この記事でわかること
出荷用CSVを配送業者へ渡し、戻ってきた出荷実績をEC-CUBEへ登録する作業が、毎日の負担になっていませんか。本記事では、配送業者が必要な操作を直接行える専用管理画面のカスタマイズ事例と、導入時に整理したい権限・CSV・出荷状態の考え方を紹介します。
配送業者用管理画面は、誰が、どの出荷を扱い、何を変更できるかを決めたうえで設計します。CSVの受け渡しを減らせる一方、出荷対象の選定や誤ったデータを取り込んだ場合の対応まで、運営者と委託先の役割を揃えることが大切です。
ここでは配送業者向けの過去事例を扱います。倉庫会社や物流代行会社へ業務を委託している場合にも、実際にCSVの出力・登録を担当する会社と、その作業範囲を確認して検討します。
標準の出荷CSV機能と、配送業者用管理画面の違い
EC-CUBE 4系には、受注一覧からの出荷CSV出力と、出荷情報を一括で登録・更新する出荷CSV登録があります。管理画面の利用者を登録するメンバー管理や、管理機能ページへのアクセスを制限する権限管理も用意されています。
ただし、配送方法を登録する設定と、配送業者の担当者がログインして作業するためのアカウント・権限は別です。専用画面や委託先ごとのデータ制限が必要な場合は、標準機能で対応できる部分と追加開発する部分を分けます。
| 項目 | 標準機能を確認する範囲 | 個別に設計する例 |
|---|---|---|
| CSVの入出力 | 出荷CSVの出力・出荷情報の登録 | 委託先の列構成への変換、対象データの限定 |
| 利用者・権限 | メンバー登録と管理機能へのアクセス制限 | 担当する出荷だけを閲覧・変更できる制御 |
| 操作画面 | 既存管理画面で必要な操作ができるか | CSVの出力・取り込みに絞った専用画面 |
| 履歴・照合 | 既存の受注・出荷情報で確認できる範囲 | 業務に合わせた出荷数レポートや処理履歴 |
参照:EC-CUBE公式・受注管理、出荷CSV登録、権限管理。標準機能の説明はEC-CUBE 4系を対象とし、利用中のバージョン・プラグイン・改修内容による違いも確認します。
実装事例:配送業者が出荷CSVを操作する専用画面
サンクユーでは、配送業者がEC-CUBEにログインし、出荷CSVのダウンロードと出荷完了CSVのアップロードを行う専用画面を作成しました。以下の画像は過去の個別カスタマイズ事例であり、現在のEC-CUBE 4系の標準画面や操作手順を示すものではありません。
配送業者向けの権限とログイン利用者を用意する
本事例では、配送業者向けの権限を設け、管理画面を利用するメンバーを登録しています。ログイン画面は共通とし、ログイン後に利用できるメニューを役割に合わせて変える構成です。


必要なメニューだけを表示する
ログイン後のホームでは、メインメニューを「受注管理」に絞り、ホームの情報は表示しない構成にしました。受注管理のサブメニューには、専用に作成した配送業者画面を表示しています。


出荷CSVの出力と出荷完了CSVの取り込みをまとめる
配送業者画面では、出荷用のCSVをダウンロードし、出荷業務後に出荷完了CSVをアップロードできます。担当者が日々行う操作を一つの画面にまとめた事例です。

本記事では、倉庫などから商品を出す業務の結果を「出荷完了」として説明します。購入者へ荷物が届いた「配達完了」とは区別が必要です。連携するCSVがどの時点の実績を表すかは、導入時に確認します。
出荷数レポートで過去の出荷履歴を確認する
本事例では、出荷数レポート画面から過去の出荷履歴を閲覧できるようにしました。日々の出荷内容を確認するための機能です。

以下は、同様の仕組みを新たに導入するときの確認事項です。掲載事例で、すべての例外処理・権限制御・外部連携を実装済みという意味ではありません。
委託先に見せる情報と、変更できる項目を決める
運営者は受注全体を管理し、配送業者は担当する出荷に必要な情報を扱う、といった役割分担を整理します。メニューを非表示にするだけでなく、データを取得・更新する処理でも権限を確認する設計が必要です。
- 担当外の注文・配送を、詳細画面やCSVから取得できないか
- 配送先、商品、数量など、作業に必要な項目に出力を絞れるか
- 注文金額、支払方法、取消など、許可していない変更を制限できるか
- CSV内の識別番号を使って、担当外の出荷情報を更新できないか
- 委託先の担当者ごとにアカウントを分け、交代・契約終了時に停止できるか
- ダウンロードしたCSVの保管場所・利用期間・削除方法を決めているか
請求先と配送先が異なるBtoB-ECでは、運営側が持つ情報をすべて配送業者へ渡す必要があるとは限りません。作業に必要な項目を確認し、価格や社内メモなどの扱いも決めます。複数の委託先を使う場合は、配送会社の名称だけでなく、どの拠点・契約先がどの出荷を担当するかを整理します。
社内拠点の管理については、EC-CUBEの支店・営業所別管理と権限設計もご覧ください。
CSV連携は、出力形式と更新する単位を揃える
EC-CUBE 4系の標準機能では、受注一覧から出力した出荷CSVを、そのまま出荷CSV登録へ取り込むことはできません。公式マニュアルでは、出力用と登録用の形式が異なるため、登録画面でダウンロードする雛形を使用するよう説明されています。
標準の出荷CSV登録には「出荷ID」「お問い合わせ番号」「出荷日」があります。マニュアルでは、出荷IDに出荷CSVの該当する配送IDを入力する方法が示されています。委託先のシステムで別の番号を使う場合は、EC-CUBE側の識別番号との対応を保持します。
注文番号だけで処理対象を決めると、同じ注文に複数の配送先や出荷がある場合に対象を特定できないことがあります。注文・配送・商品明細・出荷回のどの単位でデータを受け渡すかを、CSVサンプルで確認してください。
| 場面 | 決めておくこと |
|---|---|
| 出荷指示を出す | 入金確認、在庫確保、締め時刻など、出荷対象にする条件 |
| CSVを変換する | 列名・文字コード・日付形式・必須項目と、番号の先頭ゼロの保持 |
| 同じCSVを再取り込みする | 重複の判定方法と、同じ出荷実績を二重に反映しない扱い |
| 一部出荷・複数回出荷になる | 出荷済み数量と未出荷数量、実績を紐付ける単位 |
| エラー行がある | 全体を止めるか、正常行だけ処理するか。修正後の再実行方法 |
| 指示後に変更・取消が入る | 委託先への連絡方法、作業中データの扱い、出荷を止める担当 |
出荷実績の取り込みをきっかけに、ステータス変更・発送通知・在庫更新・決済処理まで行うかは別途確認します。一部出荷で注文全体を完了扱いにしたり、再実行で同じ通知を送ったりしないよう、連動する処理を整理します。
商品単位の管理については、商品別ステータス管理と一部出荷で解説しています。
専用画面・CSV受け渡し・システム連携を選ぶ
委託先がEC-CUBEへログインして作業できる場合は、専用画面が選択肢になります。委託先が倉庫管理システム(WMS)を中心に運用している場合は、そのシステムとのCSV受け渡しやAPI連携も比較します。
日々の件数だけでなく、作業する人、データを更新するシステム、反映が必要なタイミングで方式を選びます。EC-CUBEとWMS・基幹システムの双方が同じ出荷状態を更新する場合は、どちらの情報を正とするか、連携に失敗したとき誰が確認するかを決めます。
出荷数レポートも、単位を「注文数」「配送数」「商品個数」のどれにするかで数字が変わります。一部出荷や再出荷を含め、委託先の実績と同じ条件で照合できる集計にします。連携方式の比較は、BtoB-ECと社内システムの連携方法をご覧ください。
相談時は、CSVサンプルと担当業務を用意する
「配送業者が管理画面を使いたい」という要望を、出荷指示・作業・実績登録・照合に分けると、必要な改修範囲が見えてきます。
- EC-CUBEのバージョン、受注・配送に関係するプラグインと既存改修
- 委託先・拠点・利用人数と、それぞれが担当する作業
- 個人情報を伏せた出荷指示CSV・出荷実績CSVのサンプル
- 出荷対象の条件と、一部出荷・変更・取消・再出荷の具体例
- 閲覧・出力・更新を許可する情報と、担当外データの扱い
- 発送通知、在庫、決済、WMS・基幹システムとの連動範囲
導入前には、通常の出荷に加え、担当外データ、重複取り込み、一部出荷、取消済み注文、エラー後の再実行を確認します。費用は画面数だけでなく、権限制御、CSV変換、例外処理、既存改修との調整範囲によって変わります。
サンクユーでは、業務の整理からEC-CUBE構築・カスタマイズ、BtoB-EC構築までご相談に対応しています。
配送業者用管理画面のよくある質問
EC-CUBEの標準機能だけで配送業者用管理画面を作れますか?
EC-CUBE 4系には出荷CSVの出力・登録や権限管理があります。ただし、配送業者専用画面、委託先別の対象データ制限、独自形式のCSV連携まで標準設定だけで対応できるとは限りません。利用中のバージョン、プラグイン、既存改修と業務要件を照合して判断します。
出力した出荷CSVをそのまま取り込めますか?
EC-CUBE 4系の標準機能では、受注一覧から出力する出荷CSVと、出荷CSV登録で使うCSVは形式が異なります。標準の取り込みには登録画面の雛形を使用します。配送業者や倉庫のCSVを使う場合も、列構成や識別番号の対応を確認します。
配送業者にすべての受注情報を見せる必要がありますか?
必要ありません。担当する出荷と、作業に必要な配送先・商品・数量などに範囲を絞る設計を検討します。メニューの表示だけでなく、詳細画面、CSV出力、取り込み処理でも同じ権限制御が働くかを確認します。
出荷完了CSVを取り込めば、配達完了も分かりますか?
出荷完了と配達完了は別の状態です。倉庫からの出荷実績を取り込んでも、購入者への配達完了まで分かるとは限りません。何を完了とするデータなのかを確認し、配達状況も必要な場合は別途取得方法を検討します。
一部出荷や同じCSVの再取り込みに対応できますか?
対応範囲は設計によります。注文・配送・商品明細のどの単位で更新するか、未出荷分をどう残すか、重複行や再取り込みをどう判定するかを決めます。本記事の過去事例ですべて実装済みという意味ではありません。
配送業者用管理画面の相談には何を用意すればよいですか?
EC-CUBEのバージョン、関連プラグイン、委託先と担当業務、個人情報を伏せた出荷指示・出荷実績CSVのサンプルをご用意ください。出荷対象の条件、一部出荷・取消の例、変更できる項目、通知や基幹連携のルールもあると改修範囲を整理しやすくなります。
EC-CUBEの配送業者用管理画面・出荷CSV連携をご相談ください
CSVの受け渡し作業を減らしたい、委託先が扱える情報を絞りたい、一部出荷や再取り込みのルールを整理したいなど、現在の出荷業務をお聞かせください。必要な操作と権限を確認し、業務に合った改修方法を検討します。
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









