EC-CUBE4系への移行を検討するECサイトが増えた
EC-CUBEをご利用のECサイト様からEC-CUBE4にバージョンアップしたいとご相談を頂きます。
特に2020年以降はご相談件数が増えました。
EC-CUBE4が魅力的なシステムなので、みなさん乗り替えを検討しているようです。
また、EC-CUBE2系を利用しているECサイトは5〜10年前に構築したでしょうから、時期的にもリニューアルを検討されてるのでしょう。
本コラムではEC-CUBE4系へのバージョンアップ移行についてご説明したいと思います。
EC-CUBEの各バージョンの概要
現在(2022/3/9時点)、EC-CUBEは2系と3系と4系の3つのバージョンが存在しています。
それぞれのバージョンごとに特徴があります。
本章では各バージョンの特徴を説明します。
その前に、自社のEC-CUBEのバージョンをご存知ない方は、管理画面で簡単に確認できます。
確認方法は以下のコラムに記載しています。

EC-CUBE2系
EC-CUBE2系は最も多くのECサイトで利用されているバージョンです。
EC-CUBE2.13系は株式会社イーシーキューブがサポートを継続していますが、2.4系や2.12系はサポートが終了しています。
また、EC-CUBE2.13の動作要件であるPHP5のサポートが切れています。
その為、PHP5にセキュリティの課題を抱えています。
EC-CUBE2.13系は今後プラグインやモジュールがアップデートされることがありません。
これらを考慮すると、EC-CUBE2のECサイトは前向きに4へのバージョンアップを検討するべきです。
EC-CUBE3系
3系はプラグイン機能を本格的に採用したシステムです。
同じオープンソースのCMS「WordPress」のようにプラグインで簡単に機能拡張ができるEC-CUBEを目指しました。
2系の仕組みはまったく引き継がず新しく開発されましたが、設計不具合も多かったようでそれほど普及していません。
株式会社イーシーキューブがサポートを継続していますが、プラグインやモジュールがアップデートされることはないです。
2系、3系、4系の内、3系が一番普及していないバージョンですし、対応する制作会社も減っています。
すぐにとは言いませんが、2年以内のリニューアルを検討してみてはいかがでしょうか。

EC-CUBE4系
3系の失敗を教訓にし開発されたのが4系です。
しっかりと設計されている為、不具合も少なく安定しており拡張性もあります。
プラグインで容易に機能を拡張することが可能ですし、API機能で他システムと連携し易いシステムです。
また、PHPフレームワークSymfonyが使われており、カスタマイズ性も優れています。
株式会社イーシーキューブも力を入れており、今後益々便利にアップデートされる予定です。


EC-CUBE4系へバージョンアップするメリット
古いEC-CUBEから4へバージョンアップするメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
以下、メリットを見ていきましょう。
プラグインが充実している
EC-CUBE4はプラグインが充実しています。
プラグインには有料と無料がありますが、無料プラグインだけでも入門的なECサイトを構築することが可能ですし、有料プラグインであれば無料プラグインよりも高機能です。


カスタマイズ性に優れている
EC-CUBE4は過去一番カスタマイズ性に優れているバージョンです。
カスタマイズ性に優れているとは、機能カスタマイズが容易であり、高度なカスタマイズも可能であることを指します。
プラグインで実現できない機能は独自カスタマイズ(システム改修)することで実装できます。
また、API機能を利用すれば外部システムと連携することも可能です。
EC事業の成長に伴い外部システムや外部サービスとの連携は欠かせないので、API機能はありがたいですね。

セキュリティ対策が万全
個人情報漏洩やクレジットカード番号流出などのセキュリティ被害が後を絶ちません。
EC-CUBE4はセキュリティを強化したシステムであり、セキュリティに関する情報も頻繁に公開、脆弱性が発見された場合は速やかにセキュリティパッチを公開しています。
セキュリティ対策について | ECサイト構築・リニューアルは「ECオープンプラットフォームEC-CUBE」
バージョンアップ後は弊社が提供している脆弱性診断サービスを定期的(年に1回)に受けることで、更にシステムを安全な状態を保てます。

レスポンシブWebデザインでGoogleに評価され易い
EC-CUBE4は標準でレスポンシブWebデザイン(RWD)が採用されています。
従来であればパソコン用とスマホ用でそれぞれデザインテンプレートを管理していましたが、RWDは1つのテンプレートファイルでデザインを管理することができ、メンテナンス性に優れスピーディーにデザインを変更することが可能です。
Googleがモバイルフレンドリーを評価しており、スマホで見易いサイトは検索結果順位が上がる傾向にあります。
そして、モバイルフレンドリーの対応策としてGoogleはRWDを推奨しています。
その為、レスポンシブWebデザインのEC-CUBE4はGoogleに評価され易いECサイトです。
購入フローが短くからサイト離脱を防ぎ注文率を上げる
EC-CUBE2の購入フローは長かったですが、4の購入フローは3ステップで完了します。
購入フローが短いことでサイト離脱を防ぐことができ、注文率が上がります。

EC-CUBE4系へバージョンアップする際の注意点
今のところEC-CUBE4へ移行するデメリットは思いつきません。
しかし、注意事項はあります。
EC-CUBE4へのバージョンアップを検討の際は、以下の点にご注意ください。
各バージョンのEC-CUBEは互換性がない為、ほぼ新規構築となる
2系、3系、4系のEC-CUBEはそれぞれシステム的に互換性がない為、移行の際は構築作業をゼロから行います。
MacやWindows、iPhoneのようにボタンをクリックすれば自動でアップデートされるようなものではありません。
EC-CUBEという名を冠していてもバージョンごとに全く異なるシステムですから、実際の作業内容はシステム移行となります。
また、カスタマイズしている場合、再度4系をカスタマイズしなければいけません。
尚、プラグインがあれば、プラグインを利用することでコストは抑えられます。
利用中のプラグインが4系にないことがある
現行EC-CUBEにインストールしているプラグインが4系にない場合があります。
その場合は、独自カスタマイズする必要があります。
その機能がカスタマイズしてでも欲しいのか、別途カスタマイズ・コストをかける必要がないのか、検討する必要があります。
決済モジュールが4系に対応していないことがある
現在利用している決済会社がEC-CUBE4系の決済モジュールを公開していない可能性があります。
その場合、独自に決済モジュールを開発するか、他社へ乗り換える必要があります。
決済モジュールの開発には多大なコストが掛かりますので、他の決済会社へ乗り替えるのが現実的です。
EC-CUBE4系への移行リニューアル手順
最後に、EC-CUBE4へのリニューアル手順をご説明します。
企画・検討フェーズと実装・開発フェーズに分けています。
企画・検討フェーズ
- 現行EC-CUBEにインストールしているプラグインを調査する
- 現行EC-CUBEに実施しているカスタマイズを調査する
- EC-CUBE4にインストールするプラグインを検討する
- EC-CUBE4に実施すべきカスタマイズを検討する
- EC-CUBE4のデザインを検討する
実装・開発フェーズ
- 新しいデザインを作成する
- EC-CUBE4が動作するサーバー環境を用意する
- EC-CUBE4をサーバーにインストール・基本設定を行う
- 新しいデザインをEC-CUBE4に適用する
- EC-CUBE4にプラグインをインストールする
- EC-CUBE4にカスタマイズを実施する
- クレジット決済モジュールをインストール・設定する
- 古いEC-CUBEの設定(支払い方法、配送方法、ポイント設定、メール設定、税率設定など)をEC-CUBE4に移行する
- 古いEC-CUBEの商品データ、注文データ、会員データをEC-CUBE4に移行する
- テストを行う
- リニューアル・オープン
デザインを新しくし、注文フローが短縮されるだけでも注文率はアップします。
また、EC-CUBE4は旧バージョンよりも機能拡張が容易ですので、末長くご利用頂けるシステムです。
ぜひ前向きに移行を検討されることをオススメいたします。
弊社ではご予算に合わせた提案もさせて頂きますので、お気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
- CEO
-
関西大学卒業後、大手ゼネコンにて人事総務業務に携わる。
幼少よりモノ作りが好きだったこともあり、自らの手でモノを作りたいという思いを強く抱くようになり、未経験でシステムベンダーへ転職。
IBMオフコンAS400で金融サービス、物流、販売管理、経理、人事総務などのシステムを開発。
台北に駐在し遠東國際商業銀行の個人向け貸付システム構築プロジェクトに参画するなど貴重な経験を積む。
10年の間に、プログラマ、SE、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーを務め、「完成度の高いシステムは、要件定義の質に比例する」と学ぶ。
その後、クレジットカード決済代行会社にヘッドハンティングされ、決済システムの刷新・
国内外の銀行システムとの接続・クライアントのECサイト構築を行う。
また、社内の組織改革を任され、20名から60名へ会社規模を拡大。(退任時役職:常務取締役)
2008年クリエイティブチーム・サンクユーを立ち上げ、2010年に株式会社サンクユーを設立。
クライアントの業界、取扱商材、ターゲット顧客を理解することで、結果が出るWEBサイトを提案・制作。
ECサイト構築・運営への造詣も深く、NTTレゾナント株式会社が運営するgoo Search Solutionでコラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution – ECサイト内検索・商品検索サービス
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