この記事でわかること
EC-CUBEを複数の支店・営業所で利用する場合、担当する顧客や受注だけを確認し、業務に必要な範囲で編集できる管理画面が求められることがあります。本記事では、サンクユーのカスタマイズ事例をもとに、担当割り当て、閲覧・編集制限、担当変更時の確認点を紹介します。
支店・営業所別の管理では、「どの画面を使えるか」「どの顧客・受注を扱えるか」「何を変更できるか」を分けて設計します。例えば、東京営業所と大阪営業所の両方に受注画面の利用を許可しても、それぞれの担当注文だけを扱うには、対象データの制御が必要です。
ここで扱うのは、ECサイトを運営する会社の支店・営業所向け管理画面です。購入企業の担当者が使う法人アカウントやマイページとは、利用者と権限の範囲が異なります。
標準の権限管理と支店・営業所別管理の違い
EC-CUBE 4系には、管理画面を利用するスタッフを登録するメンバー管理と、アクセス可能な管理機能を制限する権限管理があります。公式マニュアルでは、権限ごとにアクセスを拒否する管理機能ページのURLを設定する方法が説明されています。
一方、同じ受注画面の中で「自営業所の担当顧客の注文だけを表示する」といった要件は、画面へのアクセス制限に加え、担当情報と対象データの関係を使った制御が必要です。標準のメンバー登録や権限設定をしただけで、営業所別のデータ管理まで完成するとは限りません。
| 制御する範囲 | 業務上の例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 画面・機能 | 営業担当者は会員管理と受注管理を使う | 標準の権限設定で必要な利用範囲にできるか |
| 対象データ | 自営業所の担当顧客と受注だけを扱う | 担当情報をどこに保存し、どの処理で参照するか |
| 項目・操作 | 注文は確認できるが、発送済みには変更できない | 編集項目と状態変更の許可をどう制御するか |
| 出力・連携 | 自営業所のデータだけをCSVや帳票に出す | 画面以外のデータ取得にも同じ制限が必要か |
標準機能の説明はEC-CUBE 4系を対象とし、参照した公式マニュアルの表記は4.3.1-p1版です。以下は過去の個別カスタマイズ事例であり、掲載画面が現行の標準画面や4系の実装画面であることを示すものではありません。
参照:公式マニュアル「メンバー管理」、公式マニュアル「権限管理」
実装事例:営業所と担当顧客を紐付ける
営業所情報とログイン権限を用意する
本事例では、営業所情報を管理するマスタを追加し、営業所の業務を行うログインメンバーを設定しました。担当する営業所と、その利用者が扱える顧客・注文を結び付けるための仕組みです。

同様の仕組みを導入する際は、営業所の情報と個人のログインアカウントを分けて管理します。営業所内で同じIDを共有する運用を避け、担当者ごとにアカウントを用意し、所属と権限を割り当てる構成を検討します。
郵便番号によって担当営業所を自動で割り当てる
サンクユーが構築した本事例では、会員の郵便番号によって担当営業所を自動で割り振る仕組みを導入しました。地域ごとに担当営業所が決まっている運用で、手作業による割り当てを減らすためのカスタマイズです。

郵便番号だけで担当を決められるかは、取引のルールによって異なります。本社所在地と納品先が異なる顧客、複数拠点を持つ取引先、地域をまたぐ特別担当などがある場合は、例外も整理します。
自動判定できない顧客を誰が確認するか、手動で変更した担当を再判定で上書きするか、住所変更時に担当も変えるかを決めます。これらは導入時の追加確認事項であり、本事例ですべて実装した機能の一覧ではありません。
実装事例:担当する顧客・受注だけを表示する
共通のログイン画面から、営業所向けの画面を表示する
本事例ではログイン画面を共通とし、ログインした利用者に合わせて、営業所で使うメニューを表示する構成にしました。

ログイン後は「会員管理」「受注管理」「定期管理」のメニューを表示し、「システム情報」や「ショップの状況」は表示しない構成です。ホーム画面の新規受付一覧も、その営業所が担当する会員の注文に絞っています。
「定期管理」は、定期購入を扱うこのサイトの機能です。EC-CUBEの標準機能として一律に用意されているメニューという意味ではありません。

会員・受注・定期管理を担当範囲に絞る
会員管理、受注管理、定期管理では、営業所が担当する会員に関係する情報を表示するようにしています。見慣れた管理画面の構成を活かしながら、業務に必要な対象を確認できるようにした事例です。



編集項目とステータス変更にも制限を設ける
本事例では、閲覧できる情報に加え、編集できる項目にも制限を設けています。また、営業所の利用者は受注ステータスを「発送済み」にできない、といった操作制限も行いました。
例えば、営業所が顧客対応を行い、出荷処理は別の担当部署が行う運用では、役割に合わせて変更できる項目を決めます。注文金額、配送先、担当営業所、取消などを誰が変更できるかも、業務に合わせて整理します。
閲覧制限は詳細画面・CSV・帳票まで確認する
支店・営業所別管理を新たに設計する際は、一覧の表示だけでなく、個別データの閲覧・更新・出力でも担当範囲を確認します。メニューやボタンの非表示に加え、実際にデータを取得・保存する処理で権限を判定する必要があります。
- 担当外の会員・受注の詳細画面に、直接アクセスしても閲覧できないか
- 許可していない項目や担当外データへの更新が受け付けられないか
- CSV・帳票・一括処理の対象に担当外データが含まれないか
- ホームの件数・集計値・検索候補から、担当外の情報が分からないか
- プラグインや外部連携にも、必要な範囲の制限が適用されるか
これらは導入・改修時に確認する項目です。掲載した過去事例の全処理について、現在の実機で検証済みであることを示すものではありません。
受注明細CSVを利用する場合は、EC-CUBEの受注明細CSV出力も参考に、営業所ごとの出力対象と列を整理します。
担当変更時は、過去注文と処理中の注文をどう扱うか決める
顧客の担当を東京営業所から大阪営業所に変更したとき、過去の注文まで大阪営業所へ移すのか、変更後の注文だけを新しい担当にするのかで、管理方法は変わります。
現在の顧客担当だけで注文の表示範囲を決めると、担当変更に伴って過去注文の閲覧範囲も変わる設計になり得ます。受注時の担当営業所を注文側に残す方法なども含め、問い合わせ対応や集計に必要な履歴を整理します。
| 変更・例外 | 決めておくこと |
|---|---|
| 顧客の担当営業所を変更する | 過去注文の閲覧範囲、変更日時、変更理由をどう扱うか |
| 未出荷・未入金の注文がある | 引き継ぐ担当と、出荷・入金確認を完了する担当 |
| 営業所を統合・廃止する | 担当顧客の移管先と、過去の営業所コードの保持方法 |
| 本部や応援担当者が対応する | 複数営業所を扱う権限、利用期間、権限を戻す手順 |
| 担当者が異動・退職する | アカウントの停止・権限変更と、担当業務の引き継ぎ |
商品別に出荷が分かれる場合は、営業所の担当と出荷の進捗を区別します。商品別ステータス管理・一部出荷のカスタマイズと合わせ、処理中の注文を誰が引き継ぐか確認してください。
基幹システムにも営業所・得意先・担当者の情報がある場合は、コードの対応と更新元を決めます。担当変更をどちらで登録し、いつ反映するかを揃えることが必要です。詳しくはECと基幹システムの連携設計で解説しています。
相談時は、営業所ごとの業務と権限を一覧にする
「営業所別に管理したい」という要望を、利用者・対象データ・操作に分けると、必要な改修範囲が明確になります。本部・営業所・出荷担当について、何を見て、何を変更し、何を出力するかを一覧にしてください。
- EC-CUBEのバージョン、関連プラグイン、既存の権限・受注改修
- 営業所数と利用人数、本部・営業所・出荷担当の役割
- 担当を決める基準、郵便番号による割り当ての可否と例外
- 閲覧・編集・状態変更・CSV出力・帳票出力の許可範囲
- 担当変更、営業所統合、異動・退職時の運用
- 基幹側の営業所・得意先コード、連携のタイミングと更新元
確認用には、複数営業所と本部のアカウント、担当あり・担当なし・移管後の顧客や注文を用意します。必要な操作ができることと、担当外の閲覧・変更ができないことの両方を、CSVや帳票を含めて確認します。
費用は営業所の数だけでなく、制御する機能、既存データへの担当設定、担当変更のルール、プラグイン・基幹連携への対応範囲によって変わります。サンクユーでは、EC-CUBE構築・カスタマイズとBtoB-EC構築のご相談に対応しています。
支店・営業所別管理のよくある質問
EC-CUBEの標準権限だけで営業所別に顧客や受注を分けられますか?
EC-CUBE 4系の標準権限管理には、管理機能ページへのアクセスを制限する仕組みがあります。同じ画面で担当営業所の顧客・受注だけを扱うには、担当情報と対象データを使った制御も必要です。利用中の標準機能・プラグイン・既存改修を確認して対応範囲を決めます。
郵便番号で担当営業所を自動的に割り当てられますか?
本記事の事例では、会員の郵便番号を使って担当営業所を自動で割り振る仕組みを実装しています。導入時は、地域をまたぐ特別担当、複数拠点の取引先、判定できない住所、手動変更後の再判定など、例外の扱いも確認します。
営業所ごとに編集項目やステータス変更を制限できますか?
本事例では、営業所の利用者が編集できる項目を制限し、受注ステータスを発送済みにできない制御も行いました。同様の機能を導入する際は、各担当者の役割に合わせて、閲覧・編集・状態変更の許可範囲を決めます。
担当営業所を変更すると、過去の注文はどうなりますか?
設計によって異なります。現在の顧客担当に合わせて過去注文の閲覧範囲も変更するか、受注時の担当を残すかを決めます。未出荷・未入金の注文、問い合わせ対応、営業所別の集計への影響も合わせて確認します。
CSVや納品書も自営業所のデータだけに制限できますか?
出力機能も対象に含めて設計することで対応を検討できます。画面の表示制限だけでCSVや帳票にも同じ制限が適用されるとは限らないため、個別出力・一括出力・プラグイン・連携処理を確認します。掲載事例ですべての出力制御を実装済みと示すものではありません。
営業所別管理の相談には何を用意すればよいですか?
EC-CUBEのバージョン、関連プラグイン、営業所と利用者の一覧、担当顧客の割り当てルール、閲覧・編集・出力の権限表をご用意ください。担当変更の例や基幹連携の仕様もあると、必要な改修範囲を整理しやすくなります。
EC-CUBEの支店・営業所別管理をご相談ください
担当顧客の注文を営業所で確認したい、本部と営業所の編集権限を分けたい、担当変更を基幹システムと揃えたいなど、現在の運用から必要な機能を整理します。閲覧・編集・出力の範囲を確認し、業務に合った改修を検討します。
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









