EC-CUBE4系への移行を検討するECサイトが増えた
古いEC-CUBEを利用しているECサイト様からEC-CUBE4へのバージョンアップのご相談を頂きます。
特に2020年以降は相談件数が増えました。
EC-CUBE4はセキュリティ的にも機能拡張的にも優れているシステムです。
その為、旧バージョンからの乗り替えを検討されているのだと思います。
特にEC-CUBE2系を利用しているECサイトは構築してから5〜10年前が経過しています。
デザインもシステムも古くなってしまったので、積極的に検討されているようです。
EC-CUBEの各バージョンの概要
現在(2022/10/12時点)、EC-CUBEは2系と3系と4系の3つのバージョンが存在しています。
各バージョンの特徴をご説明します。
自社のEC-CUBEのバージョンをご存知ない方は、以下のコラムで確認できます。

EC-CUBE2系
EC-CUBE2系は最も多くのECサイトで利用されているバージョンです。
2系は更に2.4系 / 2.11系 / 2.12系 /2.13系がございます。
しかし、2.4系と2.11系、2.12系はイーシーキューブ社のサポートが終了しています。
2.13系はサポートを継続していますが、2.13系の動作要件であるPHP5のサポートが切れています。
サポートが切れていることはセキュリティ問題に繋がります。
また、EC-CUBE2.13系はサポートが継続中とは言え、今後プラグインやモジュールがアップデートされることはありません。
決済代行サービスは徐々にEC-CUBE2系へのサービスを停止する傾向にあります。
これらを考慮すると、EC-CUBE2のECサイトは4へのバージョンアップを積極的に検討した方がよいかと思います。
EC-CUBE3系
3系はプラグイン機能を本格的に採用したシステムです。
同じオープンソースのCMS「WordPress」のように、プラグインで容易に機能拡張ができるEC-CUBEを目指しました。
2系の仕組みはまったく引き継がず新しく設計・開発されましたが、設計時の不具合も多かったようでそれほど普及していません。
イーシーキューブ社がサポートを継続していますが、3系のプラグインやモジュールがアップデートされることはないです。
2系、3系、4系を比べた場合、3系が一番普及していないバージョンですし、対応できる制作会社も減っています。
これらを考慮すると、EC-CUBE3のECサイトも4へのバージョンアップを前向きに検討した方がよいかと思います。

EC-CUBE4系
3系の失敗を教訓にし新たに開発されたのが4系です。
プラグインで容易に機能を拡張することが可能ですし、API機能で他システムと連携し易いシステムです。
また、PHPフレームワークSymfonyが使われており、カスタマイズ性も優れています。
かつ、セキュリティ強化もされており安心して利用できます。


EC-CUBE4系へバージョンアップするメリット
古いEC-CUBEから4へバージョンアップするメリットを見ていきましょう。
プラグインが充実している
EC-CUBE4はプラグインが充実しています。
プラグインには有料と無料がありますが、無料プラグインだけでも入門的なECサイトを構築することが可能ですし、有料プラグインであれば更に高機能なECサイトを作ることができます。


カスタマイズ性に優れている
EC-CUBE4は最もカスタマイズ性に優れているバージョンです。
機能のカスタマイズが容易であり、柔軟性がある為に高度なカスタマイズも可能です。
プラグインでは実現できない機能はカスタマイズ(システム改修)することで実装できますし、APIを利用すれば外部システムと連携することも容易です。
大規模ECサイトの場合、外部システムや外部サービスとの連携は欠かせません。
また、EC事業の成長に伴いECシステムを拡張する必要がありますが、EC-CUBEであれば問題ありません。

セキュリティ対策が万全
個人情報漏洩やクレジットカード番号流出などのセキュリティ被害が後を絶ちません。
EC-CUBE4はセキュリティを強化したシステムであり、セキュリティに関する情報も公開、かつ脆弱性が発見された場合は速やかにセキュリティパッチがリリースされます。
EC-CUBE4構築後は弊社が提供している脆弱性診断サービスを定期的(年に1回)に受けることで、更にシステムを安全な状態を保つことが可能です。

レスポンシブWebデザインでGoogleに評価され易い
EC-CUBE4は標準でレスポンシブWebデザイン(RWD)が採用されています。
従来であればパソコン用とスマホ用でそれぞれデザインテンプレートを管理していましたが、RWDは1つのテンプレートファイルでデザインを管理することができ、メンテナンス性に優れスピーディーにデザインを変更することが可能です。
Googleがモバイルフレンドリーを評価しており、スマホで見易いサイトは検索結果順位が上がる傾向にあります。
そして、モバイルフレンドリーの対応策としてGoogleはRWDを推奨しています。
その為、レスポンシブWebデザインのEC-CUBE4はGoogleに評価され易いECサイトです。
購入フローが短くからサイト離脱を防ぎ注文率を上げる
EC-CUBE2の購入フローは長かったですが、4の購入フローは3ステップで完結了します。
購入フローが短いことでサイト離脱を防ぐことができ、注文率が上がります。

EC-CUBE4系へバージョンアップする際のデメリット
EC-CUBE4へ移行するデメリットです。
各バージョンのEC-CUBEは互換性がない為、ほぼ新規構築となる
MacやWindows、iPhoneのようにボタンをクリックすれば自動でアップデートされる仕組みではありません。
2系、3系、4系のEC-CUBEはそれぞれシステム的に互換性がない為、移行の際は構築作業をゼロから行います。
また、既存EC-CUBEをカスタマイズしている場合、4系で構築する際に再度カスタマイズしなければいけません。
尚、プラグインがあればプラグインで代用可能です。
利用中のプラグインが4系にない
利用しているプラグインが4系にないケースがあります。
その場合は、独自カスタマイズするか導入を諦める必要があります。
決済モジュールが4系に対応していない
現在利用している決済会社がEC-CUBE4系に対応していない可能性があります。
その場合、独自に決済モジュールを開発するか、他社へ乗り換える必要があります。
決済モジュールの開発には多大なコストが掛かりますので、他の決済会社へ乗り替えるのが現実的です。
EC-CUBE4系への移行リニューアル手順
最後に、EC-CUBE4へのリニューアル手順をご説明します。
企画・検討フェーズと実装・開発フェーズに分けています。
企画・検討フェーズ
- 現行EC-CUBEにインストールしているプラグインを調査する
- 現行EC-CUBEに実施しているカスタマイズを調査する
- EC-CUBE4にインストールするプラグインを検討する
- EC-CUBE4に実施するカスタマイズを検討する
- EC-CUBE4のデザインを検討する
- EC-CUBE4に移行するデータを検討する
実装・開発フェーズ
- 新しいデザインを作成する
- EC-CUBE4が動作するサーバー環境を用意する
- EC-CUBE4をサーバーにインストール・基本設定を行う
- 新しいデザインをEC-CUBE4に適用する
- EC-CUBE4にプラグインをインストールする
- EC-CUBE4にカスタマイズを実施する
- クレジット決済モジュールをインストール・設定する
- 古いEC-CUBEの設定(支払い方法、配送方法、ポイント設定、メール設定、税率設定など)をEC-CUBE4に移行する
- 古いEC-CUBEの商品データ、注文データ、会員データをEC-CUBE4に移行する
- テストを行う
- リニューアル・オープン
デザインを新しくし、注文フローが短縮されるだけでも注文率はアップします。
また、EC-CUBE4は旧バージョンよりも優れたシステムですので、末長くご利用頂けます。
バージョンアップ実績
前述の通り、EC-CUBE2系は2.4系 / 2.11系 / 2.12系 /2.13系があります。
サンクユーは2系から4系へバージョンアップして参りましたがが、すべての2系で実績があります。
2.4系から4系、2.11系から4系、2.12系から4系、2.13系から4系すべて実績がございます。
古いEC-CUBEをご利用でバージョンアップをご検討のECサイト様は、ご予算に合わせた提案をさせて頂くことも可能ですので、お気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
- CEO
-
関西大学卒業後、東証プライム上場企業ゼネコンにて人事総務業務に従事。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、「モノを作る仕事がしたい」という思いからシステムベンダーへ転職。
システムベンダーでは、IBMオフコンAS400で金融、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行のシステム構築プロジェクトへの参画など貴重な経験を積む。
10年間で、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「システムの質は要件定義の質に比例する」と学ぶ。
その後、クレジット決済代行会社にヘッドハンティングされる。
決済システムの再構築、国内外の銀行システムとの接続、クライアントの会社サイト制作・ECサイト構築を行う。
一方、組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大させる。(退任時役職:常務取締役)
2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に法人化し株式会社サンクユーを設立。
クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解・分析することで、結果が出るWEBサイトを制作することを得意とする。
また、ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・好きなもの
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