この記事でわかること
ECサイトでは、商品をカートに入れたのに購入されない「カゴ落ち(カート放棄)」が日常的に発生しています。その平均発生率は、世界の調査を集計すると約70%にのぼります。この記事では、カゴ落ちとは何か、なぜ起きるのか、どう対策するのかを、原因別の改善策から離脱後のフォローまで、ECサイト運営者向けに整理します。
この記事を読むと分かること
- カゴ落ち(カート放棄)とは何か
- カゴ落ちはどのくらい発生し、どんな機会損失になるのか
- カゴ落ちが起きる主な原因と、その改善策
- 離脱した顧客をフォローする「カゴ落ちメール」という対策
カゴ落ちとは
カゴ落ちとは、ECサイトで商品をカート(カゴ)に入れたにもかかわらず、購入手続きを完了せずにサイトを離脱してしまう現象のことです。英語では「cart abandonment」といい、「カート放棄」とも呼ばれます。
カートに商品を入れたということは、その顧客は購入を検討していたということです。あと一歩で購入に至らなかったカゴ落ちは、ECサイトにとって大きな機会損失につながります。だからこそ、その原因を知り、対策することが、売上を守るうえで重要になります。
カゴ落ちはどのくらい発生する?【2026年データ】
カゴ落ちは、決して珍しい現象ではありません。ECのUXを研究するBaymard Instituteが50件の調査を集計した結果によると、平均カゴ落ち率は約70.22%です(出典:Baymard Institute「50 Cart Abandonment Rate Statistics 2026」)。カートに商品を入れたユーザーの多くが、購入完了まで進まずに離脱していることが分かります。
ただし、この約70%のすべてが「対策で取り戻せる売上」ではない点に注意が必要です。カゴ落ちには、他サイトとの価格比較、まだ購入する段階ではない下調べ、送料の確認など、そもそも購入意図が固まっていない離脱も多く含まれます。Baymard Institute自身も、改善可能な離脱とそうでない離脱を分けて捉えることの重要性を指摘しています。
カゴ落ちがEC事業に与える機会損失
カゴ落ちは、放置すると売上の取りこぼしにつながります。国内の過去調査の一例として、株式会社イー・エージェンシーが2019年に公表した調査では、カゴ落ちによる機会損失は平均で売上の約2.5倍、最大で約3.1倍とされていました(出典:株式会社イー・エージェンシー、2019年)。
もちろん、この金額のすべてが対策で回収できるわけではありません。前述のとおり、カゴ落ちには取り戻せない離脱も含まれます。それでも、原因を改善し、離脱した顧客をフォローすることで、取りこぼしの一部を購入につなげられる可能性があります。改善率がそのまま売上増加率になるわけではありませんが、購入完了数の増加は、EC事業にとって取り組む価値のあるテーマです。
カゴ落ちが起きる主な原因
顧客がカートで離脱する理由は、さまざまです。代表的なものを挙げます。
- 配送料・手数料が想定より高かった
- 会員登録が必要で、入力が面倒だった
- 注文完了までの手続きが長すぎた
- 合計金額を、手続きの終盤まで確認できなかった
- 配送が遅すぎた
- クレジットカード情報の入力に不安を感じた
- ページでエラーが発生した
- 返品ポリシーに不満を感じた
- 使いたい支払い方法がなかった
- 決済が失敗した
カゴ落ちには、価格比較や下調べなど避けにくい離脱がある一方で、送料・会員登録・決済・チェックアウトの使いにくさなど、改善できる原因もあります。改善可能な原因を一つずつ見直していくことが、カゴ落ちを減らす近道です。
原因そのものを改善するカゴ落ち対策
カゴ落ち対策には、大きく2つのアプローチがあります。一つは「離脱の原因そのものを減らす」対策、もう一つは「離脱した顧客をフォローする」対策です。まずは原因側の改善から見ていきます。
| 原因 | 改善の方向性 |
|---|---|
| 送料・手数料が高い | 一定額以上で送料無料にするなど、送料の見せ方を工夫する |
| 会員登録が面倒 | 注文時の入力項目を最低限に絞る(マーケ目的の項目は後回し) |
| 手続きが長い | カートから完了までのページ数・遷移を減らす |
| 金額が終盤までわからない | 早い段階で合計金額を表示する |
| 配送が遅い | 翌営業日発送など、現実的な範囲で体制を整える |
| 決済への不安 | セキュリティ対策を実施し、安全性をサイト上で示す |
| エラー・決済失敗 | 定期的に注文完了までを確認し、不具合を早期に対処する |
| 支払い方法が足りない | 主要な決済手段を揃える(増やしすぎは手数料増に注意) |
これらは、カート周りの設計や決済まわりの見直しで改善できるものが多くあります。EC-CUBEのようにカスタマイズできるプラットフォームであれば、注文フローの短縮や合計金額の早期表示など、原因に合わせた改修が可能です。
離脱後にフォローする「カゴ落ちメール」
原因を改善しても、カゴ落ちをゼロにはできません。そこで有効なのが、離脱した顧客をあとからフォローする「カゴ落ちメール」です。
カゴ落ちメールとは、カートに商品を残したまま離脱した顧客へ、案内メールを自動で送る仕組みです。「カートに商品が残っています」とそっと知らせ、購入に戻ってきてもらうことを目的とします。原因側の対策が「離脱を減らす」守りだとすれば、カゴ落ちメールは「離脱した顧客を取り戻す」攻めの対策といえます。
EC-CUBEでは、このカゴ落ちメールの仕組みを構築できます。放置と判定する時間や送信する時間帯を設定でき、運用に合わせた自動送信が可能です。
BtoBとBtoCで使い方が変わる
カゴ落ちメールは、BtoC(一般消費者向け)とBtoB(メーカー・卸売業など)で、効かせ方が大きく変わります。
| BtoC | BtoB | |
|---|---|---|
| 離脱の理由 | 買い忘れ・迷い・比較中 | 社内承認待ち・見積比較・納期確認 |
| メールの役割 | 購入の後押し | 相談のきっかけ |
| ゴール | 売上アップ | 受注につなげる |
それぞれの詳しい活用方法は、専用の記事で解説しています。自社のECの形態に合わせて、あわせてご覧ください。
カゴ落ちメールの活用方法(EC-CUBE)
カゴ落ち対策は一度で終わらない
カゴ落ちの原因は、サイトの状態や顧客の行動によって変わり続けます。決済手段のトレンド、配送への期待、競合の状況——いずれも一定ではありません。だからこそ、一度対策して終わりではなく、定期的に注文完了までの流れを確認し、改善を続けることが大切です。
よくある質問
カゴ落ちとは何ですか?
カゴ落ちとは、ECサイトで商品をカートに入れたにもかかわらず、購入手続きを完了せずに離脱してしまう現象です。英語では「cart abandonment」といい、「カート放棄」とも呼ばれます。
カゴ落ち率の平均はどのくらいですか?
Baymard Instituteの現行集計では、平均カゴ落ち率は約70.22%です(50件の調査の平均)。カートに商品を入れたユーザーの多くが、購入完了まで進まずに離脱していることを示しています。ただし、この全てが対策で取り戻せる売上ではなく、価格比較や下調べなど購入意図が固まっていない離脱も含まれます。
カゴ落ちの主な原因は何ですか?
配送料や手数料が高い、会員登録が面倒、注文手続きが長い、合計金額が終盤までわからない、決済への不安、使いたい支払い方法がない、などが代表的です。一方で、価格比較や下調べなど避けにくい離脱もあります。改善可能な原因を一つずつ見直すことが大切です。
カゴ落ちメールとは何ですか?
カートに商品を残したまま離脱した顧客へ、案内メールを自動で送る仕組みです。「カートに商品が残っています」と知らせ、購入に戻ってきてもらうことを目的とします。原因側の対策が離脱を減らす守りだとすれば、カゴ落ちメールは離脱した顧客を取り戻す攻めの対策です。
EC-CUBEでカゴ落ち対策はできますか?
できます。EC-CUBEはカスタマイズできるプラットフォームのため、注文フローの短縮や合計金額の早期表示といった原因側の改善に加え、カゴ落ちメールの仕組みの構築も可能です。放置判定時間や送信時間帯を設定した自動送信ができます。
まとめ
カゴ落ちは、ECサイトで日常的に発生する現象で、その平均発生率は約70%にのぼります。すべてを取り戻せるわけではありませんが、原因を一つずつ改善し、離脱した顧客をカゴ落ちメールでフォローすることで、取りこぼしの一部を購入につなげられる可能性があります。
大切なのは、カゴ落ちを「仕方のないもの」と放置せず、原因側の対策と離脱後のフォローの両面から、継続的に取り組むことです。私たちは、EC-CUBEでの注文フロー改善からカゴ落ちメールの導入まで、自社のECに合わせた対策をお手伝いしています。カゴ落ちにお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
カゴ落ちの取りこぼしを、減らしませんか。
原因側の改善から、離脱後のカゴ落ちメールまで、EC-CUBEで対策を組み立てられます。現在の運用を伺った上で、自社に合った進め方をご提案します。
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
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上岡龍太郎 / ダウンタウン









