この記事でわかること
「EC-CUBEってまだ使われているの?」「Shopifyと何が違うの?」「BtoBでも使えるのか?」——EC構築を検討すると必ず候補に挙がるのがEC-CUBEです。一方でShopify・BASE・futureshopなどのSaaS型カートが主流になった今、EC-CUBEはどんな立ち位置にあるのか。本記事では、EC-CUBEの特徴・メリット・デメリット、SaaS型との本質的な違い、そして2026年に再評価されている理由を、EC-CUBE公式パートナーの視点で整理します。
EC-CUBEとは?(2026年時点の最新状況)
EC-CUBEは、2006年にリリースされた日本発のオープンソース型EC構築プラットフォームです。最大の特徴は、ソースコードが公開されており、自社専用に自由にカスタマイズできる点にあります。
SaaS型が「完成済みのサービスを借りる」モデルであるのに対し、EC-CUBEは「自社専用に設計する」モデルです。このため、BtoB取引・複雑な価格体系・基幹システム連携・独自業務フローの再現といった高度な要件に対応しやすい構造を持っています。
「EC-CUBEはもう古いのでは」という認識は正確ではありません。継続的にバージョンアップが行われており、最新の技術基盤に対応し続けています。
EC-CUBEの主な特徴
| 特徴 | 内容 | 特にBtoBで効く点 |
|---|---|---|
| 高いカスタマイズ性 | ソースコードを直接改変でき、独自の業務フローを再現できる | 顧客別価格・数量別価格・承認フロー・掛売管理など、SaaSで制限が出やすい部分も設計できる |
| サーバー選択の自由 | AWS等のクラウド・専用サーバーなど、自社ポリシーに合わせたインフラ設計が可能 | セキュリティ要件が厳しい企業・情シスの統制要件に対応しやすい |
| 売上連動手数料が基本不要 | SaaS型で発生しがちな売上に応じた手数料がかからない | 受注額が大きいBtoBでは、売上が伸びるほどコスト構造上有利になりやすい |
| 日本商習慣への適合 | 法人取引・複雑な送料計算・代引き・掛売など日本特有の商習慣に対応しやすい | 製造業・卸売業の独特な取引条件を再現できる |
EC-CUBEでできること
EC-CUBEでは、一般的なECサイトに必要な機能を一通り備えられます。商品管理・会員管理・受注管理・決済・配送・メール送信・クーポン・ポイントといった基本機能に加え、プラグインや個別開発によって自社運用に合わせた拡張がしやすいのが特長です。
| カテゴリ | できることの例 | よく検討される場面 |
|---|---|---|
| 商品管理 | 商品登録、カテゴリ設定、在庫管理 | 基本的なEC運用を始めたいとき |
| 会員管理 | 会員登録、マイページ、会員ごとの表示・価格制御 | リピート顧客やBtoB取引先を管理したいとき |
| 受注管理 | 注文処理、メール送信、配送設定 | 受注業務を整理・効率化したいとき |
| 販促 | クーポン、ポイント、再購入促進 | 売上改善をしたいとき |
| 拡張機能 | プラグイン導入、外部連携、独自開発 | 自社運用に合わせて強化したいとき |
EC-CUBEプラグインの基本を先に理解したい方は、EC-CUBEおすすめプラグインの記事も参考になります。
EC-CUBEのメリット
特徴を「導入する企業にとっての利点」に翻訳すると、以下の3点になります。
- 1
将来拡張に強い
小規模スタートからBtoB拡張、基幹連携強化まで段階的に設計できます。SaaSのように「プラットフォームの制約で頭打ちになる」ことが少なく、事業の成長に合わせてシステムを育てられます。
- 2
業務に合わせた設計ができる
SaaSは「システムに業務を合わせる」モデルですが、EC-CUBEは「業務に合わせてシステムを設計する」ことができます。独自の受注フロー・例外処理・価格ロジックを、運用実態に合わせて作り込めます。
- 3
中長期でのコスト最適化
初期投資は発生しますが、売上連動手数料がないため、売上拡大時の手数料負担が少ない。受注規模が大きい・成長見込みがある企業では、3〜5年のトータルコストでSaaSより有利になるケースがあります。
EC-CUBEのデメリット
メリットの裏返しとして、注意すべき点もあります。導入前に正しく理解しておく必要があります。
| デメリット | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 制作会社の力量に依存する | 自由度が高い分、設計力が成功を左右する。設計が甘いと、後の改修・再構築コストが膨らむ | BtoB-ECの実績がある・設計プロセスを重視する制作会社を選ぶ。公式パートナー認定も判断材料になる |
| 保守体制が必要 | サーバー管理・EC-CUBE本体やフレームワークのバージョンアップ対応・脆弱性対応を自社(または制作会社)で行う必要がある。年間で一定の保守費用がかかる | 保守を委託できる制作会社と契約する。保守費用を初期検討段階でトータルコストに含める |
EC-CUBEとSaaS型カートの違い
SaaS型カート(Shopify・BASE・STORES・futureshop・MakeShop・Bカートなど)とEC-CUBEは、設計思想が根本的に異なります。よく使われる例えで言えば、SaaSは「設備が揃った建売住宅」、EC-CUBEは「ゼロから設計する注文住宅」です。
| 項目 | SaaS型(Shopify・futureshop等) | EC-CUBE |
|---|---|---|
| 初期費用 | 低い | 中程度〜(カスタマイズ範囲による) |
| 月額費用 | 固定費+売上連動手数料が発生する場合がある | サーバー費・保守費が中心。売上連動手数料は基本なし |
| カスタマイズ | プラットフォームの範囲内に制限される | ソースレベルで自由に設計できる |
| BtoB対応 | 標準では制限が多い(製品により対応度に差がある) | 顧客別価格・掛売・承認フローなど柔軟に対応できる |
| 将来拡張 | プラットフォームの制約を受ける | 自由に設計・拡張できる |
| 保守作業 | SaaS事業者が自動で実施(ユーザー側は原則不要) | 自社または制作会社が対応(一定の保守費がかかる) |
| 立ち上げスピード | 速い(短期間で開始できる) | 設計・開発期間が必要 |
判断軸はシンプルです。「今すぐ手軽に始めたいか」それとも「将来の自由度を確保したいか」。手間をかけず商売に集中したいならSaaS、業務に合わせた作り込みと拡張性を重視するならEC-CUBE、という分かれ方になります。
EC-CUBEが向いている企業・向かないケース
| EC-CUBEが向いている企業 | EC-CUBEが向かないケース(SaaSが合理的) |
|---|---|
| BtoB取引がある(顧客別価格・掛売など) | 最短・低コストで始めたい |
| 価格体系が複雑 | 標準機能で十分 |
| 基幹システム連携が必要 | 小規模・単品販売が中心 |
| 将来拡張を前提としている | 保守体制を自社で確保しにくい |
| 売上規模が大きくなる見込みがある | カスタマイズの必要性が低い |
EC-CUBEが優れているからSaaSが劣る、という話ではありません。要件次第ではSaaSの方が合理的です。重要なのは「自社の業務構造と成長見込みに、どちらが合うか」を見極めることです。
特に法人取引を前提にする場合は、一般的なBtoCサイトとは設計の考え方が変わります。BtoB-ECとBtoC-ECの違いもあわせて確認すると判断しやすくなります。
なぜ2026年にEC-CUBEが再評価されているのか
近年、SaaS型カートで事業を立ち上げた企業が、成長の過程でEC-CUBEへの移行を検討するケースが増えています。背景には、SaaSで成長した企業が次の壁に直面することがあります。
- 機能制限:事業が複雑化し、SaaSの標準機能で対応できない要件(複雑な価格ロジック・独自の承認フロー・深い基幹連携)が出てくる
- 売上手数料の負担増:売上が拡大するほど、売上連動の手数料が無視できない金額になる
- 拡張の制約:「ここから先はプラットフォームの制約で実現できない」という頭打ちに直面する
これらの壁にぶつかった企業が、自由度と拡張性を求めてEC-CUBEを再評価しています。特にBtoB領域では、SaaSの標準機能では対応しきれない要件が多く、EC-CUBEの柔軟性が見直されています。
実際にEC-CUBEでのサイト構築を具体的に検討している方は、EC-CUBE構築完全ガイドで費用・流れ・進め方を確認できます。
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よくある質問
EC-CUBEの最新バージョンは何ですか?古いバージョンを使い続けても問題ありませんか?
現行は4系で、ダウンロードできる安定版は4.3系(Symfony 6 / PHP 8.3対応)です。2026年5月には次世代版「EC-CUBE 4.4」が発表され、2026年8月のリリースが予定されています。一方、古いバージョン(2系・3系)を使い続けることは推奨されません。旧環境はセキュリティリスクが高く、インボイスなどの法令対応ができないバージョンも存在します。2系・3系から4系への移行は「バージョンアップ」ではなく「新規構築(リニューアル)」として進めるのが一般的です。現在古いバージョンを使っている場合は、移行を検討することをお勧めします。
EC-CUBEとShopify、BtoBにはどちらが向いていますか?
BtoB要件の複雑さによります。顧客別価格・掛売・承認フロー・基幹連携といったBtoB特有の要件が多い場合は、カスタマイズの自由度が高いEC-CUBEが向いています。Shopifyも「Shopifyコードを編集」する機能で会員ランク割引などある程度の実装は可能になっていますが、深い基幹連携や複雑な日本の商習慣への対応では、EC-CUBEの方が柔軟です。一方、BtoB要件が比較的シンプルで早く始めたい場合は、Shopifyの手軽さが利点になります。
EC-CUBEの保守費用はどのくらいかかりますか?
サーバー費用・バージョンアップ対応・脆弱性対応などを含め、規模やカスタマイズの程度によって変わります。SaaSと違い保守を自社または制作会社で行う必要があるため、この費用を初期検討の段階でトータルコストに含めて判断することが重要です。「初期費用が安い」だけで判断せず、5年程度のトータルコストでSaaSと比較することをお勧めします。具体的な保守費用は構成によって異なるため、個別にご相談ください。
EC-CUBEの公式パートナーに依頼するメリットは何ですか?
EC-CUBEは自由度が高い分、制作会社の設計力が成功を大きく左右します。公式パートナーは一定の実績・知見を持つ証明になります。ただしパートナー認定だけでなく、自社と同じBtoB領域・同業種の構築実績があるか、設計プロセスを重視するか、保守体制が整っているかを合わせて確認することが重要です。当社はEC-CUBE公式パートナーとして、製造業・卸売業のBtoB-EC構築を多数手がけています。
EC-CUBEが自社に合うか、無料で診断します
「EC-CUBEとSaaS、どちらが自社に合うか」「今の要件でEC-CUBEを選ぶべきか」——御社の受注構造・将来計画を踏まえて、フラットに診断します。EC-CUBE公式パートナーとして、製造業・卸売業のBtoB-EC構築実績を活かしたご相談に対応します。
投稿者プロフィール

- CEO
- 株式会社サンクユー 代表取締役CEO。
基幹システムとECをつなぎ、受発注業務の最適化を支援する専門家。
関西大学卒業後、東証プライム上場のゼネコンにて人事総務を経験。
その後システムベンダーへ転職し、IBM AS/400環境における金融・物流・販売管理・経理・人事など、企業の基幹業務を支えるシステム開発に従事する。
プログラマからプロジェクトマネージャーまでを経験し、台湾・台北駐在として銀行システム構築プロジェクトにも参画。
この経験を通じて、「システムの質は要件定義の質に比例する」という思想を確立。
業務理解を起点としたシステム設計を強みとする。
その後、クレジット決済代行会社にて、決済システムの再構築や銀行連携、ECサイト構築を担当。
あわせて組織改革にも携わり、20名から60名規模への組織拡大を実現(退任時:常務取締役)。
2008年に株式会社サンクユーを創業、2010年に法人化。
現在は、基幹システムとECの両領域に精通した知見を活かし、BtoB企業における受発注業務のデジタル化・効率化を支援。
特に、FAX・電話・メールなどアナログ業務のEC化や、基幹システムとの連携を前提とした業務設計を得意とする。
単なるECサイト構築にとどまらず、業務フローの整理・要件定義・システム設計まで一貫して関与し、「現場で使われる仕組み」を実現することを重視している。
NTTレゾナント「goo Search Solution」にてEC関連コラムを執筆。
ECマーケティングレポート | goo Search Solution
■趣味・関心領域
BMW / WRC / ロードバイク / RIZIN / UFC / 大相撲
David Bowie / blur / MUSE / The Rolling Stones / XTC
機動戦士ガンダム(富野由悠季)
ベルセルク / 頭文字D / 進撃の巨人 / ジョジョの奇妙な冒険 / あしたのジョー
Mission: Impossible / Memento / ワイルド・スピード / ソナチネ
LOST / Game of Thrones / FRINGE / The Mentalist
上岡龍太郎 / ダウンタウン









