。
また、後からAPI連携する予定があるなら、初期段階で必要項目やコード体系を確認しておきます。詳細は、ECと基幹システムの連携設計をご覧ください。
見積依頼前に、機能ごとの判断を一覧にする
機能名だけを並べるより、対象の業務と必要な結果を伝えると、標準機能で対応できる部分と追加開発する部分を相談しやすくなります。要望ごとに、次の項目をまとめてください。
- 対象業務:誰が、どの場面で使うか
- 困っていること:件数・作業時間・ミスや遅れの影響
- 必要な結果:どの状態になれば処理を完了できるか
- 既存機能の対応:設定・追加機能で対応できるか、未確認か
- 実施区分:初期公開・運用対応・公開後の追加検討
- 代替手順:開発しない場合の担当者・確認方法
- 関連する処理:他機能や基幹システムへの影響
- 検証方法:正常時・変更時・エラー時に試す注文例
- 見直し条件:いつ、誰が、何を見て再検討するか
見積もりは、初期公開に含む範囲と、追加候補の費用を分けて依頼します。対象外の処理や前提条件も明記し、公開直前に必要な作業が見つかることを減らしましょう。
BtoB-ECのカスタマイズ範囲についてよくある質問
QBtoB-ECはどこまでカスタマイズすべきですか?
Q価格設定や基幹連携を最優先にする必要がありますか?
Q手作業で対応するかどうかは、件数で判断できますか?
Q将来必要になる機能も最初に作るべきですか?
Q制作会社へ相談するとき、何を用意すればよいですか?
まとめ:作る範囲と、作らない間の運用を一緒に決める
BtoB-ECのカスタマイズ範囲は、機能の種類やチェック数ではなく、対象業務への影響と代替運用の負担から決めます。初期公開で必要な処理を押さえ、後から追加する機能には、見直し時期と判断材料を残してください。
標準機能で進める際の確認点は、BtoB-ECを標準機能中心で構築する際の注意点も参考になります。
BtoB-ECの構築範囲・段階導入をご相談ください
「要望が多く、初期公開の範囲を絞れない」「手作業で残してよいか迷っている」。現在の受注業務と必要な機能を整理し、EC-CUBEによる構築・カスタマイズの範囲をご提案します。
分かる範囲で、希望する公開時期、利用中のシステム、優先したい業務をお知らせください。
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









